第1特集 PCによるDVDシアターの実現

第1章
DVD-ROMの導入

相沢 一石

● DVDビデオのソフトが順次増えてきた
 DVDビデオの映画ソフトが,話題作を筆頭に大体そろってきました.また古典的な名作もこれはと思うものはそろってきています.淀川長冶の監修したシリーズなどは,タイトルを見ているだけでも楽しくなります.価格も1タイトル3,400円で100巻そろえても34万円,高性能のノートPCよりもずっと楽しみが長続きします.30万円で購入したPCも,1年もしたら物足りなくなります.しかし,映画は違います.この映画をPCで見ることにします(図1-2).

● CD-ROMの代わりにDVD-ROM
 Windows 98はDVD-ROMドライブを標準のドライブとしてサポートしています.CD-ROMドライブと同様に接続するだけで利用できるようになります.発表当時から比べると価格も下がり,DVD-ROMドライブ自体は1万円から2万円の間で入手できます.
 この1,2年でPCに標準で装備されているCD-ROMドライブは,DVD-ROMドライブに置き換わりそうです.DVD-ROMがPCに装備されるとDVDビデオを見るのは容易になります.

● PCで映画を見る方法
 図1-3に示すように,一般のオーディオ/ビジュアル系のシステムでDVDの映画を見るためには結構な投資が必要となります.DVDプレーヤの購入だけでも4万円から10万円の出費は覚悟しなければなりません.

<図1-3>DVDビデオの再生(DVDプレーヤ)
図1-3.JPG (56867 バイト)

 その点DVD-ROMドライブが接続されたPCを利用する場合は,図1-4に示すようにDVD-ROMドライブが搭載されたPCであれば,DVDビデオの再生ソフト(ソフトDVDプレーヤ)の購入か,最近安価になったMPEG-2のデコーダボード(再生ボード)の購入で済みます.この再生ソフトも最近では実売価格が5,000円以下となっているものもあります.再生ボードも1万円から2万円以内で購入できます.
 残念ながら,PCにDVD-ROMドライブが搭載されていない場合には,DVD-ROMドライブの購入が必要になります.この場合はATAPI(IDE)インターフェースのDVD-ROMドライブを購入し,図1-5に示すようにCD-ROMドライブと交換します.DVDドライブとソフトDVDプレーヤとがセットになった商品も1万5千円くらいから発売されています.

<図1-4>DVDビデオをPCで再生 <図1-5>DVDへのアップグレード
図1-4.JPG (55218 バイト) 図1-5.JPG (43222 バイト)

ソフトDVDプレーヤとデコーダボードの違い
 DVDビデオの再生について,ソフトDVDプレーヤの場合とハードウェアを使用する場合の違いを表1-1に示します.

表1-1.JPG (23496 バイト)

● ソフトDVDプレーヤはCPUパワーが必要
 DVDビデオをソフトウェアの力だけで再生するにはCPUのパワーが必要です.この再生のために,概ねPentium II 300MHz以上の性能を必要としています.最近のPCでは大体これらの仕様は満足しています.このようなPCがあれば,1万円以下の費用の追加でDVDビデオのシアターを机の上に実現できます.
 CPUのパワーが十分にある場合はソフトDVDプレーヤを使ってもよいのですが,CPUがPentium II 300MHz未満の場合は再生がぎこちなく,音飛びがしたりで見にくくなります.再生ボード(MPEG-2デコードボード)を利用すると,ボードにもよりますがPentium 100MHz以上のCPUであれば利用できます.したがって,数年前のPCでも利用できます.再生ボードを利用することで安価なPCでもスムーズにDVDビデオを再生できますので,全体のコストを下げることができます.

● 再生ボードにはテレビ用の出力がある
 再生ボードにはテレビ用の出力があります.日本,アメリカはNTSC方式,ヨーロッパはPAL方式です.どちらか選択できるようになっています.
 このビデオの出力があるとワイドテレビの大型画面にDVDビデオの再生ができます.やはり映画は大型画面と迫力あるデジタルサラウンドによって,より雰囲気が盛り上がります.

● 再生ボードはデジタルサラウンド出力を持つ
 DVDビデオの魅力の1つは,劇場と同じ音場を再現するドルビーデジタルサラウンドの出力に対応していることです.サラウンドのためのスピーカシステムが必要になりますが,迫力ある臨場感が得られます.
 ソフトDVDプレーヤでは,現在のところダイアモンドマルチメディア製のMonster Sound MX300を使用すると,完全ではありませんが4スピーカのサラウンドシステムが実現できます.しかし,その他のソフトDVDプレーヤでは前面のステレオのスピーカにドルビーデジタルサラウンドをミックスダウンしてサラウンドシステムとしています.

● MPEG-2デコードボード
 表1-2に,現在店頭,通販などで入手可能な再生ボードを示します.1万円から2万円の価格で入手することができます.
 音源はドルビーデジタルのAC-3仕様のデジタル出力が用意されていますので,AC-3対応のAVアンプがあればデジタルサラウンドが実現できます.
 今回は,次の2つのボードREALmagic製Hollywood PlusとLabway製B30のボードを実際に使用してみます.

以下略


copyright 1999 相沢 一石