● コサインロールオフフィルタ ところで,コサインロールオフフィルタは,図6で示すようにT [sec]ごとにゼロクロスするインパルス応答,すなわちナイキスト第一基準を満足するのであろうか? この疑問に答えてみることにしよう2). コサインロールオフフィルタの振幅特性Y(ω)を,図9(a)に示しておく.Y(ω)はY1(ω)〔図9(b)〕とY2(ω)〔図9(c)〕に分けることができる.Y1(ω)は,逆フーリエ変換するとsin関数となり,π/ω1ごとにゼロクロスし,符号間干渉がない(問題1.2).すなわちナイキスト第一基準を満足している.
そこで,Y2(ω)のようなω1に関して奇対称な振幅特性を有するシステムもナイキスト第一基準を満足すれば,コサインロールオフフィルタ全体として零ISIとなることがわかる.この問題に対して,付録[1]章末)よりY2(ω)のインパルス応答y2(t )は,π/ω1ごとにゼロクロスするので,ω1=π/T とおくとナイキスト第一基準を満足していることがわかる. ● コサインロールオフフィルタのインパルス応答 コサインロールオフフィルタの振幅特性H(ω)は,図8(b)より次式で与えられる(ただし,aはロールオフ率). ここで,コサインロールオフフィルタのインパルス応答は, H(ω)の逆フーリエ変換により求まる. 上記のコサインロールオフフィルタのインパルス応答h(t)の導出をMATLABのSymbolic Math toolboxを用いて行う.そのM-fileと出力結果をリスト1,リスト2にそれぞれ示しておく.
リスト2の出力結果をさらに式変形すると,次のようになる.式(1.6)は,ちょうど式(1.2)に窓関数をかけた形となっていることがわかる.また,式(1.6)をグラフで描くと,図6(a)となる.
t =nT 'とサンプリングすると,サンプルレートが1/T 'であるディジタルフィルタのインパルス応答h(n )が得られる〔図6(b)〕.
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