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DOS/Vは,ハードウェアの名称ではありません.世界の標準機である「PC/AT互換機」上で日本語環境を実現する基本ソフトウェア(OS)です.ですから,DOS/Vマシンとは,DOS/Vが動作するマシンということになるのでしょう.
ハードウェアの点からいえば,IBM社の「PC/AT互換機(単に:AT互換機)」ということになります.しかし,現在のマシンは,発売当初のPC/ATの仕様から大きく進んでいます.もはや,元となるマシンは存在せず,DOS/Vマシンという新たな標準マシンができあがっている,というのが実状です.
なお,DOS/Vの「V」はグラフィックの仕様である「VGA」の「V」のことです.
1981年 | PC CPUはi8088 |
1983年 | PC/XT PCの機能拡張版 |
1984年 | PC/AT CPUはi80286:オープンアーキテクチャ,拡張性などで互換機が登場.世界の標準機に. |
1987年 | PS/2 IBM社が,特許料の必要なマイクロチャネルバスや,ATやXTの拡張ボードが使用できないクローズドな方針を打ち出したため,広くは普及せず. |
1990年 | ソフトウェアで日本語を表示する,最初のOS「DOS4/V」発売 |
1991年 | OADG発足 |
1992年 | 日本IBMのAT互換機PS/V このころWindows3.1が発売.CPUは486に移行し始めた. |
1993年 | 富士通がFMVを出す. |
1995年 | WIndows95の発売でPC/AT互換機の普及が加速 |
1996年 | エプソンがPC98互換機から撤退 |
日本IBM社の呼びかけで1991年3月に組織されました.正式名称は,「PCオープン・アーキテクチャ推進協議会」といいます.ソフトウェアとしてのDOS/Vを使って日本語をサポートすることを推進するハードメーカーおよびソフトメーカーを巻き込んだ団体です.
PC/ATは,IBM社が1984年に発売したパーソナルコンピュータです.PC/ATとは,"The Personal Computer for Advanced Technologies"の頭文字を取ったものです.
基本仕様: |
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特徴: |
これを「オープンアーキテクチャ」という. |
これらの特徴によって,複数のメーカー(Compaq,Dellなど)が,PC/ATの互換機を発売しました.IBMの製品に比べて価格的にも安く,拡張も可能な仕様で,PC/AT,PC/AT互換機が世界の標準機になったのです.
我が国では,漢字の取り扱いのできないPC/ATは一般的に普及せず,NEC社のPC98シリーズが標準機となりました.
日本語の表示をソフトウェアで処理するDOS/Vは,ハードウェア(漢字ROMを持つ)で処理ができるPC98シリーズよりも日本語処理速度の点で劣っています.しかも,我が国にはPC98シリーズ用の多くのソフトウェアがあります.このため,DOS/Vは,当初から急速に普及したわけではありません.
しかし,CPUが発達史処理速度が大幅に向上し,Windowsが普及した今日では,PC98シリーズでなければならない場合が減少してきました.Windowsでは,DOS/Vマシンでも,PC98シリーズでも,ソフトウェアで日本語を扱います.また,Windows対応ソフトウェアは,マシンがDOS/Vであっても,PC98シリーズであっても動作します.DOS版のPC98シリーズ用のソフトを使う必要がなければ,もうマシンにこだわる必要はなくなったのです.