(図5) tracerouteのしくみ
正確にはTCP/IPソフトウェアのエラー検出機構とICMPのエラー報告機能を使って実現されている

(図5)tracerouteのしくみ

● 中継の経路を調べる「tracerouteコマンド」
 どのコンピュータを経由して目的のコンピュータと通信しているのかを,tracerouteというコマンドを使うと確認することができます(Windowsではtracertコマンド).
 tracerouteでは,図5のようにpingと同じくTCP/IPソフトウェアのICMPの機能を利用します.図2(f)に,コンピュータAからコンピュータCに対して,tracerouteを実行したようすを示します.これを見ると,きちんとコンピュータB(10.0.0.2)を経由して,コンピュータC(10.0.0.4)に到達していることがわかります.
 この機能を使うと,あるコンピュータと通信できない場合に,どこのコンピュータから先の通信に問題があるのかを調べることができます.
 図2(g)は,コンピュータBとコンピュータCの間のRS-232-Cケーブルを外したときのようすです.コンピュータBまでは通信できていても,その先で通信ができていません.
 このことから,コンピュータBより先の部分で接続に問題が起きていることがわかります.
 図2(h)では,コンピュータAとコンピュータBの間のRS-232-Cケーブルを外してみました.この場合は,1つ目のコンピュータまでも通信ができていないことがわかります.


● 次回の予定
 次回は,インターネットの世界でも理解しにくい概念のひとつであるネットマスクについて解説する予定です.今回までの説明でルーティングのしくみが理解できていれば,ネットマスクやネットワークアドレスといった概念は簡単に理解できると思います.

参考文献
1) OpenDesign No.3 「イーサネットとTCP/IP」 CQ出版社

ふなだ・さとし 


<コラム> なぜイーサネットではなくSLIPか

 今回の実験では,LANを構築する手段としてもっとも一般的なイーサネットを使わずに,もはや過去の技術となったSLIPをわざわざ使いました.
 イーサネットにはMACアドレスやARPなどといった,SLIPにはない概念があります.これらは,TCP/IPのIPアドレスやルーティングといった概念に近いもので,混同しやすいものです.そのため,今回の説明では非常に単純なSLIPというプロトコルを使って,TCP/IPのルーティングのしくみを理解しやすいように工夫しています.
 イーサネットについての詳しい解説は,もう少し先に登場する予定ですのでご期待ください.


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