知っておきたいパソコン部品の歴史と構造 パソコン部品事典(第4回) その7 マザーボード 相沢 一石 |
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PC/AT互換機の基本となる部品は,図7-1に示すように,CPUチップ用のソケット(スロット),システムの基本的なコントロールを担っているチップセット,メモリのソケット,オプションボードのソケットなどから構成されています.
486のPC/AT互換機マザーボードまでは,図7-2に示すようにキーボード以外のデバイスはすべてオプションボードで追加するようになっていました.ビデオボード,マルチI/Oボード(図7-3)で最小の構成となります.このほかにサウンドボード,SCSI,ネットワークなどが一般的なオプションボードでした.これらのオプションボードは改良されると,必要なボードのみを交換することができます.
当時のNECの国産PCであったPC 98シリーズは,対外的にも優れたグラフィックICをマザーボード上に持っていました.そのため,当初は国産のゲームのほうが画像がきれいだとの評価を得ていました.しかし,Windowsの登場で状況は一変してしまいました.PC/AT互換機の柔軟な仕組みによってビデオボードは1年ごとに性能を一新してきました.
● CPUチップの高性能化に伴いバスがネックとなる
PC/AT互換機に搭載されていたバスはISA(AT)バスと呼ばれるバスで,Intel社が躍起になって廃止したがっているバスですが,当初はこれが標準でした(写真7-1参照).Windowsの登場でグラフィック処理のスピードがネックとなり,VLバスが特にグラフィック処理のバスとして登場し,採用され,486CPUの当時は全盛になりました.しかしグラフィック以外の汎用性が乏しいのと,486CPUの信号に依存した部分が多いため,Pentium CPUの登場とともにPCIバスに取って代わられ現在に至っています.
● インテル製のチップセットの登場
486のCPUまではチップセットはSiS,C&Tをはじめ複数のチップセットのメーカーが開発提供していました.しかしPCIバスをIntel社が提唱したこともあり,Pentium
CPUの登場に合わせて,チップセットもIntel社が提供するようになりました.こうなると,新しいCPUの登場とそれに対するチップセットは表7-1に示すようにIntel社が提供することになります.
Intel社が提唱しIntel製のチップセットを採用して,初めて新しい機能が普及する状態がいまだに続いています.
チップセットの役割
最近のチップセットの基本的な役割は図7-4に示すように,CPUの周辺の制御を行うものでノースチップまたはAGPset,PCIsetと呼ばれるチップとIDEポートとI/Oデバイスなどの制御を行う,サウスチップまたはPIIX(PCI
ISA IDE Accelerator)と呼ばれるチップの2つの部分に分かれています.
従来PCIsetといわれたチップは,特にPentium IIになり,AGPと呼ばれるグラフィックス専用のスロットが用意されるようになったため,AGPsetともいわれています.
チップセットは,CPUとメインメモリの制御,ビデオメモリとの間の信号の制御を行っています.このチップセットがどのようなメモリに対応しているかによって,利用できるDRAMの種類が決まってしまいます.PC用のメインメモリのDRAMはIntel社の開発スケジュールに従うしかない状態が続いています.
サウスチップと呼ばれるチップが,PCIバスとISAバスのブリッジおよびE-IDEハードディスクのインターフェースを分担しています.E-IDE
33MのDMA転送という新しい機能も,このチップセットが対応するようになって利用できるようになりました.USBもこのチップセットが対応するようになって,マザーボードにUSBコネクタが付くようになりました.現在はPIIX4と呼ばれるチップが使用されています.最後の番号は機能が更新されるたびにカウントアップされています.
以下略
copyright 1999 相沢 一石