送られたメールはどうなる?

 メールクライアントを使って先ほど送ったメールを受信してみましょう.今回はOutlook Expressを用いてui4s-fnd@asahi-net.or.jpに届いたメールを受信しました.図10のようにきちんとメールが受信できています.メールヘッダとしてSubjectしか送らなかったため,受信したメールにはあて先が付いていません.
 この届いたメールのヘッダはどのようになっているのでしょうか.メールの中身は図11のようになっていました.もともと送ったメールは,Subject行と本文3行だけだったので,16行目と20行目以降以外のすべての情報は,メール配送によって中継されたメールサーバが付加した情報ということになります.
Received行
 1行目から12行目のReceived行は,このメールを受信したSMTPサーバが付加する情報です.メールの先頭に情報を付加していくため,下の行のReceived行ほど先に受信したサーバになります.Received行の情報は次のようにして読みます.
“from”のあとのドメイン名 HELOで名乗ったドメイン名
“by”のあとのホスト名  受信したSMTPサーバのホスト名
“for”のあとのメールアドレス RCPT To:に指定された受け取り主のメールアドレス
 10行目の例では,「alpha-net.ne.jpというドメインのホストからui4s-fnd@asahi-net.or.jpという受け取り主のメールを,日本時間の2001年8月10日1時16分にm16.alpha-net.ne.jpというSMTPサーバが受け取った」ことを表しています.
 SMTPサーバによってReceived行の形式が微妙に異なりますので,臨機応変に読みこなしてください.
Return-Path行
 中継途中のサーバで,メールの送信にエラーが発生したときに,そのことを伝えるメールの送り先を表しています.Return-Pathが3行目にあることから,4行目のホストがこの情報を追加したと考えられます.
 最初にメールを送信するときにメールヘッダの中にReturn-Path行を書いておくと,メール送信エラーが発生したことを好きなメールアドレスに知らせることができます.通常はReturn-Pathとしてメールの送り主のメールアドレスが使われます.しかし,メーリングリストでは,送信エラーを知らせるメールがメーリングリストに投稿されてしまわないように,Return-Pathとしてメーリングリスト管理用のアドレスを指定します.
Date行(13行目)
 このメールが作成された時刻を表します.最初のSMTPサーバがメールを受け取ったときにDate行がない場合,そのメールを受け取った時刻がDate行として付加されます.
From行(14行目)
 メールの送り主のメールアドレスを表します.最初のSMTPサーバがメールを受け取ったときに,From行がない場合,MAIL Fromコマンドの送り主メールアドレスが付加されます.
Message-Id行(15行目)
 このメールを特定する識別子です.最初のSMTPサーバがメールを受け取ったときに付加されます.メールに返信を書いたときに,メールクライアントソフトウェアがどのメールに対する返信なのかを識別するのに使われます.
To行(17行目)
 メールの受け取り主のメールアドレスを表します.最初のSMTPサーバがメールを受け取ったときにTo行がない場合,To行が空行で付加されます.
Reply-To行(この例にはない)
 メールの返信を書いたときの,デフォルトの受け取り主のメールアドレスを指定します.
X-***行(この例にはない)
 X-で始まるヘッダ情報は,それぞれのメールサーバソフトウェアやメールクライアントソフトウェアが独自に付加した情報を表します.そのメールを作成したメールソフトウェアを表すX-Mailer行がよく使われています.
Content-***行(この例にはない)
 メールの本文の漢字コードやファイル形式などを指定します.次回以降で詳しく解説します.


〔図10〕手動で送信したメールをOutlook Expressで受信した様子

図10

 

〔図11〕最終的に受信したメールの中身

図11

 


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