モータを手で巻いてみる! 百聞 < 一見 < 実体験
トラ技先生応援プロジェクト第1弾!
「EVモータを巻いてみた」技術セミナ開催報告

編集部

 

 2014年8月22日(金),トラ技ジュニアを配布してくださっている先生方に感謝の気持ちを込めて,無料の技術セミナを開催しました.内容は「EVモータ&キット・カート組み立て」.講師は,EVモータやコントローラの開発,ガソリン車の電装品開発などに長年携わってこられた,ミツバ SCR+プロジェクト プロジェクト・リーダーの内山 英和氏です.座学から手を動かしての実習,動作実験と,充実した内容(詰め込みすぎとも言う)の一日に….参加いただいた先生方,お疲れ様でした!

 

 

10:00〜 講義

 まずは座学から.EV用モータの種類や特徴,動作原理,基本特性などを学びました.さらに,教材として使うブラシレス・モータ(磁石界磁式ブラシレス同期モータ)について,「電圧を2倍にしたら特性はどう変わるのか」,「巻き数を半分にしたら」,「太い線を巻いたら」,などをグラフで確認しました.

 EVや試作車両の話もあり,夢がふくらみます.2時間半ノンストップの,密度の高い講義でした.

 

 

13:30〜 モータ手巻き実習

 午後はいよいよ実習です.4人ずつのグループに分かれて,ブラシレス・モータのティース(歯)にマグネット・ワイヤ(エナメル線)を巻きつけるのです.

 

   

 

 最初に,講師の内山氏が見本として巻いてみせます.今回は6直1並,つまり,U相,V相,W相,各1本の線を,それぞれ6個のティースに巻きつけます.ティースは全部で18個あるので,二つ置きにぐるっと一周すれば1本の線を巻き終わります.

 「巻き数は(一つのティースに)5ターンずつでいいです.もっと巻きたいグループは,もっと巻いてもいいです」

 「まず1本を巻いたら,次の線は先ほど巻き始めた場所の隣から巻き始めてください.そうすると巻き終わりの位置も隣り合わせになります.…と言っても,必ず1組くらい,違うふうに巻いてしまう人がいるんですよね」

 

 

 皆さん,説明をバッチリ聞いておられましたので,まさかそんなことはないですよね! と思っていたら,実際に巻いてみるとなぜか巻き終わりがそろわないグループがちらほら….モータを表にしたり裏に返したりしながら巻くので,ついうっかり間違えてしまうようです(編集部も間違える自信があります).

 皆さん真剣に取り組んでおられ,ワイヤを巻く時間はシーンと静まり返っていました.また,巻いた人が次の人に「体感した巻き方のコツ」を伝授していました.どのグループのワイヤもきれいに巻かれていました.さすがです!

 線を巻き終わり,各相の片方の終端をはんだ付けすれば,だいたい完成です.

 

 

15:00〜 動作実験

 でき上がったグループから,講師テーブルにモータを持って行き,電源やコントローラとつないで動かしてみます.

 「おっ動いた!」.皆さん嬉しそうです.

 コントローラ基板に接続されたボリュームのつまみを回して,回転数を上げたり下げたり.電流計を見ながら「このくらいの回転数が,電流が抑えられて効率が良いですね」.回転数が上がると,モータの振動が反響して机がゴーっと鳴り,回転数の変化を体感できます.

 

 

 全グループのモータ動作実験が終わったら,お楽しみのEVカート試乗です.本日の教材と同じモータが組みつけてあるCQ EVミニカート・キットに1人ずつ乗っていただきました.

 

 

 17:00にセミナは終了し,その後,ささやかな懇親会を開きました.先生方同士の交流も盛り上がり,編集部一同も貴重なお話を伺うことができました.どうもありがとうございました.

 

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 編集部では,今後も引き続き,「トラ技先生応援プロジェクト」を進めてまいります.
次回の企画にもご期待ください!

 

 

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