CADツールと切削加工機でプリント基板製作を体験!
トラ技先生応援プロジェクト第4弾
「プリント基板製作 初体験! 」技術セミナ開催報告

編集部

 

 2015年8月19日(水),CQ出版社 セミナ・ルーム(東京都文京区千石)にて,トラ技ジュニアを配布してくださっている先生方を対象とした特別技術セミナ「プリント基板製作 初体験! 」を開催しました.プリント基板設計CAD(Computer Aided Design)ツール「EAGLE」による配線パターンの作成から,3D切削加工機を使ったプリント基板の切削加工までを体験いただきました.

 

 

 講師は,PCBミリングの道間 健一氏とミューテックの服部 武司氏です.3D切削加工機はローランド ディー.ジー.の「SRM-20」を5台使用しました.

 参加いただいた先生方には「EAGLEをインストールしたノート・パソコンを持参すること」,「書籍『コンパクト3D切削マシンで作るMyプリント基板』を持参,できれば予習してくること」などの事前準備をお願いしました.忙しい中にもかかわらず,皆さまに熱心にご参加いただきました.

 


道間 健一氏(PCBミリング)       服部 武司氏(ミューテック)

 

切削加工機のくせをよく知ることがたいせつ

 まず道間氏が,切削加工機を使ってプリント基板を製作するための基礎知識について解説しました.基板の種類や仕様,回路設計で考慮が必要なことのほかにも,使用する切削加工機とソフトウェアのくせを知ってレイアウト設計することがたいせつだとのことでした.

 例えば,線を削り出す際に,線の幅が工具の先端の幅と同じになるわけではありません.工具の軸ぶれや締め具合による誤差などで線幅は変わります.本番前に,テストとして削ってみて確認するとよいようです.

 

EAGLEでガーバ回路データを作る

 続いて服部氏による,EAGLEを使ったプリント回路設計の解説と実習が始まりました.CADツールに回路図を入力し,部品を配置してから,自動配線を行います.必要に応じて配線を修正します.

 


プリント基板設計CADツール「EAGLE」上で部品を配置して...

 


自動配線,修正してレイアウトを完成させる

 

 配線まで完了すると,ガーバ・データを出力します.切削に必要なレイヤだけを選択して,回路パターン・データとドリル・データ(ドリル穴のデータ)を出力します.

 

切削加工機を体験! 

 EAGLEから出力したデータを,プリント基板ミリング・ソフトウェア「WINSTAR PCB」に読み込みます.

 切削加工機によるプリント基板製作では,導通パターンの外周を切削してほかの回路パターンと絶縁します.そのため,導通パターンの輪郭線のデータを新たに作成します.その作業をこのソフトウェアで行います.

 データが作成できたら,いよいよ回路パターンの切削です.回路パターンはV刃のエンドミル(切削工具),ドリル穴はドリルと,切削加工機の刃を付け替えてプリント基板を製作します.また,切削開始前にX,Y,Z軸の原点設定を行いますが,特にZ軸原点(刃の高さ位置)の設定は正確に行う必要があるとのことで,エンドミルの取り付けや調整の微妙な力加減に苦労しておられた方も多かったようです.

 


テーブル位置の調整やエンドミルの交換など設定作業がいろいろある

 

 


プリント基板が完成! 

 

*   *   *

 

 セミナの後は恒例の懇親会で盛り上がりました.北は東北から南は九州まで,全国各地から先生方にお集まりいただき,いろいろなお話を伺うことができました.参加いただいた皆様,どうもありがとうございました.

 

 

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