センサで広がる新しい電子機器の世界

 家電,ゲーム,おもちゃなどの民生機器でも,センサの応用はどんどん広がっています.新しいセンサを利用して,従来はなかったような新しいゲーム,おもちゃなども作られるようになってきました.とくに,CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどの視覚系センサや,3次元ジャイロ&加速度センサなどの運動系センサが普及することにより,自律走行ロボットやバーチャルリアリティなど,ちょっと前には考えられないほど高性能なものが実現できるようになりました.

 民生機器は市場規模が大きいので,一つのセンサを大量に使用することによって低価格化が進み,それによってさらに市場規模が拡大するという好循環が期待できます.しかも,特定の機器で大量に使用されている高性能かつ低価格のセンサを別の機器に利用することにより,次々に新しい市場を開拓していくことができます.

 たとえば,CCDイメージセンサはアナログビデオカメラや工業用CCDカメラから始まって,防犯用などの監視カメラ,ディジタルスチルカメラ,ディジタルビデオカメラなどに市場が拡大するとともに,小型化と低価格化が進んできました.最近では,ノートPCやPDA,携帯電話などにCCDカメラを内蔵したり,数千円クラスの超低価格デジカメやおもちゃにまで使えるようになりました(図1).

〔図1〕
広がるCCDイメージセンサの応用






 また,動き検出や姿勢制御に使われる3次元ジャイロや3次元加速度センサは,以前は大型で高価なデバイスがほとんどでした.しかし,ビデオカメラやディジタルスチルカメラの手ぶれ防止用として小型で低価格のデバイスが大量に使われるようになり,小型ロボットやゲーム機,さらには3次元マウスのような新しい応用が次々に考えられるようになりました(図2).

〔図2〕
広がるジャイロ/加速度センサの応用






 たとえば,携帯用ゲーム機(任天堂ゲームボーイ)に安価な動きセンサカートリッジを装着することによって,ゲーム機の傾きや動きを検知して画面が動くという新しいジャンルのゲームが実現されました.また,自分自身の姿勢を検知して自律走行する犬型のロボット(Sony AIBO)が話題を集めたのはまだ記憶に新しいところです.

 さらに,11月末に開催されたROBODEX 2000で,より人間の動きに近づけた2足歩行ロボット(Honda ASIMO,Sony SDR-3Xなど)が展示されたり,学習機能を備えた新型のおもちゃロボット(Sony AIBO-2,Sega スーパープーチなど)も相次いで発売されています.


◆ センサで広がる新しい電子機器の世界
◆ 人間の感覚器官とセンサ
◆ A-Dコンバータ

◆ システム全体の高性能化

2月号特集トップページへ戻る


Copyright 2001 宮崎 仁