阿南工業高等専門学校 電気電子工学科
3年 宮田優一
指導教員;釜野 勝
aitendoのパワーアンプキット(AKIT-540)を製作(図1中)した.
付属していた抵抗の下地が青色だったため,そのカラーコードを読んで抵抗値を特定するのが難しかった.また,部品をはんだづけする際に大小さまざまなものがあるため,取り付ける順番が重要であると感じた.
図1に完成したキットを用い,アダプター(DC15V)およびスピーカー(8Ω)を用意し,実際に使用している様子である.なお,音源は音楽プレイヤー(ウォークマン)を使用した.
基板の中央下部にある可変抵抗のつまみを回し,音量が調節できることを確認した.
もう一つのつまみは,低音を調節するサブウーファーであるが,現在は使用していない.
このパワーアンプを使用した際,アンプチップ(MW15V)の温度が高温になった.
そのため,図2のようにアンプチップにヒートシンクを取り付けた.
図1 完成したキットを使用している様子 | 図2 ヒートシンクを取り付けた写真 |
ヒートシンクは,チップに溜まった熱を放熱してくれるが,実際のところヒートシンクを付ける前と後とでどれくらいの温度差が生じるのか疑問に思った.そこで,以下のような実験を行った.
1.ヒートシンクを付ける前のアンプを動作させ,10秒(120秒以降は60秒)ごとに放射温度計でチップの同じ箇所の温度を測る.なお,音量は一定なものとする. |
実験の様子を図3に,測定した値のグラフを図4に示す.実験は21℃の環境下で行った.
図3 実験の様子 |
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図4 ヒートシンクを取り付ける前と後の温度変化 |
上記の結果より,上昇温度の最大はヒートシンクを取り付ける前が49.0度,取り付けた後は38.6度だった.また,取り付ける前と後とで10.4度の温度差が生じた.温度が38.6度までに抑えられたため,アンプチップの熱による故障率を下げることができると考えられる.アンプチップなどの半導体素子は,素子のジャンクション温度が10℃上昇するたびに寿命はほぼ半分になり,故障率は約2倍になるといわれている.それを考慮すると,今回の実験で寿命は約2倍に伸びたと考えられる.
ヒートシンクの他にも小型ファンを取り付けることで,コンデンサなどが密集する基板全体の温度上昇を防ぐことができると推測される.