中部コンピューター(株)による
小売業本部システムの構築


 

● 顧客のニーズ

 このシステム構築を依頼された衣料小売業のS社は,岐阜・滋賀・三重で14店舗の事業展開を行っており,各店舗での日次の売上データを本部に集計したり,毎日発生する仕入,入荷や商品の店舗間移動などの伝票を処理するシステムを必要としていました.このニーズに応えて構築した,小売業本部システムです.

● システム概要

 このシステムは,本部でのデータベースおよびデータ活用のシステムと,各店舗でのPCによるPOS(Point Of Sales:販売時点情報管理)のシステムから構成されています.
 各店舗では,PC POSにより一つ一つの売上が伝票入力され,1日の売上をまとめて,FDデータ転送機によって本部にデータが送られます.
 本部では,転送されてきたデータを,いったんWindows NT Workstationが稼動しているPCのハードディスクに蓄積します.各店舗からの1日の売上データがそろうと,このPC上で稼動するデータ累積アプリケーション(VBにて開発)によって,サーバー上のSQL Serverに格納されます.
 本部では,各店舗での売上データのほかに,1日で数百枚にもなる仕入,振替,売価変更の伝票も処理しています.
 SQL Serverに格納されたデータからは,任意の抽出条件によって売上,仕入,在庫などの集計値を得ることができ,Excelで分析して商品購入時の判断資料としたり,各店舗での商品分類在庫比率(各商品が店舗で占める面積の比率)の検討などに利用されます.

● システムの課題と対応

 S社での1日の処理トランザクションは,約3,000〜5,000レコードに上ります.
 同社では従来,オフコンで売上データの管理を行っていましたが,伝票入力の手間や処理時間の増大,また,1ヵ月分程度しかデータを蓄積できないなどの課題があり,それに応えるための現システムの構築でした.
 構築当時(1995年)は,Windows NTを使用した類似の構築事例は皆無に等しく,CPU選択は,大量データ処理の必要性を考えて,当時は非力だったIntel製CPU(Pentium 133MHz程度)の採用を見送り,MIPS社のCPU R10000を採用しました.
 この選択は正解だったようで,ハードウェアの処理スピードに関する問題は発生しませんでした.
 このように,入力の手間はPOSの採用で省け,処理時間は高速なハードウェアの採用で解消しました.SQL Serverに蓄積するデータ量は,3年分を予定しています.稼動後2年近くが経過した現在,すでに200万件を超えるデータが蓄積され,活用されているとのことです.
 SQL Serverのバージョンに関しては,SQL Server Ver.4.21で運用を開始(1996年9月)しましたが,データ量の増大やパフォーマンスの改善のため,1997年2月にVer.6.5にバージョンアップしました.併せて複数の更新処理をストアドプロシージャとすることで処理速度も改善し,処理時間を2分の1近くまで短縮することができました.

● 導入後の効果など

 ほとんどの出力帳票は,Excel+VBAを利用して作成しています.現場の社員(購買担当者や各店舗の売場責任者)からは「Excelを使って自分の欲しいデータを取り出して加工できるので,システムの導入によって,より柔軟に市場動向に対応できるようになった」という声を聞くことができました.

<図A> システムの構築図
mcsp7-1.jpg (55916 バイト)


1999年3月号掲載

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