教育ITソリューションEXPOにて聞きました
「うちはこう使っています」,小学校の現場の先生が語る校内ITシステム活用

編集部

 

 2014年5月21日〜23日,学校向けのIT専門見本市である「第5回 教育ITソリューションEXPO」が,東京国際展示場(東京ビッグサイト,東京都江東区有明)にて開催されました.教育用のディジタル・コンテンツやディジタル教科書,1人1台のタブレット教育などさまざまなトピックが並んでいますが,実際の現場ではどのように導入,活用されるのでしょうか.導入費用もさることながら,教える側に必要とされるスキルや,教材が変わることによる教育効果の変化も気になります.

 そのような中,実際に教育ソリューションを導入して活用している小学校の先生のお話を聞いてきましたので,ご報告します.

 


導入事例を紹介する小学校 教諭の竹澤氏(富士ソフトのブースにて)

 

写真を見て「ここ行ったよね!」は意欲喚起に有効

 竹澤氏の小学校に導入されているのは,富士ソフトの総合教育ソリューション「みらいスクールステーション」です.これは,各教室に,校内LANに接続された「メディアボックス」と呼ぶ端末を設置して,メディアボックスを教室のテレビ/プロジェクタに接続することにより,教室のテレビ/プロジェクタで校内LANのサーバ上にあるコンテンツを閲覧できるようになります.

 また,メディアボックスには先生用のタブレット端末や生徒用のタブレット端末を接続でき,先生のタブレットから生徒のタブレットに課題プリントを一斉送信したり,生徒がそれぞれのタブレット画面上で書き込んだ回答を先生のタブレットで参照したり,任意の回答を最大四つまで選択し,テレビ/プロジェクタに表示することなどができるなど,盛りだくさんの機能があります.

 


「みらいスクールステーション」のシステム構成

 

 竹澤氏によると,現在,鎌倉市の8校の小学校にこのシステムが導入されているということでした.実際の活用としては,

などに活用されているそうです.

 

具体的な活用事例

 竹澤氏の授業での活用の例をいくつかお話しいただきました.ここではタブレットはまだ導入しておらず,主に,校内LAN上のサーバに置いたコンテンツを,各教室で参照,利用しているようです.具体的には,以下のような活用例を挙げておられました.

 

(例1)授業(社会): 浄水場見学の復習として,水をきれいにする設備の写真を数枚表示し,どのような順番で水がきれいになっていくのかを確認する.ただし,画面表示だけだと参照できるものが残らないので,別途,黒板に貼り出す紙も必要.
 自分たちが見てきた設備の写真なので,生徒も意欲的に反応してくれる.

 

(例2)授業(国語): 漢字しりとり.「青空」→「空気」などのスライドをめくっていき,どのようなルールに則ってしりとりがつながっているのかを考えてもらう.スライド自体はPowerPointで作ったが,画像(jpg)としてサーバに保存し,扱いやすくしている.

 

(例3)授業(国語): 漢字の読み取り問題を1問1スライドとして作成し,表示順をランダムにして生徒に答えさせる.

 

(例4)授業(英語): Youtubeに上がっている英語の歌の動画(今はやりの“Let It Go”,歌詞付き)を流し,みんなで歌う.この動画は,カラオケのようにどこの歌詞を歌っているのかが示されるので,みんなついていきやすい.

 

(例5)授業(体育): 体育祭で踊るダンスの見本を録画しておき,ダンス指導に活用する.見本の映像と,自分たちの実際の映像を見比べると,どこができていないか気づきやすい.また,授業だけでなく,生徒が休み時間などに自主的に練習するのにも役に立っていた.

 

(例6)給食指導: 給食の時間に,その日の献立や準備のようすなどの映像を一斉送信した.なお,メディアボックスを通じて,各教室にあるテレビを一斉にオンにすることができるので,各教室で個別にスイッチを押す必要はない.

 

(例7)校内放送: 放送委員会が撮影した映像を給食の時間などに一斉送信した.

 

 全生徒が1人1台のタブレットを使いこなす教室はまだ現実のものとしてイメージしにくいですが,このような活用なら,現在の延長にある「少し便利」な形として十分あり得るな,と感じました.

 「1人に1台を配布」は難しいとしても,そのうち学校でも「BYOD(Bring Your Own Device)」になる時代が来たりして...?