Pentium,K6,WinChip,MII倍率設定の違い

ゲタで理解する
CPU電圧・クロック・倍率

MULTIMEDIA CPU UPGRADE KIT

吉 田 功

 Pentium90〜133MHz(166)級のパソコンのCPUを高速CPUに載せ替えるための便利なアダプタが電圧/倍率変換器,通称「ゲタ」です.旧型パソコンのCPUのみを取り替えて高速化する手法と倍率を解説します.

CPUのみ高速化する試み

 CPUの高速化はめざましいものがあります.ちょっと前に大枚で購入したパソコンも,今では型古く遅いパソコンになっています.中古品店では,愛用中のパソコンと同じモノが,廉価で叩き売られているのを見ると心情穏やかならぬものがあります.
 しかし,幸いなことにまだソケット7タイプのPentiumや,その互換CPUには多くの種類があります.
 初期の90MHzタイプのCPU(写真1)と,最近の400MHz以上のCPU(写真2)では,電気的に少し異なるものの,同じCPUソケットに挿せることが少なくありません.そのため,マザーボードの少しの変更(改造)で,CPUをグレードアップできる可能性があります.

<写真1>90〜200MHzのPentiumは
P54Cと呼ばれる(写真は133MHz)
<写真2>インテル製のPentiumより
遙かに高速なAMD 製 K6-2 400MHz
プロセッサ
Geta-1.jpg (13445 バイト) Geta-2.jpg (15326 バイト)

 最近は高速CPUも安くなってきていますので,愛用パソコンの高速化はそう難しいことではなくなりました.
 以上のことを容易に実現するのが,本稿で紹介する通称「ゲタ」と呼ばれるCPUソケットのアダプタです(写真3).
 特に90〜200MHzという旧タイプのPentium(P54C)用のマザーボードで使う場合に威力を発揮します.以下,CPUの載せ替えに必要な知識を示します.

Geta-3.jpg (20784 バイト) <写真3(a)>「MULTIMEDIA CPU UPGRADE KIT」JJ-55Zには,ゲタだけではなく配線ケーブルやヒートシンク,ファンまで含まれる

PentiumとPentium互換CPU

 代表的なPentiumとPentium互換CPUには,表1のようなタイプがあります.インテル社のPentiumは,3種類ありますが,Pentiumの初期製品である60〜66MHzタイプを採用しているパソコンは,それ以降のCPUと外形が異なり互換性がなく,今回のゲタは使用できません.

Geta-4.jpg (46511 バイト)

 その後のPentiun 90〜200MHzタイプは,通称P54Cと呼ばれ,単一電源でおもにソケット5というCPUソケットで使われます.
 166〜233MHzまでラインナップされ通称P55Cと呼ばれています.
 MMXの名称でお馴染みのMMX Pentium(写真5)は,2電源が必要でソケット7と呼ばれるCPUソケットで使われます.最近の400MHzを超えるPentium互換CPUも,このソケット7を対象にしています(写真6).

ソケット5とソケット7

 ソケット5は320ピンのCPUが脱着可能なソケットで,ソケット7は321ピンのソケットになっていて,挿し間違え防止用の“キー”と呼ばれるピンが増えています.
 また,ソケット7は2電源CPUに対応しています.実際に2電源が使えるか,また,どんな電圧が出せるかはマザーボード,機種によって違いますので注意が必要です.

Pentiumのクロックの仕組み

 Pentiumの動作クロックは,外部から供給するクロックを何倍かにしたものを,CPU内部の動作クロックとして使用しています(図1).
 つまり,供給するクロック(外部クロック)と,そのクロック倍率を掛けたものが動作クロックになります.
 たとえば,外部クロックが66MHzで,クロック倍率が3.5倍ならCPU内部のクロックは,66×3.5=233MHzとなります.
 外部クロック(ベースクロックとも,FSBとも呼ばれる)は,CPUがメモリなどの外部のデバイスとデータのやり取りを行うときの速度です.これが速いほどメモリアクセスも高速になりますが,Pentiumでは66MHzが一般的です.中には,50MHz,75MHzなどを指定しているCPUもあります.
 マザーボードによっては,これらの外部クロックとクロック倍率を可変することができます.可変できるマザーボード(写真7)であれば,比較的簡単に高速なCPUに換装できる可能性がありますが,古いマザーボードでは4.0倍以上の高倍率の設定ができないものが多いようです.また,メーカー製パソコンなどでは,これらの設定を可変できないものも多くあります.表2,表3,表4はCPUのクロック倍率をまとめたものです.

Pentiumの電源の種類

 P54C型は3.3Vの単電源で動作しますが,MMX Pentiun ,P55C型やK6-2などは,演算処理などを行うコアと呼ばれる部分の電圧(Vcore)と,データやアドレスバスなどのI/O電圧(Vio)が異なる2電源タイプのCPUです.
 Vioはおもに3.3Vを使用しますが,CPUによってVcoreは異なるものがあります.MMX Pentiumではコア電圧は2.8Vが一般的ですが,K6-2では2.2〜2.4Vを使用しています.
 当然,P54C用のマザーボードでは3.3V単一電源しか用意されていないので,2電源CPUには対応できません.また,P55C用のマザーボードでも少し古い製品では,K6-2用の2.2〜2.4Vが出せるものは少ないようです.そこで,電圧変換もするゲタが必要になるのです(写真8).
 単一電源での電圧は3.3V(STD)が標準ですが,3.52V(VRE)を設定できるマザーボードもあります.表5に各CPUの電源電圧の違いを示します.


copyright 1999 吉 田 功