第8章 リサジュー図形の仕組み

 オシロスコープの垂直軸と水平軸に同時に交流信号(正弦波)を入力することにより数多くの図形パターンがスクリーンに描かれますが、これをリサジュー図形といいます。

 両方の波形の周波数や位相の変化でシンプルなパターンだったり非常に複雑なパターンを描いたり、また回転しているように見えたり、静止したりと変化を繰り返します。

 下図では、Y軸へ2 kHzの正弦波、X軸へ1 kHzの正弦波を加えた時のリサジュー図形です。両方の周波数の比がちょうど1:2で、しかも振幅(電圧)も同じ、位相も同じ(位相差 0゜)という条件でのスクリーンに描かれるリサジュー図形です。

  

■同じ周波数によるリサジュー図形

 リサジュー図形で最も一般的な1:1のパターンです。両信号(正弦波)とも、同じ周波数、同じ振幅で、位相が変化した場合の図形の変化で、傾いた輪が回転しているように見えます。

■「リサジュー」と言われる由縁

 「リサジュー」とは、相互に直角方向に振動する二つの単振動を合成して得られる平面図形のことを言います。

 これは、1855年にフランスの科学者J.A.Lissajousにより考案され、今ではオシロスコープの測定方法の一つとしても有名です。

 なお、リサジューの他にリサージュと表記される場合もあります。

■リサジュー図形の例

 周波数比が、1:1、1:2、1:3、2:3で、位相が変化した場合の図形の変化を示しています。


第9章 プローブ(Probe)

 プローブとは、被測定回路からの信号をそのままの形で忠実に取り出しオシロスコープへ入力するためのツールです。

■プローブの種類

 電圧プローブが一般的で、他に電流プローブ、高圧プローブなどがあります。

■プローブの仕組み

 プローブは、ボールペン・サイズの本体、その先端には被測定回路に接触させるチップが付き、本体途中からミノムシ・クリップの付いたリード線が出ていて、被測定回路の接地点にクリップします。

■プローブの仕様

 オシロスコープと一体となってその性能を発揮するので、その電気的仕様(減衰量、周波数特性、入力インピーダンスなど)は非常に重要です。

■プローブの校正

 プローブは使用する前に、CAL 信号による周波数特性補正回路の調整が必ず必要です。


第10章 測定時の誤差

 オシロスコープはアナログ的な測定方法のため、測定精度にもおのずと限界があります。測定する時に誤差を少なくする工夫や誤差の大きさを知っておくことは、測定データの信頼性を高めることになります。

読み取り誤差を少なくする(電圧測定)

 電圧測定は、VOLTS/DIVスイッチを右に回して(偏向感度を上げる)、測定する波形の振幅が8div以内で一番大きくなるレンジにセットしてから行います。

読み取り誤差を少なくする(時間測定)

 時間測定も、やはりSWEEP TIME/DIVスイッチを右に回して(掃引時間を速くする)、測定する時間間隔が10div以内に入って一番距離が長くなるレンジにセットしてから行います。

周波数特性による測定誤差

 オシロスコープの垂直増幅器は、それぞれ固有の周波数特性があり、その周波数帯域幅は直流の増幅度の約70%になる周波数(上限周波数)で定義されています。

 では、誤差が3%以内で読みとれる周波数はどの辺かというと、上限周波数の約30%の周波数(上限周波数が100 MHzであれば30 MHz)が目安です。

立上り時間(パルス)の測定誤差

 パルスの立上り時間の測定には、オシロスコープの垂直増幅器の立上り時間も計算に含める必要があります。

 立上り時間を±3%位の誤差内で測定するためには、測定信号の立上り時間の4倍以上速い立上り時間を持つオシロスコープが必要です。

定格で定められた許容誤差

 定格値にはそれぞれ許容誤差の範囲を定めています。測定値にこの誤差が含まれていることを認識しつつ測定結果の分析を行う必要があります


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