セクション3

SCSIボード (1)

臼田 昭司/伊藤 敏/井上 祥史


 LinuxでSCSIボードが認識できれば多くのSCSIにつながる周辺機器が使用可能です.最初に,試用したSCSIボードについて概要を説明します.次に,個々のSCSI機器について試用例を中心に紹介します(一部次号の予定).WindowsでポピュラーなSCSI機器についてできるだけ多く取り上げています.
 Windowsで使用中のSCSI機器がLinux環境下で動くかもしれません.また,新たにSCSI機器を導入しようとしている場合にはLinuxでの使用を意識して機種などの選定に参考にされてはいかがでしょうか.

 

3-1 Fast SCSIとUltra SCSI

臼田 昭司

 試用したSCSIボードの一覧を表3-1-1に示します.表3-1-2はSCSI規格です.現在はFast SCSI(10MB/ sec)とUltra SCSI(20MB/sec)が主流になっています.どちらも32ビットバスマスター転送方式を採用した高速インターフェースボードです.初期のSCSI,Fast SCSI,Ultra SCSIは,SCSIボードを含めてハードディスク(HD),CD-ROM,光磁気ディスク(MO),ZIPなどのSCSI機器を最大7台まで接続可能です.WideタイプのSCSIでは最大15台まで接続可能です.このような接続方式をデイジーチェーンといいます(図3-1-1).
 デイジーチェーンの終端のSCSI機器にはターミネータ(写真3-1-1)を取り付けます.ほとんどの場合,ターミネータはSCSIボードに付属しているものを使います.

図3-1-1.JPG (21864 バイト)

 また,SCSI機器には識別用の番号(SCSI-ID)を設定します.SCSI機器で使用できるIDは0〜7です.通常SCSIボードの出荷時設定のIDは7になっています.デイジーチェーンの場合はSCSI IDが重ならないように設定します.自動的にIDを振る規格もありますが,確実に接続するためには,手動でIDを重ならないように設定します.
 写真3-1-2〜写真3-1-8は,試用したSCSIボード(パッケージ)とパソコン(Endeavor)のPCIバスに装着した例です.また図3-1-2と表3-1-3はSCSIボードの概観図とハードウェア仕様例です.
 表3-1-1の動作確認の項目で,“OK”は各LinuxディストリビューションでSCSIボードの認識ができたことを示します.
 以下の3-2項からSCSI機器の具体的な試用例について紹介します.

表3-1-1.JPG (37961 バイト)

3-2 大容量ハードディスク

臼田 昭司

 試用したハードディスク(HD)は2機種です(表3-2-1).Ultra SCSI対応の8.4GB外付けHDです.表3-1-1に示したように,SCSIボードが認識できればSCSIボードとHDの組み合わせは同じメーカー製でなくとも接続して使用することができます.ここでは以下の2例の組み合わせと,HDをLinuxの起動用ドライブにした試用例について紹介します.

● アイ・オー・データ機器製SC-PCIとHDVS-UM 8.4Gの場合

 最初にWindowsでSCSIボードを認識してからfdiskコマンドでHDをパーティションを最大にし,フォーマットします(図3-2-1〜図3-2-5).次に,Linuxを起動して以下のコマンドを実行してSCSIボードとHDの認識を確認します.

  # dmesg | more

または,

  # more /var/log/message

 図3-2-6はHDが認識された例です(図中のSCSIデバイス認識部分).HDのベンダー名などが表示されています.HDはSCSIデバイスsdaとして認識されています.Linuxのktermからfdiskコマンドを実行してセクタサイズ,シリンダ数,ブロック数などを確認します(図3-2-7).
 図3-2-8はHD(sda1)をDOSファイルシステムでマウントした例です.図3-2-9はマウント後にファイルをLinux側からHDにコピーして,lsコマンドで確認した例です.図3-2-10〜図3-2-13はHDにext2ファイルシステムを作成してマウントした例です.

以下略


copyright 1999 臼田昭司/伊藤敏/井上祥史