SOHO時代のUNIX管理と活用の記録

LinuxからCD-Rを焼く実験と
Linuxのプログラミング言語(第5回)


倉光 君郎

 最近,ハードウェア系の話が長らくご無沙汰でした.今回は,残りディスク容量の少なくなってきたLinuxマシンのHDDの増設をしながら,ついでにCD-RやMOドライブなど大容量メディアの利用に挑戦してみようと思います.

CD-Rへの長い道のり

 CD-R(CD-ROM Recordable)は,とにかく大人気です.ここ1, 2年で急激に普及してしまったという観があります.筆者は,2年ほど前に,実はMOドライブ(230MB)をバックアップ用として購入したのですが,その時はCD-Rをまじめに購入対象として比較した記憶がありません.やっぱり,普及が急激であると言えるのではないでしょうか?(出版関係者の方は,かなり昔からCD-ROMの原版作りのために利用していたようですが).
 CD-Rの魅力は,何といっても,音楽CDやCD-ROMなどを1枚丸ごと,しかも完璧に複製できてしまう点でしょう(最初にCD-Rを見たとき,オイオイ,こんな機械,販売していいのかね?と思った方も多いはず). 最近は,メディアの値段も,ぐ〜んと値下がりして,余裕で1枚200円を切っています.CD-Rは,650MBほど書き込めるので,1MB当たりの単価は0.3円以下.これなら,焼き直しがきかなくても,バックアップメディアとしても非常に有望です.
 今回は,このCD-RドライブをLinuxマシンにつなげて,バックアップメディアとして活用してみようと思います.

HDDが足りない!!

 CD-Rドライブは,購入してきてつなげば,すぐに使えるというわけではありません.
 通常,CD-Rを焼くためには,HDDに800MB以上の空き容量が必要です.それは,面倒な話ですが,CD-Rに焼き込むデータをいったんイメージファイルとして作っておくからです.確かに,オンザフライ(On the fly)と呼ばれる,直接メディアからCD-Rに焼く方法もありますが,その場合,焼きミスが発生しやすくなります(音楽CDの場合は,焼きミスと言っても悪くてプチプチと音が途切れるだけですが,CD-ROMの場合致命的です.焼きミスについては,実際にCD-Rドライブを使用するときにもう少し詳しく触れたいと思います).とにかく,CD-Rを安定的に使いたい場合は,十分なHDDの空き容量が必要です.
 ところで,この連載で使用してきたLinuxマシンは,HDD 2GBにWindows95とLinuxが同居するという窮屈な構成でした(特に,Linuxの領域が恒常的に足りなくなっていました).当然,CD-Rを使いこなすだけの空き容量がありません.
 そこで,HDDドライブの増設とCD-Rドライブの接続を同時に実行することになりました(さらに,MOドライブも接続してみようと思います).

秋葉原で買い出し

 CD-Rドライブは,SCSI接続とATAPI接続の2種類が存在するようです.しかし一般論としては,ユーザー数も多く,安定しているSCSI接続のCD-Rドライブをためらうことなく購入すべきである,と言われています(Linuxでは,そもそもATAPI接続は動かない可能性も高い).ここで悩むとしたら,今回,増設するHDDもSCSI接続にしてしまおうかな? くらいでしょう〔既設のHDDとCD-ROMドライブは,ATAPI(IDE)接続だった〕.とりあえず,秋葉原で価格をみながら決めることにします.

CD-Rドライブの下調べ

 ところで,そもそもLinuxで利用できるCD-Rドライブは存在するのだろうか,という大きな疑問がわいてきませんか? まず,CD-Rドライブの動作確認をしておきましょう.
 最初に定番の「はねひでやさんのハードウェア実績リスト」を参照してみました.
 http://www.flatout.org/~wing/Linux/Hardware/
 どうやら,Linux上での動作が確認されたCD-Rドライブは存在するようです(ほっと一安心.見つからなかった企画が流れるところだった).しかし,掲載されている機器の数が少ないのが気になります(以下,1998年11月現在).ちょっと古そうなドライブが多いので,これと同じ型番のCD-Rドライブが見つけられるか心配になってきます.

RICHO MP6200scdrecord-1.5a9 CD-ROMのみ確認
SONY CDU921sX-CD-roast使用
SONY CDU-926sX-CD-roast使用,イメージ書き込み
TEAC CD-R551SB xcdroast-0.96d-1.i386-rh51.rpm
YAMAHA CDR-102 x4 読 / x2 書
YAMAHA CDR-100II x4 読 / x4 書
YAMAHA CDR400txcdroast0.96c-beta1 CD-
 DA,CD-ROM,on the fly OK
YAMAHA CDR400tx cdrecord-1.6a5


 そうこう悩んでいるうちに,学校の後輩がCD-Rドライブの安売り情報を教えてくれました.Panasonic CW7502B(4倍速書き込み可+書き込みソフトWinCDR4.0付属)が3万円強だと.ちなみに,WinCDRは,Applix社の最新のCDライティングソフト(Windows98対応)で,それ自体を単体で買っても3万円以上するという話です.しかし,Linuxで動かしたいんだけど,大丈夫?
 親切な後輩は,次のサイトにある「Unix CD-Writer compatibility list」に掲載されているから問題なし,といいます(deドメインはドイツ?デンマーク?).
  http://www.guug.de:8080/cgi-bin/winni/lsc.pl
 確かに,CW7502Bの動作は確認されているようです.しかし,このリストはちょっと怪しいところがあって,Panasonic CW7502BとMatsushita CW7502Bが区別して載っていました〔しかも,一方はCD-DA(音楽用CDのこと)の書き込みが動作しないと記載されている.この両ベンダーは,どこがちがうんだ!?〕
 それでも,(価格が魅力的なので)Panasonic CW7502Bを購入してみることに決めました.

SCSIインターフェース

 さて,CD-Rドライブと一緒にSCSIインターフェースも購入しなければなりません.SCSIインターフェースはピンきりで,知名度の低いベンダーのは極端に安く,Adaptecなど一流ブランドはこれまた極端に高いという代物です.
 CD-Rドライブを購入した店では,しきりにRATOC REX-PCI30B(バルク:約7,000円,UltraSCSI対応)を薦められます.しかし,Linuxで動きますか?と聞くと,やっぱり顔色が曇ります(たぶん,大丈夫なのでは,とおっしゃいますが).
 筆者は,CD-Rドライブ自体がちょっと冒険気味なので,SCSIインターフェースくらいは,確実なものがいいと,Adaptec AHA-2910B(バルク:約8,000円,FisrtSCSI対応)に目をつけました.
 しかし,お店の店員さんによると,AHA-2910Bは転送速度が遅いだけでなく,BIOSがないので,SCSIデバイスからのブートができないそうです.CD-RドライブやMOドライブなど,低速デバイスを接続するので,UltraSCSIでなくて,FirstSCSIで十分でしょうと思うのですが,BIOSがないからブートできないというのが気になります.
 よく説明を聞くと,マシン起動時に,AHA-2940などがインストールするBIOSやSCSI設定ユーティリティがないそうです(つまり,SCSI HDDをC: ドライブとして認識できない).実は,AHA-2940UW,AHA-2940AUしか使ったことがないという贅沢育ちだったので,結構,新鮮な驚きでした(表1).
 あなたなら,どれを選びますか?
 結局,LinuxのブートはIDEのHDDから行ってくださいね,と釘を刺されながら,AHA-2910Bを購入しました(低速デバイス専用として使いますよ).

ハードディスク

 ハードディスク購入に関しては,編集長に問い合わせたところ,10GB以上のHDDを買ったけど,認識しないから,マザーボードのBIOSをアップデートするという話も面白いですね,と言われました.でも,1年前に組み立てばかりなので,いくらなんでも認識するのでは?? そういうわけがあるので,Quantumの10.2GB(IDEタイプ)を購入することにしました(写真1).
 ところで,最近,またまたHDDの値段が下がっているようです.筆者は,1GB=約1万円と単純換算する癖がついているので,10GBのHDDなんて,一体いくらなんだろう,と不安少々.しかし,10GBでも3万円強で購入できました.1998年11月現在,IDE/ATAPIタイプのHDDなら,10GBオーバーでも,3万円以下で購入できるようです(SCSI接続のHDDは,相変わらず高いのが不思議ですが...).

HDD,CD-Rの増設

 作業としては,既存のLinuxマシンに,購入してきたHDDとCD-R,ついでに(MOドライブ)を増設します.ちなみに,CD-Rドライブは5インチ・フロントベイへ増設するタイプです.図1のようになります(図1グレーの部分が今回増設したところ).

以下略


copyright 1999 倉光 君郎