- “インターネット”のアイデア
- では,これらの問題点はどのようにすれば解決されるのでしょうか? 先ほどのそれぞれの問題点について,以下のようにすると解決可能だと考えられます.
1.中継を必要とする離れたコンピュータとの通信
デバイスドライバ間で中継を行うソフトウェアを構築する.
2.ハードウェアに依存しない通信
ハードウェアデバイス上を流れるメッセージを,すべてのデバイスで統一する.
3.ハードウェアを共有する通信
ハードウェアデバイス上を流れるメッセージに番号を付けて,どのアプリケーションの情報かを判別できるようにする.
これらのことを実現できるようにしたソフトが「TCP/IPソフト」です.なお,“TCP/IP”が何を表しているのかは,この連載の中で序々に明らかにしていきたいと思います.
図3では,コンピュータ内におけるTCP/IPソフトの位置を表しています.TCP/IPソフトは,ハードウェアドライバと,アプリケーションソフトの間に位置し,ドライバ間でのメッセージの中継,複数アプリケーションによるデバイスの共有などを実現します.
TCP/IPを実装したコンピュータと通信するには,やはりTCP/IPを実装する必要があります.そのため,プリンタとの接続にTCP/IPを使用したいのならば,プリンタの側にもTCP/IPソフトが必要になります.
プリンタドライバから見ると,TCP/IPソフトは,アプリケーションと見なせます.実際にドライバに対して要求を送るのは,TCP/IPソフトとなり,もはやRS-232-CはTCP/IPソフトの生成するメッセージを伝送するための伝送路となります.
逆に言えば,TCP/IPソフトとインターフェース用のソフトさえ準備すれば,あらゆるハードウェアがTCP/IPの伝送路として使用できることになります.
(図3) TCP/IPソフトを導入した通信システム
ハードウェアはTCP/IPソフトが一括して管理し、各アプリケーションはTCP/IPソフトに通信をまかせることができる

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