初期段階での故障ではない不具合について例を挙げて説明しています。困った時に必ず役立つヒント集です。
定格のひとつひとつについて定義やその意味などを説明しています。測定前に理解しておくことで、測定結果に対して適切な評価ができます。
オシロスコープに関連する用語について簡単に説明しています。(ABC順、あいうえお順に列べてあります)
本文中のキーワードになる用語をピックアップしています。(ABC順、あいうえお順に列べてあります)
Appendix 遅延掃引(Delayed Sweep)
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遅延掃引とは
「遅延掃引」とは文字通り遅れて掃引することの意味です。オシロスコープの動作は、入力信号があるとすぐにトリガ信号を発生してトリガ回路が動作し掃引を開始するので、その時点からの波形がスクリーンで見られます。「遅れて掃引する」の本質的な意味は「波形の部分拡大」にあります。
■SWEEP TIME/DIVスイッチによる波形拡大
■「×10MAG」による波形拡大
■遅延掃引の特徴
●波形の任意の部分を拡大できること。
●その拡大率が可変できること。
■主掃引と遅延掃引
信号の入力によりトリガ信号が発生し、それによって掃引が開始するわけですが、遅延掃引では、このトリガ信号からある時間遅らせて別のトリガ信号(遅延トリガ信号という)を作り、そこから別の掃引回路で掃引を開始させることにより、波形の任意の部分の拡大を可能にしています。
■A & B SWEEP TIME/DIV
(A & B 掃引時間切替器)
遅延掃引の機能があるオシロスコープには掃引回路が二つあり、それぞれ主掃引(A掃引)、遅延掃引(B掃引)と呼ばれ個々に掃引時間が変えられます。

■遅延時間
最初のトリガ信号の発生から遅延トリガ信号の発生までの時間を遅延時間と呼び、DELAY TIME POSITIONノブで可変できます。

■拡大する部分の設定
■「×10MAG」との相違
連続遅延と同期遅延
通常のトリガ信号とは別に、遅延掃引では遅延トリガ信号により遅延掃引(B掃引)が掃引を開始するようになっています。
この遅延トリガ信号の発生の仕方により「連続遅延」と「同期遅延」の二つの遅延掃引の方式がありますが、遅延掃引の開始の仕方がそれぞれ少しずつ異なっていて一長一短があります。
■連続遅延(Starts After Delay)
文字通り連続的に任意の部分の波形拡大が出来ますが、拡大率を上げていくと次第に拡大波形が横方向に揺らぎ始め不安定になる欠点があります。

■同期遅延(Triggerable After Delay)
同期の関係で連続的には波形拡大が出来ませんが、トリガ掃引をさせるため拡大波形も安定して見ることが出来ます。

Copyright 2000 田中 新治
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