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Geforce 256登場
nVIDIA社から登場したGeForce 256を搭載したAGPビデオカードが登場しました.本誌の連載でも紹介したRIVA
TNT2の後継チップです.nVIDIA社ではこのチップのことをCPUに対して,GPU(Graphic
Proccessing Unit)と呼んでいるようです.さて,このGPUには,どれほどの3D描画性能があるのでしょうか?
一般PC向けのエントリグラフィックチップとして王座の椅子を確保しているTNT2と,どれほどの差があるのでしょうか?
Canopus製7400
評価した機種はSPECTRA 7400というカードです.Geforce 256には,ある程度の3Dジオメトリエンジン(最近の業界誌にはT&Lなどという表現が使われている.この表現のほうが正確だと思う)が搭載されているという情報が伝わってきているので,これに期待してしまいます.
そこで,いつもこの評価記事に利用しているP2B-F(ASUSTeK製マザーボード)
PentiumIII-600MHzに搭載されたCPUを,筆者が所有する,最低速Slot1
CPUである,Celeron 266MHzに差し換えて使ってみることにしましょう.
これによって,どういうことがわかるのでしょうか?Direct3D(D3D)やOpenGLでは,アクセラレータに3Dジオメトリ処理の機能が存在しない場合,通常の実装ではCPUが,代わりにこれを計算するようになっています.ですから,このような場合,ポリゴン領域の高速塗り潰しを主体とする3Dエンジン(高速フィリングエンジン)では,3Dの表示速度がCPUの演算速度に依存しがちです.
そこで,本当にGeforce 256がジオメトリを自分で処理できるのであれば,CPUの動作速度が低下しても,描画速度が比例して影響を受けないハズなのです.このことを知るためにCPUの速度を下げてみたわけです.
この状態に置かれた3Dアクセラレータの速度がCPUの動作速度に比例した低下が見られるのであれば,GeForce
256の前評判に「偽りアリ」と言えると思います.
速い!素晴らしい!
ここではOpenGLを取り上げており,Direct3Dには触れません.Direct3DではDirectX7の新規に用意された3Dアクセラレータのジオメトリを使うメソッドを使わない限り,GeForce
256の高速性は体験できないとのことです.Direct3Dにも,すぐにそういうベンチマークやアプリケーションは登場するのでしょうが,GeForce
256の面白さを「今」,実感したいのであれば,OpenGLが最もよいポジションにいるといえるでしょう.
っというわけで,さっそくWindows NT上のCelelon
266でViewperfを走らせてみます.すると,どうでしょう.素晴らしいレンダリングスピードです.まだ,ドライバが安定していなのでしょうか,最後までベンチマークを走らせる前にOSがハングアップしてしまいますが,Celelon
266にもかかわらず,それまでに表示される速度は素晴らしいものでした.CPUの動作速度には影響を受けているようには見えません.GeForce
256は前評判通りでした.
もちろん,PentiumIII-600MHzにCPUを変更した時には,問題なくViewperfが終了したことを考えると,ドライバがPentiumIII特有のSSE命令で最適化されているためにCelelonでは不具合が発生していたのかもしれません(これはあくまでも想像ですが,ドライバは常に更新されていますから,修正されると思います).もしくは,筆者の所有しているマザーボードとの相性なのかもしれません.PentiumIII-600MHzでは,もちろん素晴らしい速さであったことは言うまでもありません.
まとめ
GeForce 256のViewperfの結果はここを参照してください.
高価なOpenGL専用カードと比べれば,ダントツという成績ではありませんが,この値から客観的に判断してください.TNT2に対しては数字的にはそれほど上がっていないようにみえますが,レンダリングスピードだけは猛烈に速くなったということが使ってみて体で,体験できました.
数字が上がらなかった理由として,気になったのはアンチエイリアシングのかかった線の描画が少し遅いように思います.残念ながら,この項目がベンチマークの全体の値を引き下げているようです(実際のアプリケーションではあまり使いませんが…).
多分,アンチエイリアシングのかかった線の描画はGeforce 256の描画命令をドライバなどでソフトウェア的にエミュレーションしているのでしょう.それ以外では,現行の数百万円もする高価なグラフィックワークステーションでも使っているのか,とも思えるような描画速度が体験できます.これが,普通のPCのパーツとして4〜5万円で買えてしまうのですから,まったく驚きです.なんというコストパフォーマンスでしょう.
「もう,一般の人が使う3Dアクセラレーションはこのくらいの性能があれば十分なのでは?という気がします.」
こんなことをコストパフォーマンスの優れた製品を見るたびに,いつも書いているのですが,筆者の手元にはすでにGeforce 256のDDRメモリ版が到着しました.単純に考えると,DDR(倍の転送レートが出るメモリ)ですから,描画速度も2倍になるわけです(実際にはそこまでいかないのが普通ですが…).しかし,OpenGLを動かすことができませんでした(製品だったのですが).ドライバが更新されると正常に動くのでしょうか.少し待ってみて,再度テストしてみたいと思います.
そして,さらにOpenGLに特化したといわれるGeForceの特殊版「Quadro」が待っています.これでもまだ,速くなるか?とも思いながらもニタリとしてしまうのはスピード狂の悲しさなのでしょうか?
(*) 個別の数値は,後日アップします.
(*) 商品の問い合わせ先:(カノープス株式会社)http://www.canopus.co.jp/
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Copyright 1999 片岡
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