- まとめ
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今回は,一つのインターフェースで多くのコンピュータと接続することができるイーサネットについて解説しました.まとめると,次のようになります.
- 一つの通信路(ケーブル)を共有するバス接続型の通信方式
- イーサネットパケットというパケット単位で通信を行う
- イーサネットインターフェースには,固有なアドレスが割り振られている
- パケットは,送り元/送り先アドレスとデータ(メッセージ)からなる
- IPアドレスとイーサネットアドレスは,ARPテーブルによって対応付けをする
- ARP要求/応答パケットによって,ARPテーブルを自動的に作ることができる
- IPパケットもARPパケットも,イーサネットパケットのデータである
- イーサネットには,サブネットを割り当てるとルーティングテーブルを小さくできる
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イーサネットは, 1976年に開発された古くからある技術です.もともと3Mbpsであった速度も,いまでは10Gbpsに迫ろうかとしています.ハードウェア的にもソフトウェア的にも非常に重要な技術をイーサネットは多く使っていますので,参考文献等を参照してさらに理解を深めるとよいと思います.
◆参考文献◆
「特集 イーサネットのハードウェア」 トランジスタ技術,1996年7月号,CQ出版
「特集 インターネット時代のハードウェア制御」 トランジスタ技術,1999年7月号,CQ出版
「TCP/IPとインターネット」 Open Design No3, CQ出版
<コラム> 10BASE-T とイーサネットハブ
最近はイーサネットといえば,直径2cmくらいもある同軸ケーブルではなく,鉛筆よりも細いツイストペアケーブルになりました.
同軸ケーブルに接続するためのトランシーバもなくなり,そのかわりにイーサネットハブ(HUB)が使われるようになりました.本文の説明にある音を伝えるパイプが,10BASE-5や10BASE-2というイーサネットでは同軸ケーブルでした.
しかし,10BASE-Tや100BASE-TXと呼ばれるイーサネットでは,同軸やトランシーバがHUBの中に入っています.図A(a)の同軸ケーブルが,図A-(b)のHUBの中に収まりました.
コンピュータと同軸ケーブルをつないでいたトランシーバケーブルが,コンピュータとHUBをつなぐツイストペアケーブルになったのです.
同軸ケーブルは,重量が重く,また建物の中を一筆書きするように配線しなくてはなりませんでした.コンピュータを増やすときも,ケーブルに穴をあけるか,いったん切断する必要があったのです.
しかし,コンピュータをHUBにつなぐという形態にすることで,HUBを部屋の中央に置き,必要なコンピュータがそこに接続すればよいようになりました.長いパイプに向かってしゃべるのではなく,しゃべる人たちが中央に集まって,井戸端会議をするように形態が変化しました.これによって,二人以上が同時にしゃべることもできスイッチングハブというHUB機器も登場しました.
〔図A〕イーサネットの形態の変化

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