● サブネット
 図2は,郵便局の郵便配達のしくみを想定したものです(実際の配達のしくみとは異なるかも知れません).
 仮に,東京都豊島区にある豊島郵便局を考えてみましょう.
 まず,郵便物は周辺(同局の管轄エリア)のポストから豊島郵便局に集められます.郵便局では,住所によって,配達人が「配達」したり,別の郵便局に回送します.
 例えば,「東京都豊島区巣鴨1-14-2」あての郵便物は「東京都豊島区」あてなので配達されますが,「千葉県千葉市…」あての郵便物は千葉県の郵便局に回送されます.
 このしくみを表にまとめると,図2中の配達表になります.


(図2) 郵便局の郵便配達のしくみ

(図2)郵便局の郵便配達のしくみ


 送り先をXXで包括する
 配達表の中のXXの部分は,なんでもよいことを表しています.例えば,「東京都豊島区XX」であれば,東京都豊島区巣鴨でも東京都豊島区大塚でもよいことになります.このように「XX」を導入することで,表を小さくすることができます.もし「XX」がなければ,豊島区にあるすべての住所に対して,表を作らなくてはなりません.
 インターネットの世界でも同様に「XX」を用います.ルーティングテーブルの中には,自分のIPアドレスを除いたすべてのコンピュータのIPアドレスに関する情報を持っていなければなりません.
 例えば,図1のコンピュータAのルーティングテーブルは,図1の右表のようになります.
 ネットワークの中には,10個のIPアドレスがあり,コンピュータAは2つのインターフェースを持っていますから,この2つを除いた8個のIPアドレスに対してルーティングが必要です.

● XXを使ってルーティングテーブルを作る
しかし,コンピュータAからパケットを10.0.0.2に送る場合にも,10.0.0.4というアドレスに送るにも,同じ10.1.0.2というアドレスに送ればよいのです.この場合,10.0.0.XXといったように,「XX」を用いて表をまとめることができます.  図3は,「XX」を用いて中継依頼先の同じ行を1つにまとめたルーティングテーブルです.このように,あるIPアドレスの塊をまとめて1つにすることによって,ルーティングテーブルを小さくすることができます.  これは,さきほどの郵便の話に対応付けると「東京都豊島区」という豊島区内のすべてのあて先を1つにまとめて,配達表に書いたことになります.  この「東京都豊島区」に対応するある「IPアドレスの塊」をサブネットと呼び,このサブネットに付けられたIPアドレスをネットワークアドレスと呼びます.  例えば,10.0.0.XXは,10.0.0.0〜10.0.0.255を1つにまとめたサブネットで,10.0.XX.XXは10.0.0.0〜10.0.255.255を1つにまとめたサブネットとなります.ネットワークアドレスは,このXXの部分を0に置き換えたものです.サブネット10.0.0.XXのネットワークアドレスは10.0.0.0,サブネット10.0.XX.XXのネットワークアドレスも10.0.0.0となります.

(図3) 「XX」を使って同じ中継依頼先である情報をまとめる

(図3)「XX」を使って同じ中継依頼先である情報をまとめる



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