- IPアドレス
- これまでは,コンピュータを指し示すために,「コンピュータA」や「コンピュータD」という表現を使ってきました.実際の通信においては,やはり「“あのコンピュータ”と通信したい」というように,コンピュータを指し示す表現方法が必要になります.
TCP/IPでは,コンピュータをIPアドレスというもので表します.IPアドレスの空間は,2進数でいえば32ビット,10進数では0から4294967295の大きさがあります.インターネット上のすべてのコンピュータにはIPアドレスが割り当てられています.しかも,どの2つのコンピュータのIPアドレスを持ってきても同じものはありません.しかし,
11000000 10101000 00010000 00000001(2進数)や,
3232239617(10進数)
といっても(容易に)覚えられるものではありません.そこで,IPアドレスは,8bitずつピリオド(“ . ”)で区切って10進数表記することになっています.たとえば,上記の数字だと,192.168.16.1となります.
IPアドレスには,「ネットワークアドレス」や「ブロードキャストアドレス」など,特殊なアドレスが定義されていますが,まだここでは説明しません.
図5に示したように,IPアドレスの重要な点は,「コンピュータに対して割り当てられる」のではなく,「インターフェースに対して割り当てられる」という点です.
- IPパケット
- TCP/IPでは,アプリケーションからのメッセージを「IPパケット」という塊に分割して通信します.IPパケットは,図5のように,送り元のインターフェースのIPアドレス,送り先のインターフェースのIPアドレスと,送りたいメッセージ(データ)からなります.
IPパケットには,最初にそのパケットを生成したインターフェースと最終的にそのパケットを受け取るインターフェースのアドレスが付加されます.途中,中継するインターフェースのアドレスではないことに注意してください.
これは,中継するコンピュータで最終的に受け取るインターフェースのアドレスがわからないと,「次にどのコンピュータに送ったらよいか」がわからなくなってしまうためです.
(図5) TCP/IPソフトによる通信の例
送るデータに送り元と送り先のアドレスが付加され、この情報をもとに中継が行われる

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