往年の DOS/V ATマシンにPentiumII,Celeron対応 マザーボードを搭載して快適環境を構築する! 旧型パソコンをSlot1 深 山 武 |
MB交換をやむなくする背景
結構な値段で数年前に購入されたパソコンも,テクノロジの急激な発展や,ソフトウェアの多機能化に伴って,すでに快適な処理速度を得られないマシンと化してしまい,不便を感じながら使っている,というパソコンユーザーは少なくないでしょう.しかもリース期限や,諸般の事情により,新調すべきか処分すべきかとお悩みの方もいることと思います.そのようなソリューションとしてマザーボードの入れ替えがあります.
この項では,旧マシンのマザーボード(以下MB)とCPUを,時にはメモリ(主流を外れたSIMMタイプ)もあきらめ,ディスプレイ,ハードディスク,CD-ROMドライブ,キーボード,マウス,そして蓄積された貴重なデータ(HDD),およびIFカード類はそのまま活用し,3万円程度の出費で最新鋭マシンを構築する方法を紹介します.使用工具は,ドライバ1本でOKです.
交換パーツの選択
今回のターゲットマシンは,米Micron社のMillenia P133PCIという,元々Pentium133(Socket5)で動作するおよそ5年前のパソコンです(写真1).ワープロくらいなら使えないこともありませんが,新鋭のマシンと比べると,スクロールや,画像処理の遅さを目のあたりにします.DVDのソフト再生なんて論外です.Hi
この頃のパソコンのビデオチップは,オンチップが多く,サウンドチップはオプションというものも少なくありませんでした.このマシンには,ビデオカードが搭載されていましたが,VRAMが2メガと非力なので,この際,適当な廉価版のAGP仕様を探すことにしました.
今回のMBの換装に必要なパーツは以下のもので,おおよその予算を示してみました.
・CPU(Slot1タイプ) 10,000〜15,000円
・AT型マザーボード(Slot1) 13,000〜16,000円
・メモリ(SDRAM 64Mバイト/PC100 CL2)
約6,000円
・ビデオカード(AGP 8Mバイト)
約5,000円
*http://www.watch.impress.co.jp/akiba/などを参考にするとよい
この旧マシンに搭載のMBは,AT規格です.その当時主流であったのですが,現在はATXが主流で,ATは徐々に種類が減ってきています.しかし,なくなったわけではありません.
今回はその中から,PentiumIIやCeleronが搭載できるSlot1タイプのものをセレクトしました.最近は,Slot1もSocket7も,さらにSocket370も金額的には大きな差がなくなっており,選択する速度次第ですが,予算はこの程度でそれなりのCPUが入手可能です.
CPUについて
MMX PentiumからのSocket7タイプのCPUも,まだ根強い人気があり,かなり高性能なものも多数あります.値段も数千円から30,000円程度まで,さまざまです.Socket370タイプは,現在のところCeleron
(PPGA)の選択肢しかありませんが,300から466MHzのものが選べます.今回は,将来的にPentiumII,IIIを使用してみたいと思い,Slot1タイプの選択となったのです.
なお,15,000円程度の予算で,高性能なものをということで,Celeron400(SEPP)を入手しました.
メモリ
最近のメモリはSDRAMが主流で,旧型パソコンで使用されているSIMMタイプは使用できないMBがほとんどです.SIMMに対応しているMBを購入する場合は別ですが,SIMMとDIMM(SDRAM)の両方のスロットを持つタイプのMBであっても,混在して使うことのできるボードはほとんどないといえます.現段階での将来性を考慮すると,必然的にSDRAMになるでしょう.
SDRAMも,最近は非常に安価になりました.64Mバイトのものが執筆時点でおよそ6,000円程度で入手できます.
Windows 98を使うには,64Mバイトあれば通常,不自由はないと思います.
ビデオカード
元のマシンに付いていたビデオボードもそうですが,その時代のパソコンのVRAMはオンボード2Mバイトくらいが多く今では非力です.最近主流の超高性能タイプでなくても,PCIスロット,またはAGPスロットに装着するVRAM
4Mバイトクラスであれば,5,000円程度で購入できます.3DやCAD,高度なグラフィック機能が要求されるゲームなどをしない場合はこの程度で十分です.
AGPはもともとSlot1タイプのMBに対応して開発され,従来のPCIスロットよりもバスクロックが速く,グラフィック専用のスロットです.最近入手できるMBはこれをサポートしているものが主流となってきました.今回は秋葉原のショップを回って店頭で一番廉価な約4,000円のものを選択しました.
使用したマザーボード
ターゲットの旧パソコンのMBは,バスクロック周波数が50/60/66MHzの3種類で,倍率も1.5と2倍しか選択できないため,Pentium 133が限度でした.そこで,AT仕様のMBであるSOYO社SY-6BBを入手しました(写真2).
<写真2>採用したSOYO SY-6BB,ATタイプSlot1 CPUマザーボード.
その右は,拡張スロットにシリアル(RS232C),USB,パラレル端子を設けるための接続ケーブル
SY-6BB(図1)は,その電源にATX仕様,AT仕様のいずれにも対応しており(写真3),非常にコンパクトな構造をしたボードです.
PentiumII,Celeronが搭載でき,CPUのコア電圧は固定(2.0V/2.8V),動作周波数と倍率はBIOS設定の中で決めるという最近主流のジャンパレスになってます.
今回使用するCeleron400では,倍率は固定(6倍)されているので,設定では400MHz(66MHz×6)を選択します.
MBの中には,サウンドチップやビデオチップを搭載したものもあり,さらにはSCSIもサポートしているものもあります.その中で,ビデオチップが搭載されている場合は,メインメモリからビデオチップ用にメモリを割り振る場合がほとんどなので,使用するアプリケーションなども考慮して購入するメモリのサイズを検討します.
改造手順1:旧ボード類を外す
まず旧MBの取り外しをします.電源コードを外したうえで,既存のコネクター類(IDEコネクタ,FDDコネクタ,電源コネクタなど),各種ボード類(スロットに装着されていたもの,NICボードなど),そしてMBを取り外します.
注意することは,パーツ類に使用されているICなどの電子部品は静電気に弱く,扱いに慎重を要します.空気が乾燥している季節に実感するこの静電気ですが,電子部品のほとんどは,デリケートなので,火花の散る静電気を浴びると簡単に昇天してしまいます.
必ずどこか金属の部分に触れて,体や服が帯電したまま作業をしないことが大事です.海外メーカー製MBには,静電気対策として,組み立てる際に金属部分と工作者とを結ぶリボンテープが同封されていることがあります.
コネクタ類は,比較的簡単に抜けます.フラットケーブルの赤線(もしくは青)がコネクタの1番ピンと接続されています.コネクタの形状から,ほかのところには接続できないようになっていますが,中には天地逆でも差し込めるものもありますので,取り外す際,よく確認しておくことが肝要です.
拡張カードは既存MBのスロットにしっかりと挿さっていることがあり,旧MBの止めネジ類を外す前(ケースに収まっている状態)にIFボードなどを先に外したほうが作業がしやすでしょう.また,旧パソコンから取り外されたボードなどの保管ですが,購入時に梱包されている袋が便利です.
以下略.
copyright 1999 深 山 武