(図2) これまでのソフトウェア構成
それぞれのハードウェアをそれぞれのアプリケーションが占有して使っていた

 個別接続システムの問題点
個別接続システムでは,以下のようなことは不可能であることがわかります.

1.中継を必要とする離れたコンピュータとの通信
図1のコンピュータAとコンピュータBはRS-232-Cでつながっていますし,コンピュータBは,同図下にある計測機器につながっています.
この状況では,コンピュータAの前に座っている人は,コンピュータAから計測機器を制御したくなるでしょう.また,電話回線の向こう側のコンピュータから,コンピュータAのファイルにアクセスすることも不可能ではないはずです.
しかし,個別通信システムではこれを実現することは不可能です.
図2に,これまでの通信システムにおけるソフトウェアの構成を示します.コンピュータAとコンピュータBの間のRS-232-Cは,ファイル共有ソフトウェアが占有して使います.
コンピュータBのパラレルインターフェースは,プリンタを使うワープロソフトが占有します.
RS-232-Cは,ファイル共有ソフトが使っているため,コンピュータAで動くワープロソフトは,RS-232-Cを介してコンピュータBのプリンタを使うことはできません.

2.ハードウェアに依存しない通信
通常,モデムはRS-232-Cでコンピュータにつなぎます.このため通信ソフト(WTERMやHiperTerminalなど)は,RS-232-Cを操作することができます.しかし,もしパラレルケーブルでつながるモデムがあったとしても,これらの通信ソフトを使うことができません.モデムはRS-232-Cを介してつながるように想定されているためです.
このように,従来の個別接続システムでは,アプリケーションソフトは「どのようなハードウェアを使用するか」ということを意識して構築する必要があります.さらに,どのようなハードウェアを経由しても通信できるアプリケーションを作ることは,容易ではありません.

3.ハードウェアを共有する通信
個別通信システムでは,1つのハードウェアを複数のアプリケーションで共有することはできません.
コンピュータAとコンピュータBの間のRS-232-Cのところで,ファイル共有ソフトと別のソフトが相乗りして,RS-232-Cを使うことはできません.これは,2つのアプリケーションからのRS-232-Cに対する通信要求をまとめて,1つのドライバソフトに渡す機能がないためです.


 CQ出版 TOP OPENDESIGN TOPOPENDESIGN Online目次に戻る
 
 
Copyright CQ Publishing Co.,Ltd. 1997-2001