まかせて安心 あなたの街のMCSP---No.7

中部コンピューター(株)

土屋 三子男氏 大沢 正道氏

 

 岐阜県羽島郡柳津町に本社のある中部コンピューター(株)は,企業の基幹系・情報系システムの開発を中心に,自社製品パッケージの開発,ハードウェアの販売,事務サービス(アウトソーシング),ISPやパソコン教室の運営など,コンピュータに関わる業務を幅広く手がけています.
 ここでは,同社システム部の土屋 三子男 次長と,実際のプロジェクトに携わるシステム部システム技術課の大沢 正道氏に,お話を伺いました.


■会計機からオフコン,PCへとコンピュータ全般に携わる

――会社の概要から教えてください.
 現在,当社には営業部門,システム部門,フィールドサービス部門,事務サービス部門,マルチメディア推進部門があり,全社で230名の社員がいます.システム部門には100名程度の社員が携わり,システムインテグレーションのほかに,自社製品パッケージの開発,県庁や岐阜市役所の汎用機などの運用・管理も行っています.フィールドサービス部門はシステムの保守を行い,事務サービス部門は公共機関の顧客のデータ入力代行が中心です.マルチメディア関連では,ISPやパソコンスクールの運営なども手がけています.

――PCだけでなく汎用機なども扱っているのですね.
 ええ,PC,UNIXワークステーション,オフコン,汎用機と,コンピュータ全般に携わっています.
 当社は,1969年の創業以来,一貫してコンピュータの販売やシステム開発,保守などを手がけてきました.設立当時は,会計機と呼ばれていたコンピュータが中心で,データもプログラムも紙テープに記録されるものでした.当時からシステム開発の要素がありましたから,ずっとシステムインテグレーション業務を行ってきたと言えるかもしれません.
 その後,記録媒体にフロッピーディスクが登場してオフコンの時代になり,当社でもNECの製品を中心に手がけるようになりました.

――PCを手がけられるようになったのはいつごろからですか?
 1983年に,NECのパソコンプラザを開設し,製品の販売はそのころから行っていますが,システム開発でPCを扱うようになったのは1985年ころからですね.オフィスにPCが入り始めた時期で,DOS上でCOBOLによる業務プログラムを開発する仕事が出てきました.以後,しばらくPCはスタンドアロンでの利用が中心でしたが,1990年ころからはPCでLANを構築するケースが多くなりました.

――ネットワークOSは何でしたか?
 NetWareです.最初はバージョン2.1でした.その後,Netware3.12まではNOSとして使用していましたが,Windows NT3.5が出てきて以降,NT Serverを使うようになっています.

――現在,システム開発関連の仕事は,PCとオフコンのどちらの比重が大きいですか?
 現状は半々というところです.オフコンではメンテナンスやバージョンアップといった業務が中心であり,PCでは新システムの開発が中心といった違いはありますが.

■2000年問題をきっかけにオフコンからPCへ移行するユーザーも

――2000年問題への対応はどういう状況ですか.
 顧客の3分の2はすでに対応が済んでいますが,3分の1はこれからというところです.なかなか危機感を持っていただけないところもあります.

――2000年問題をきっかけに,オフコンからPCに移行するケースもあるのではないでしょうか.
 はい.特に,データベースなど情報を蓄積して利用するタイプのシステムを使用されている顧客は,PCに移行する例が多いですね.逆に,勘定系のように単年度での利用が中心の場合は,オフコンのシステムを修正して利用していくことが多いようです.

――主な顧客層はどのようなところですか?
 岐阜県や岐阜市などの公共機関と,県内の民間企業全般です.岐阜はアパレル産業が盛んな地域なので,強いて言えばアパレル業界の顧客と,また,地域柄,窯業関連の顧客が多いと言えるかもしれません.最近では名古屋と東京にも支店がありますから,そちらにも顧客がおり,大手の企業が中心です.

■オリジナルでSFAやグループウェアなどのシステム構築

――自社開発のパッケージを中心にしたシステム構築が多いそうですね.
 システムインテグレーションは顧客のニーズに応えるものですから,さまざまなパターンがありますが,最近ではそういった例も結構ありますね.
 当社には自社開発の情報系のシステム「InfoFarm」シリーズがあります.これは,社内で7〜8年使用してきたシステムをシリーズ製品としてまとめたものですが,SFAやグループウェアに分類される製品です.
 SFA分野の製品は「戦略箱」といい,営業日報で入力したデータを活用して,経営者の判断や営業活動の支援を行うものです.一般でいうSFAは受注までの活動が中心ですが,「戦略箱」では受注以後のクレーム情報なども取り込むことができ,トータルとしての顧客満足度を向上させる製品と位置付けています.
 また,グループウェアとしては「会議室予約」という製品があります.こちらはWeb技術で構築したイントラネット利用のシステムです.クライアントとしてはブラウザがあればよく,簡単に全社の会議室予約が行えます.「戦略箱」にもWebオプションがあり,ブラウザから「戦略箱」の情報にアクセスできるようになっています.
 当社はインターネットサービスプロバイダ(ISP)でもあり,Web関連の技術には自信があります.

――ちなみに,そのデータベースエンジンは?
 Oracleです.
 当社ではNT以外にUNIXのシステム構築を行うこともありますので,NTでもUNIXでも稼動しているデータベースエンジンということで,採用しています.

――InfoFarmシリーズを利用したシステム構築はどういうものですか?
 新しくSFAやグループウェアを導入される顧客もいますが,すでにグループウェアを導入している企業などで,クライアントにかかる導入・維持の負担を減らしたいという顧客も多いですね.そのため,当社のWebを中心としたシンクライアントのシステムを導入いただけるようです.

――SFAやグループウェアでは,実際に利用する営業担当者が情報を入力するかどうかが,活用のポイントだと思いますが.
 それは大切なポイントですね.当社でも導入いただいた顧客には,生の情報を入力してご活用いただけるようお願いしています.また,「事実」と担当者の「所見」をはっきりと分けて入力することも大切です.
 社内でもこのシステムを利用していますが,役員にとっては,現時点の営業情報を素早く入手する方法がほかにないですから,必ず見ていますね.また,会議資料などもこのシステムから取り出すようになっています.
 営業担当者は,日常の活用以外に,例えば異動時なども後任の者が引き継いだ顧客とのこれまでの経緯などを簡単に知ることができるなど,有益に使われています.

■システム開発の効率化を目指してISO9000取得を計画

――システムインテグレータとして,他社と差別化するポイントは?
 当社では,現在,システム開発でのISO9000の取得に向けた活動をスタートさせたところです.1999年中の取得を目指しています.

――ISO9000では品質管理のあり方が問われると思いますが,システム開発で品質管理のポイントは何でしょう?
 現状では,システム開発は,案件ごとに原価率などが大きく違ってしまい,開発が終了しないと利益が分からないということもあります.これは,契約内容が明確に文章化されておらず,顧客の要請が追加注文なのか契約に含まれるものなのかということもあいまいになってしまい,結局,契約の中で処理せざるを得ないということがあるためです.
 ISO9000の導入でさまざまな規定やドキュメントを整備し,それによって業務のあり方を改善できると考えています.各案件の開発工数を削減することができるでしょう.
 現在,社内からメンバーを選び,方針を決めたところです.これから1年間で取得まで進めようという計画ですから,メンバーは気力で頑張らないといけませんが.

■適材適所で顧客に最適なシステムを提供

――MCSPに参加されているメリットは何でしょう?
 新製品などをいち早く提供していただけるのは確かにメリットですね.しかし,当社では案件ありきで利用しています.送っていただいた時に,すぐにその製品を利用してみるという時間的な余裕はないので,その製品に関連する案件が発生した時点で,チェックしてみるという使い方になります.MSDNなどで提供されるさまざまな情報も,そういった形で利用しています.
 ただ,Windows NTについては,OSとしてどの案件でも使うものですから,バグ情報などはできるだけ早く公開していただきたいですね.当社にとっては,マイクロソフト社はOS部分を担うという位置付けであり,ほかのサーバー製品は,あくまでも顧客に最適なシステムを構築するための材料として,適材適所に選んで使い分けるという方針でシステムを構築しています.

(インタビュ/松永 晃)

 

Information

●設立:1969年 ●代表:辻 博文 ●従業員数:230名 ●所在地:岐阜県羽島郡柳津町流通センター1-8-4 ●TEL:058-279-5733 ●URL:http://www.ccom.co.jp/ ●担当部署:システム部 ●担当者:土屋 三子男 ●E-mail:tsuchiya@ccom.co.jp
●主な事業内容:コンピュータを中心とするOA機器の提案販売,ソフトウェア設計・開発,ハードウェア保守サービス,インターネット・マルチメディア関連事業,要員教育・オペレータ派遣など ● 取得MCP: Windows Operating and Service Architecture T+U,Windows 95,Exchange Server,Access,Visual Basic,TCP/IP on Microsoft Windows NT 4.0,Networking Essentials


1999年3月号掲載

Wb00969.gif (968 バイト)「事例紹介:(株)中部コンピュータによる小売業本部システムの構築」

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