ぼくのおなかの中にはベイビーが…


 
これまた,正月の出来事.


 テレビで「ER」の日本版みたいなドラマを見ていたときのこと.
 シージャックでけがをして病院に運ばれた人の容態が急変し,みんなが慌てふためいている場面を見て,3歳の甥っ子が

 「なにしてんの?みんな」

と,質問したところ,その子の母親,つまりわたしの姉が

 「あの子のお父さんが死にそうやねん.そやから,慌ててるんよ.どうする?アンタのおとうちゃんが死んでしもたら?」

と質問し返しました.


う〜ん,この後の甥っ子の反応は絶妙だった.



 まず,「そんなんイヤやぁ」とごろごろ転げまわった後,再度の姉の「とうちゃん死んだらどうする?」の質問に,彼はこう答えた.

 「おかあちゃんがおるからいい

 この答えには義理兄もショックを受けていた.かたや,その答えに気を良くした姉はニコニコ笑いながら

 「じゃ,おかあちゃん死んだらどうする?」

と訊く.すると

 「おねえちゃんがおるからいい

 はっはっは.おもろいほどに残酷ですね,こどもって.

 姉は懲りずに質問を続けてました.

 「じゃぁ,お姉ちゃんが死んだら?」

 「ぼくのおなかのなかに赤ちゃんがいるからだいじょうぶ!

 この答えを聞いて,一同わけがわからず爆笑しました.義理兄は「あいつの頭ん中,どないなってんねん.」と言ってましたが,いやはや,こどもの頭ん中は,大きなゆがんだ宇宙でも入ってんでしょうね.

 わたしもこどものころは,雲の上に自分の家を建てるのが夢だった.しかし,小学校の理科の時間にその夢は木っ端微塵にされました.

 だれが言ったか忘れましたが,

 「おとなになると人は夢を抱かなくなるのではない.ただ夢までの距離がわかってしまうだけだ」

というようなこと聞いたことがあります.たしかに目的達成までの道筋がわかるようになると,自分の能力とくらべて,夢をあきらめてしまうかもしれませんが,やっぱり,こどものときのような自由な,むちゃくちゃな発想ってのは知恵がつくとでき難いもんだろうな,とも思います.