では,手動でSMTPを使ってメールを送信していきます.
@ HELO ドメイン名
 SMTPクライアントのドメイン名を名乗ります.ここで名乗った名前が,メールの中継ログ情報としてメールのヘッダに追加されます(詳しくは次節).
 サーバの設定によって,もし存在しないドメイン名であった場合にはエラーとなることがあります.ここでは,alpha-netにダイヤルアップ接続していますので,alpha-net.ne.jpと名乗りました.サーバから250という成功を表すコードが返ってきました.
A MAIL From: 送り主メールアドレス
 「送り主のメールアドレスからのメールをこれから送信したい」ことをSMTPサーバに要求します.サーバの設定によって,存在しないメールドメイン名の場合は,エラーとなることもあります.この送り主のメールアドレスは,手紙での封筒に書かれた送り主に相当します.
 送り主のメールアドレスとして,norenore@m16.alpha-net.ne.jpを送りました.250という成功を表すコードが返ってきました.
B RCPT To: 受け取り主のメールアドレス
 「受け取り主のメールアドレスあてのメールをこれから送信したい」ことをSMTPサーバに要求します.もし受け取り主のメールアドレスのドメイン名が,SMTPサーバの管理するドメイン名であったときに,そのユーザー名がSMTPサーバの郵便受けにない場合,エラーとなります.また,SMTPサーバの管理するドメイン名あてのメールでない場合,SMTPサーバは次のメールサーバに転送する処理を行います.
 しかし,このようなメールの中継を禁止するように設定されているSMTPサーバの場合,そのメールを受け取っても送り先がないためエラーとなります.
 受け取り主のメールアドレスとして ui4s-fnd@asahi-net.or.jp を送りました.ここでも250という成功を表すコードが返ってきました.
C DATA
 メールの中身を送りたいことをSMTPサーバに要求します.「メールの中身」は,メールのヘッダと本文からなります.本文が終わったら,空行と“.”(ビリオド)だけの行を送ります.
 メールの中身には,メールのヘッダとしてSubject行だけを,メールの本文として3行の日本語の文章を送りました.ここでも250という成功を表すコードが返ってきました.この時点でメールの送信が完了します.
D QUIT
 SMTPの通信を終了します.QUITコマンドを送った瞬間にTCPのセッションが閉じられます.
 この例では,まだQUITコマンドを送っていません.TCPセッションが閉じるとTeraTermの画面も消えてしまうため,画面を取り込んだ後,QUITコマンドを送りました.
 このように非常に簡単に,Telnetクライアントを使って手動でメールを送ることができます.メールサーバの保守などを行っているときに,メールサーバが動いているかどうかだけを確認したい場合など,このようにして手動でメールを送ることができると便利です.

 

〔図8〕今回の実験環境
   図8


〔図9〕Telnetクライアントの設定例

図9

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