● メインボードPCB上の配線の流れについて
メインボードの設計が難しくなってくる,ということで,話題にのぼったのが,メインボード上にある配線の流れがギザギザ(くねくね)になっている,というポイントです.ネルソンさんは非常にわかりやすく説明してくれました.
クロックが高くなると最も重要となるのはクロックジェネレータからの配線です.クロックジェネレータはクロック信号をチップセットのメモリコントローラ(MMC)やDRAMに対して送っています.ところが,当然チップセットからDRAMへも信号を送る必要が出てくるわけです.このとき,図1のようにメインボード上の配置がなされているとすると,通常の配線ではクロックジェネレータからDRAMがもっとも短く,クロックジェネレータからMMCがその次,そして,MMCからDRAMが長い,ということになります.問題は,電気信号ですから導体を流れるときはそれなりの速度で伝達するはずなのですが,この長さの違いが高クロックになればなるほどシビアな問題となってくるのだそうです.つまり,システムが不安定になるということです.
そこで,安定させるためにクロックジェネレータからDRAMまでの配線を故意に曲げることによってタイミングを合わそうとしているわけです.このあたりが高クロックメインボード製作の難しいところです.
次に,チップセットにいろいろな機能が入ってくることについて話しました.つまり,810チップセット(ビデオ回路が入る)の例にもあるように,チップセットにいろいろな機能が統合されてくると,メインボードの設計は楽になるのではないか,と考えたのです.しかし,ネルソンさんの意見は異なりました.設計が楽であるどころか,ある意味で難しくなってきている,しかも,チップセット自体のバグはメインボードメーカー側で取るのは非常に難しいことです.また,BIOSの設定までも大変となるということになります.
次に,もう一つはCPUの高速化にしたがって機能が増えてくる場合が考えられます.たとえば,ソフトウェアモデムです.モデムのLSIの中心はDSPと呼ばれるデジタル信号処理部で,データリンク部,そして物理的回線接続部の大きく分けて3つの部分から構成されています.ソフトウェアモデムというのは,たとえばこのDSPの部分,つまり計算の部分をCPUにやらせて,データリンクの部分をチップセットに処理させ,物理的に接続する部分だけをメインボード上に配置しようということです.
このように,CPUとチップセットに従来のモデムの大半の機能を渡し,そしてチップセットをサポートするようにソフトウェアが処理をする,ということになるのでこれをソフトウェアモデムというのです.つまり,部品点数が少なくなるのでコストダウンできることになります.その分CPUの負担は大きくなるのですが.いずれにせよ,ソフトウェアだけでモデムになるわけではありません.
しかしまあ,ソフトウェアモデムにソフトウェアDVDとなると,CPUの負担は本当に大きくなりそうです.言い換えると,単機能なら多少CPUパワーが少なくても,というような気もするのですが.