- ルーティング
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(図6) ルーティングテーブルの考え方
目的のコンピュータと通信するためには、どのコンピュータに依頼すればよいかだけを考えればよい

IPパケットを中継するために,「どのインターフェースにつながっている,どのコンピュータに中継を依頼するか決定する」ことを「ルーティングする」といいます.ルーティングする際に必要な情報は,ルーティングテーブルに保持されます.
(図7) ルーティングテーブルの考え方
目的のコンピュータと通信するためには、どのコンピュータに依頼すればよいかだけを考えればよい

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図6のコンピュータAのルーティングテーブルの例を図7に示します.コンピュータAからの距離を考えたときに,それぞれのIPアドレスは2つに分けられます.
1. Aから直接通信できる宛先のIPアドレス
図6の中では,IPアドレス10.0.0.2と10.0.0.4がこれに相当します(以下,IPアドレス⇒アドレスと略す).Aから見たときに,ほかのコンピュータに中継を依頼しなくても直接通信ができます.したがって,Aにおいて,アドレス10.0.0.2に送るためには,アドレス10.0.0.1がついたインターフェースに,アドレス10.0.0.4に送るためにはアドレス10.0.0.3がついたインターフェースに出力する必要.
2. Aからは直接通信できず中継が必要な宛先のIPアドレス
図6の中では,アドレス10.0.0.5から10およびアドレス10.0.0.11,12がこれに相当します.アドレス10.0.0.5から10と通信を行うためには,いったんアドレス10.0.0.2に送って,中継を依頼する必要があります.同様に,アドレス10.0.0.11,12と通信を行うためには,アドレス10.0.0.4に送って,中継を依頼する必要があります.
これらの“必要があります”という事項を書き並べたものが,ルーティングテーブルとなります.ここで強調しておきたい点は,「コンピュータAが遠く離れたコンピュータFと通信するためには,『アドレス10.0.0.2に対して送れば,あとはコンピュータBが適切にルーティングを行い,コンピュータFまでメッセージを中継してくれる』と信じていればよい」ということです.言い換えれば,「隣のコンピュータより先のネットワークの仕組みをAは知らなくてもよい」ということです.
さらに言い換えれば,「隣のコンピュータより先のネットワークの仕組みが変わってもAには影響がない」ということです.これはインターネットの特徴である“ネットワークの構造に対する柔軟性”です.
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