プロローグ IEEE1394で行こう!(2)

やはりIEEE1394


やはりIEEE1394

 マルチメディアという言葉が使われるようになってずいぶんと時間が経過しました.たしかに,個々の技術は徐々に確立されつつあると言えます.しかし,現在までに発表された製品を考えた場合,接続性やネットワークに関してはほとんど考慮されていません.すなわち,マルチメディアが本来の能力を発揮するには相互接続,およびネットワークが欠かせないのです(図1).

(図1)

現在の状況

 このような状況の中にIEEE1394が出現することによって,単なる個々の機器のディジタル化だけではなく,機器相互の連携,ネットワークの確立という考えが導入される素地が作られました(図2).

(図2)

今後の状況

 

 IEEE1394は優れたインターフェースですが,標準化にありがちな政治的な問題,たとえば特許料やリーダシップなどの問題を抱えています.真のコンピュータとコンシューマを統合するインターフェースになるかどうか,それはまだまだ未知数です.SCSIも年々高性能化しています.また,USBの高性能化の検討も行われています.

 ただ遠い未来を見た場合には,IEEE1394が次世代のインターフェースの最有力候補であることに変わりはありません.本書がIEEE1394へ興味をもっている読者への参考になれば幸いです.

IEEE1394の将来像

 時代は大きく変わりつつあります.コンピュータを職業にしていない人達が,気軽にインターネットを使うようになって久しくなりました.この傾向はさらに加速されており,現在ではE-mail,WWW,モバイル機器がないと生活に支障をきたす人が少なくありません.筆者もその一人です.インターネットがなければ,仕事はもちろん生活さえ成り立ちません.書籍の購入はもちろん,航空券から,遠くのバスの時刻表といったことさえインターネットで調べています.

 しかし,便利になったことと,快適性は別物です.快適かと聞かれると,素直に「Yes」とは言えません.そのもっとも大きな理由は,ネットワーク(通信)への不満です.速度が遅い,使用料が高い,使いにくい,そして家庭に入ったとたん通信の手段がかなり限られてしまいます.せいぜいE-mailを読んで,ホームページをゆっくりと(別にゆっくりしたくはないが,通信速度が遅いので時間がかかる),閲覧するくらいです.本当は,音楽も映像も,ネットワークからリアルタイムで手に入れることができたら,どんなに便利だろうと思います.

 企業内のインフラは確実に進歩しました.次は家庭,あるいは生活と言ってもよいでしょう.21世紀は,確実に生活の中にネットワークが入り込んできます.それは,「企業のネットワーク=コンピュータネットワーク」と異なり,「メディア統合」をともなうと考えられます.IEEE1394は,その縁の下になりうる基礎技術です.


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北山 洋幸/大庭 政司/吉本 廣雅/有田 大作 

 

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