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Rev.B 5/1

これが810ホイットニ 写真

 

      4月26日は,インテル810(ホイットニ)チップセットの発表日です.
 810は,統合型チップセットとして3つのチップから構成されています.ノースブリッジ・サウスブリッジ・BIOS ROMの一部です.チップセットがAGPグラフィックスやサウンド,ATA66・ソフトウェアモデムへの対応を行うため,BIOS ROMはついに4Mビットとなってしまいました.

 これからは,ますますBIOSのアップデートに失敗すると個人での修復は難しくなりますね.

    

一般的なホーム・オフィスユースPCをターゲット

 基本的性能は現在利用の多いチップセットのBXと同じですが,インテルi740グラフィックスを少し改善したグラフィックス機能を搭載したりしているため,メーカー側ではいわゆるハイエンドではなく,一般的なホーム・オフィスユースPCをターゲットにしています.ハイエンドとしては,820(カミノ)がこの秋に予定されています.
 しかし,カミノのリリースは実際のところいつになるのかわからない状況です.カミノで大きく発展すると言われる,IEEE1394にしても,アップル社に支払うライセンス料が高く,インテル社は採用をためらい始め「こうなったらUSBを速くしてやる.そうすればIEEE1394なんていらない」という声も聞こえてきました.台湾メーカーでは,820については,「仕様が頻繁に変更されるので,設計に手が着けられない」と嘆いています.

 台湾メインボードメーカーの話では,810はサウンドやグラフィックスなどの機能を統合しているにもかかわらず,BXとチップセットレベルの値段が変わらないそうなので,低価格で多機能なマシンを作るためのメインボードをリリースできると喜んでいます.
 BXと基本機能の違いでいうと,最新のハードディスクの規格であるATA66への対応,システムバス133MHzが正式OK(かもしれない)という点が優れています.しかし,最大搭載可能メモリ容量は256MBとBXの1GBより少ないです.メモリが256MBでよいなら,ATA66が使える分メリットは大きいです.

AGPスロットは付いていない?

 さて,ここでみなさんが当然感じる疑問に答えましょう.
 i740を改良しTNTライクのi752とはいえ,やはり,最新のTNT2などを使いたくなるのが日本人です.しかし,写真を見ていただければわかりますが,チェインテック,マイクロスター,DFIの各社ともAGPスロットは付いていません.また,DFIのCPUはスロットタイプですが,ほかの2社はソケット370です.
 もちろん,各社ともスロット1タイプ,ソケット370タイプの両方をリリースする予定ですが,810の発表と同時にCeleron466を正式発表することになり,ソケット370タイプのメインボードを優先してリリースすることになるのでしょう.また,スロット1タイプのCPUは今後Pentium3が中心となり,Pentium2は在庫限りで姿を消していくことになりそうです.このような,インテル社の方針も関連しているのでしょう.
 しかし,オンボードグラフィックスを切り,AGPにTNT2などを取り付けられないとなると,日本のDIYユーザーがどのように受け止めるか,興味のあるところです.しかし,バンシーなどAGPを使わないグラフィックスチップもあるので,PCIにバンシーカードを付けるという手は残されています.

 820のリリースが読めない現在,810のパワーユーザーにとってのメリットは,ATA66への対応しかなくなってしまいます.システムバス133MHz正式対応についても,ソケット370Celeronが66MHz動作なので,結局,意義の生じるのは,インテル社の倉庫から,100MHz対応Pentium2が消えて,100MHzCeleronがリリースされる日まで待たなくてはならないのです.
 各社ともスロット1タイプのリリースは,ソケット370タイプのリリースより1ヵ月以上遅れることが予想されます.ここで,期待できるのはECS社です.ECS製のP6BXT-A+は,ソケット370とスロット1の両方を搭載していますが,810ボードでもこのタイプを出してくるようなのです.もしそうなら,比較的早い時期にスロット1を使える810メインボードを入手できるかもしれません.


 とはいえ,安くて高機能なマシンが入手できるのは間違いなく,TNT(TNT2ではない)オンボードといった,比較的価格の高いメインボードよりコストパフォーマンスが高いことは事実です.i752は,TNTくらいの性能のAGPx2機能をもち,48MBまでテクスチャ用メモリを動的に割り当てることができます.i740より2Dも強化されているので,TNT2やパーメディア3,Voodoo3などと比べると,3D性能が劣るかもしれませんが,グラフィクスがTNT程度・サウンド・グラフィックス・モデム機能搭載メインボードを2万円以下で入手できる可能性がでてきたことはすばらしいことです.近く実物を入手するので,テスト結果に注目してください.

 写真でもわかるように,従来AGPのあった場所に小さなコネクタが着いています.これがAMR(オーディオモデムライザー)コネクタです.ここにAMRドーターカードを取り付ければ,オーディオやモデムなどの機能をさらに活用することができるようになるのです.

 なお,次の情報からもわかるように810には4タイプあることがわかります.

■810の機能と・820の機能予定

●共通項

・Ultra ATA66
・Security-RNG
・ハブリンク
・6 PCI機器サポート
・低コスト
-AC'97
-Glue Sweep
-Alert on LAN
-Low Pin Count
など

●Performance PC Desktop

820DP133(デュアルサポートのハイエンド)
820UP133(パワーマシン,シングルCPU)
・AGP4X
・RDRAM(*)
・100/133 Mhz FSB
810e(メインストリーム)
・Integrated graphics
・100/133 Mhz FSB


●Value PC Desktop 

810DC100(高性能モデル用2D/3D強化)
810(基本モデル)
810L(ローコストモデルで4PCI,ATA33のみ)
・Integrated Graphics
・66/100 Mhz FSB


注:ソフトウェアモデムとは,普通,物理的電話回線との接続など,ハードウェアで処理するしかない機能以外をCPUやチップセットに分担させ,ソフトウェアで処理するものです.ハードウェアとしての部品が少なくなる分,コストが下がります.しかし,CPUの負担は大きくなります.


注:バンシー搭載VGAカードは,AGPでもPCIでも性能は同じと考えてよいです.

注:810には複数のリビジョンがあります.この中で最高位に位置するのは810eです.この810eは,グラフィックスもi752ではなく,より高性能なグラフィックスを実現できるようにモディファイしています.これは,810eが従来815と呼ばれていたからで,810とピン互換を実現できるので,810ファミリーに入ったのです.(5/1追加)

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Copyright 1999 岩村 益典