copyright 岩村 益典 1996-1999
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メモリには読み出し専用のROMと読み書きができるRAMがあります.RAMにはDRAMとSRAMがあります.ROMは,マシンを制御する基本ソフトウェアであるBIOSを格納する用途などに使われています.実際はシャドウRAMが使われます. また,最近ではBIOSはバージョンアップができるように書き換えが可能なEEPROMが実装されています.
RAMは半導体を使用したメモリです.DRAM(ダイナミックRAM)とSRAM(スタティックRAM)があります.DRAMは一定の時間ごとに再書き込み(リフレッシュといいう)を行いますが,SRAMはリフレッシュの必要がありません.DRAMを取り扱いやすくするためにSIMMやDIMMという形で利用します.
SRAMは,高速なメモリや消費電力の少ないメモリを作る場合に適していますが,DRAMよりも高価になります.パソコンでは2次キャッシュメモリなどに利用されます.
小さな長方形のプリント基板の上にメモリICチップが配置されているメモリのモジュールです.
PC/AT互換機では,メインメモリの増設にSIMMもしくはDIMMを用います.SIMMには,8ビットのデータバスをもつ30ピンのものと,32ビットのデータバスをもつ72ピンSIMMとがよく使われています.64ビットのデータバスをもつPentium CPUでもSIMMが使われます.
なお,SIMMを購入する場合には,メモリ容量,端子のピン数,パリティビットの有無,アクセスタイムを確認することが必要です.
従来の30ピンのメモリを利用するため,30ピンタイプのSIMM4枚を取り付けて,72ピン用のSIMMソケットに取り付けるアダプタも発売されていました.
現在,64ビットバスに合わせるかたちで,168ピンのDIMM(Dual
Inline Memory Module)が主流です.
Pentium CPUは64ビットのデータをやりとりするので,72ピンタイプのSIMMを2枚一組で使用するのが原則です.この2枚は,容量,速度,ビット数が同じでなければなりません.DIMMでは1枚単位で利用できます.
パリティチェックとは,データが正しく転送されたかどうかを検出するためチェック方法のひとつです.nビットの情報に,全体が奇数(または偶数)になるように1ビットの情報をつけ加えて検査します.
パリティありのSIMMを必要とするマザーボードにパリティなしのSIMMを取り付けることはできません.
パリティは,エラーをチェックするだけで,訂正してくれるものではありません.また,完璧なエラーチェックはできません.エラーを訂正するにはECCという機構が必要です.サーバー用の機種ではサポートされています.
最近のマザーボードでは,パリティチェックをしないように設定できるBIOSが付いていることがほとんどなので,パリティありなしのどちらのタイプも使えるようになっています.また,最近は「パリティジェネレータ」搭載タイプのSIMMも発売されています.これは,パリティチェックをするのではなく,パリティ情報を作り出して,あたかもパリティチェックをした化のように見せかけるものです.
たとえば,72ピンのパリティ付きのSIMMには,パリティ用に4ビットのチップが付いています.そこで,4Mバイトのパリティ付きのSIMMを「4MB×36」というように表している例もあります.
メモリやハードディスクなどの記憶装置に対してデータの読み書きを指示してから実際にデータの読み書きが行えるまでの時間のことをいいます.
メインメモリ用のDRAMには,アクセスタイム60〜70ns程度のものが使用されています.
パソコン用のメインメモリとしては,ファーストページという読み出しモードをもつ一般的なDRAMが使用されていました.しかし,Pentium
CPUのような高速なCPUに対応するため,DRAMの出力回路を工夫したDRAMが開発されました.これがEDO
DRAMです.
特に,2次キャッシュメモリを搭載していないパソコンでは,速度向上が期待できます.EDO
DRAMを使うためには,チップセットがEDO DRAMに対応していなければなりません.
より高速にメモリをアクセスできるように,これらの新しいメモリが開発されています.利用するためには,これらのRAMにマザーボード(チップセット)が対応していなければなりません.
1998年はSD-RAMが主流でした.また,1998年4月にIntelからFSB(フロントサイドバス)が100MHzに対応した440BXチップセットが発表になったため,S100という規格のSD-RAMが使われるようになりました.
キャッシュ(Cache)とは,一時記憶のことです.メモリはデータやプログラムを読み込んで記憶する装置ですが,高速化しているCPUに比べてメモリの処理速度は速くありません.そこで,キャッシュはCPUとメインメモリの速度差を埋めようというものです.
CPU内部にあるキャッシュを内部キャッシュ,CPUの外に付けるキャッシュを2次キャッシュまたは外部キャッシュといいます.
外部キャッシュメモリは,通常のメモリよりも高速でなければならないためにSRAMが用いられています.現在パソコン用に用いられているキャッシュ用のメモリには,アシンクロナスSRAMがもっとも一般的ですが,より高速なパイプラインバーストSRAM,バーストSRAMなどの新タイプもあります.
これらの新タイプを利用するためには,マザーボード(チップセット)が,これらのSRAMに対応していなければなりません.
なお,チップセットに含まれていることもありますが,キャッシュにはTAG RAMも必要です.
Pentium Proは,CPU内部に大容量のキャッシュを持ちます.
PentiumIIでは,CPUのケース内に2次キャッシュが搭載されています.
CPUのバースト転送に対応したSRAMで,1回のアドレス出力で連続して4つのデータを出力できます.
従来のSRAMに比べて30%ほど高速になっています.Pentium
CPUの時代の言葉です.
キャッシュメモリ内のデータが,メインメモリのどのアドレスのデータを保持しているかを記憶するためのRAMです.チップセットやSRAM内に内蔵されていることがほとんどです.
TAG RAMを増設することのできるタイプのマザーボードでは,TAG
RAMの容量を増設して,扱えるキャッシュメモリを増やすことができます.
BIOSが格納されているROMはRAMよりもアクセスタイムが長く,アクセス幅も狭いので,BIOSをシステム起動時にRAMに転送して,以後はRAM内のBIOSを使って高速化しよう,というものです.
メインメモリの一部を,グラフィック表示用のメモリとして利用する方式のことです.米国の標準化団体VESAが標準化作業を行っていて,標準仕様はVUMA(VESA
UMA)といいます.
処理速度の低下などの問題点もありますが,グラフィック表示専用メモリが不要なので,PCを低いコストで作ることができます.
Pentium CPUの後継CPUとして発表されたインテル社のCPUです.CPUとキャッシュの2枚のシリコンチップがセラミックパッケージにボンディングされています.
クロックは150/180/200MHzの3種類が作られ,主にPCサーバーに利用されました.このアーキテクチャは,PentiumIIに引き継がれました.