Column 主なLinuxディストリビューション ディストリビューションの多くは,パッケージの管理方法によって三つの系列に分類されます.以下,それぞれの特徴と代表的なディストリビューションについて簡単に紹介します. Slackware系 Slackwareは,初期(1992年〜1993年)の頃から開発が始まった,最も古いディストリビューションのうちの一つです.当時はCD-ROMドライブがまだ一般的ではなく,FDDで配布されていました.比較的コンパクトで,シンプルな構成になっています.現在でも,精力的なバージョンアップ,メンテナンスが続けられています.現在の最新バージョンは7.0です. パッケージの管理には,pkgtoolなどのシンプルなツールがありますが,依存関係のチェックといった細かな機能はありません. 日本では,Linuxへ移植された日本語環境ソフトを集めたJEパッケージがSlackwareをベースとしていたため,初期のディストリビューションではSlackwareが一般的となりました. レーザーファイブ社からLinux+JEなどのディストリビューションがリリースされていましたが,現在ではSlackwareをベースに日本語環境を含めたPlamo Linuxが代表的です. RedHat系 RedHat Linuxは,パッケージの管理を前提に開発されています.当初のリリースではRPPという形のシンプルなパッケージでしたが,2.0リリースでRPMへと変更され,さらに3.0ではPerlで書かれていたRPMプログラムがCで書き直され,ほぼ現在の形になりました.現在の最新バージョンは6.2です. RedHat社はRPMの仕様とプログラムを広く公開し,多くのディストリビューションベンダに採用を呼びかけました.その結果,多くのユーザーやディストリビューションベンダがLinuxへ移植したプログラムをRPMの形で配布するようになりました. 日本語環境についてもJRPMプロジェクトによってRPM化され,多くの国内のディストリビューションに採用されました. RedHatをベースとした日本国内のディストリビューションには,Laser5 Linux,Turbo Linux,Vine Linux,Linux MLDなどがあります.また,海外にもRedHatをベースとした多くのディストリビューションがあります.ドイツのSuSE,フランスのMandrake,アメリカのCaldera Open Linuxなどが代表的です.また,RedHatの先行開発版であるRawHideをベースに日本語化したKondara MNU/Linuxというディストリビューションもあります. RedHat系のディストリビューションのもう一つの特徴として,商用のソフトウェアのバンドルが挙げられます.フリーなソフトだけでは不足する部分を商用のソフトウェアで補うことによって,より実用的なディストリビューションが構成されています. Debian系 Debianは,商用ではないフリーなディストリビューションを目標に開発されています.Debian Free Software Guidelinesと呼ばれる独自の基準をもとにフリーなソフトウェアを収録しています. 歴史は古いのですが,比較的ゆっくりと開発が進められ,1994年にバージョン0.91が,1995年にはバージョン1.0がリリースされています.現在の最新版は2.1です. Debianの最大の特徴は,フリーなソフトを古いものから新しいものまですべてをカバーするように多数収録していることです.また,パッケージの管理も機能が豊富で,一度インストールすればその後は再インストールすることなく,すべてアップデートによって最新版へ移行できるといわれています.機能が豊富であるがゆえに,選択の幅が広く,初心者にはインストールしにくい場合もあります. 最近では,Debianをベースとしたディストリビューションも増えてきています.カナダのStorm Linux,Corel Linuxや国内でもDice Linux,「でびまる」などが開発されています. これらのディストリビューションはDebianの優れたパッケージの管理機能を活かしつつ,インストールが簡単にできるよう工夫されています. Copyright 2000 |
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