セクション2

ノートパソコン+PCMCIAカードで手軽にネットワーク接続

LANカード(PCMCIA)

井上 祥史

 ネットワークを構成するためには複数のコンピュータの間で通信ができるようにハードウェア環境を整え,それぞれのコンピュータにネットワークの設定をしておきます.動作確認のために今回構成した環境は,ホストコンピュータにしたデスクトップパソコンとノートパソコンとを10BASE-T型(twist pair)クロスケーブルを介して1:1でつなぐ最も簡単なネットワークとしました.
 写真2-1に2つのコンピュータでLANを構成している様子を示します.手前にあるケーブルがT型クロスケーブルです.

P2-1.jpg (173268 バイト)

さまざまなPCMCIA LANカードの認識

 今回試用したPCMCIA LANカードについて,Linuxの各ディストリビューションでの認識状況の結果を表2-1にまとめます.pcmcia_csバージョンと認識状況に整合性がないところもあり,認識できるカードはまだ多くはない段階ですが,一応の目安となるでしょう.

表2-1.JPG (24016 バイト)

ホストコンピュータの設定

 ホストにするデスクトップパソコンには,

DELL製Dimension V333c
OS:Slackware 3.6(linux-2.0.36)
LANボード:3Com製 3c595

を使いました.このコンピュータのネットワークの設定はnetconfigを使い,

  hostname         wind2
  domain name    ait.ac.jp
  loopback          [no]
  IPaddress      192.168.1.10
  netmask       255.255.255.0
  gateway           [enter]
  nameserver      192.168.1.10

としました.
 ホストコンピュータの名前をwind2,IPアドレスを192.168.1.10としています.また接続する相手のコンピュータの情報を/etc/hostsに,

  127.0.0.1         localhost
  192.168.1.10    wind2.ait.ac.jp    wind2
  192.168.1.20    atuko.ait.ac.jp    atuko
  192.168.1.30    mld3.ait.ac.jp    mld3

と記述しました.atukoおよびmld3はノートパソコンのホスト名です.さらに/etc/resolve.confにドメイン名とネームサーバーのIPアドレスを記述しておきます.これらの設定後,

  less /var/log/messages

などでモジュールが組み込まれていることを示す

  insmod /lib/modules/2.0.36/net/3c59x.o

の記述があることを確認します.さらにifconfig -aでイーサネットLANボードeth0が上の設定を読み込んで,動作状態にあることを確認しておきましょう(次のノートパソコンの項を参照).

ノートパソコンの設定

 ノートパソコンには,

SONY製VAIO PCG-767
OS:Slackware 3.6, Linux MLD III,Vine Linux 1.0β
PCMCIA LANカード:TDK LAK-CD021BX, I/O DATA PCLA/TE

を使いました.個別のPCMCIAカードのハードウェアやインストール方法についての情報は,/usr/doc/ JF/PCMCIA-HOWTO.euc.gzを読むことをおすすめします.
 ノートパソコンへのインストール時にPCMCIAドライバのインストールを指定しなかった場合には,以下の要領で追加設定を行います.Linuxのディストリビューションで若干設定が異なりますが,Slackwareの場合を例にして最新版のドライバのインストールを行った場合を紹介します.

● 最新版のpcmcia-cs-3.0.9のインストール

 最新版のpcmcia-cs-3.0.9のインストールを行うには,pcmcia-cs-3.0.9.tar.gzをhyper.stanford.eduの/pub/pcmciaからダウンロードしたり雑誌を通して入手します.これを/usr/srcにコピーし展開します.以下の例でatukoはコンピュータ名です.

  atuko:# cd /usr/src
  atuko:/usr/src# gzip -dc pcmcia-cs-3.0.9.tar.gz | tar xvf -

すると,ソースがpcmcia-cs-3.0.9以下に展開されます.その後,できたpcmcia-cs-3.0.9に移りインストールを行います.

  atuko:/usr/src/pcmcia-cs-3.0.9# make config

 この間,聞いてくる質問に図2-1のように答え,動作環境を設定します.全部に[Enter]を押してすべてデフォルトのままの指定でもかまいません.
 図2-1のように答えた後,

  atuko:/usr/src/pcmcia-cs-3.0.9# make all
  atuko:/usr/src/pcmcia-cs-3.0.9# make install

で設定は終了です.make installで/etc/rc.d/rc.pcmciaのスクリプトが環境に応じて修正されます.
 それではいよいよカードを挿して認識されるかどうか確かめてみましょう.アイ・オー・データ機器製のPCLA/TEというLANカードの場合では,/etc/pcmcia/network. optsに適切な設定がしてあれば,

  atuko:~# tail -f /var/log/messages
  Mar 29 11:01:51 atuko cardmgr[51]: executing: 'insmod /lib/modules/2.0.36/pcmcia/pcnet_cs.o'
  Mar 29 11:01:51 atuko cardmgr[51]: executing: './network start eth0'

でモジュールが組み込まれ,イーサネットカードが実行状態にあることが分かります.また,

  atuko:~# cardctl config

とするとソケットの状態が表示されます(図2-2).
 また,

  atuko:~# cardctl status

とすると,

  Socket 0:
   no card
  Socket 1:
   5V 16-bit card present
   Function 0: ready
  atuko:~#

のようにソケット1の状態が簡単に表示されます.ソケット1にあるカードを外すには,

  atuko:~# cardctl eject 1

として'ピッピ'と音がするのを確かめてから抜きます.
 このようにpcmciaドライバをインストールしたら,次にホスト名やIPアドレスなど個別のネットワークの設定に移ります.

以下略


copyright 1999 井上祥史