セクション4 利用できる種類は少ないが活用用途を広げられる SCSIカード(PCMCIA) 井上 祥史 |
軽さ,薄さ,コンパクトさが求められ容量や機能に制約が多いノートパソコンでは,SCSIカードを使うことによりハードデイスクやCD-ROMなどのデバイスを同時に複数追加接続することができるため,一気にその制約を取り払うことができます.いくつかのSCSIカードの使い方と現状を紹介します.
いろいろなPCMCIA SCSIカードの認識
今回試用した2枚のPCMCIA SCSIカードは,Linuxの各ディストリビューションで表4-1のように認識されました.MLD
IIIではIRQの変更を必要としました.多くのメーカーがSCSIカードを各種提供していますが,Linuxで認識できるのはまだ少ないのが現状です.
写真4-1,写真4-2にこれらのカードの写真を示します.
<写真4-1>メルコ製 SCSI-2 IFC-SCD SCSIカード |
<写真4-2>Adaptec製 SlimSCSI APA-1460A SCSIカード |
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SlackwareでのSCSIカードの認識
SONY製のVAIO PCG-767にインストールしたSlackware3.6(Linux-2.0.36)でSCSIカードの認識状況を調べてみました.カードドライバにはpcmcia-cs-3.0.9を使用し,Adaptec製のAPA-1460A SlimSCSIとメルコ製のSCSI-2 IFC-SCDのカードを調べました.この2つのカードはともにカードを挿すだけで認識されます.しかも2つとも同じモジュールで動作することからハードウェア的にこの2つのカードは同じものであると考えられます.実際,メルコ製のSCSI-2 IFC-SCDカードを挿入して,
tail -f /var/adm/messages
でmessagesの最後の部分を見ると図4-1のように表示されます.ソケット0にあるAPA-1460
SlimSCSIがaha152x_cs.oというドライバで動いていることを表しています.この表示はadaptecのAPA-1460A
SlimSCSIを挿入したときと全く同じです.
SCSI機器としてCD-ROMを入れたPDドライブ(Panasonic製)を接続していますので,カードマネジャーcardmgrはPDのCD-ROMをscd0というデバイスの識別子を与えています.
less /var/run/stab
とすると次のように2つのPCMCIAソケットの状態が表示されます.
Socket 0: Adaptec APA-1460 SlimSCSI
0 scsi aha152x_cs 0 sd#4004 8 0
0 scsi aha152x_cs 1 scd0 11 0
Socket 1: empty
/pdをマウントポイントとしてCD-ROMのディレクトリを表示してみると,図4-2のようになります.古いCD-ROMですがきちんと内容が表示されました.
CD-ROMの代わりにPDカセットを入れたとき,
less /var/run/stab
でソケットの状態を調べると,
Socket 0: Adaptec APA-1460 SlimSCSI
0 scsi aha152x_cs 0 sda 8 0
0 scsi aha152x_cs 1 scd0 11 0
Socket 1: empty
と表示され,PDカセットはハードディスクとして,CD-ROMともに認識されていることがわかります.PDカセットは読み書きできるので/dev/sdaというデバイス名のSCSIタイプのハードディスクとして扱われているのです.
atuko:~# mount -t ext2 /dev/sda /pd
とすると,PDカセットをext2ファイルシステムで/pd以下に読み書きすることができます.
Linux MLD IIIでのSCSIカードの認識
SONY製のVAIO PCG-767にインストールしたLinux MLD IIIでメルコ製のSCSI-2インターフェースカードIFC-SCDを使うと次のように認識はされますが,IRQ番号が適合しないため,そのままではSCSIカードはアクティブになりません.カードを挿し込むと'ピィ'という音は出ますが,しばらくして'ブー'と鳴ります.
tail -f /var/log/messages
でログの最後の部分を確認すると図4-3のようになります.
この図から,Adaptec APA-1460 SlimSCSIのカードを認識していますが,最後には排除されてしまっているのがわかります./etc/pcmcia/configに記述されている定義では,
...
#
# SCSI host adapters
#
card "Adaptec APA-1460 SlimSCSI"
version "Adaptec, Inc.", "APA-1460 SCSI Host Adapter"
bind "aha152x_cs"
card "Eiger Labs SCSI"
version "EIger Labs", "PCMCIA-to-SCSI Adapter"
bind "qlogic_cs"
...
となっていますので,aha152x_cs.oのモジュールがロードされているのがわかります.しかしながら,/var/log/messagesの上から5行目にあるようにIRQ=9が不適当であるようです.
以下略
copyright 1999 井上祥史