- ネットワークは雲
- 図5では,インターネットをルータとそれ同士をつなぐ回線によって表しました.しかし,毎回このような詳細な図を書くのは面倒ですし,「このような詳細は必要ないがインターネットを表現したい」という要求があります.
そこで,TCP/IPネットワークやインターネットを図6(a)のように“雲”で表すことがよくあります.つまりネットワーク層を“雲”で書いて,ネットワークがどのように構成されているかは省略してしまいます.
もし雲の中にIPパケットを投げ込むと,雲の中ではなんらかの処理がうまく動いて,雲の出口からきちんと出てくることを表します.
ですから,その雲につながっているコンピュータやネットワーク同士は,“雲”であるネットワーク層を使って相互に通信可能であることを表せるのです.
また,図6(b)のように,インターネットだけではなく,TCP/IPネットワークの一部を“雲”で表すこともよく使われます.
では,インターネットとTCP/IPネットワークの違いはなんなのでしょうか.
TCP/IPネットワークを雲で表すとすると,世の中にはネットワークの数だけ雲が存在することになります.ある大学の大学内ネットワーク,ある会社の社内ネットワーク,といろいろな雲があります.日本には企業や大学や個人の雲がたくさんありますが,それらがつながっていれば1つの雲となりえます.世界規模で考えれば,全世界を被うような雲があります.この雲こそがインターネットと呼ばれる雲なのです.
ですから,自分のコンピュータをプロバイダに接続した瞬間から,そのコンピュータは世界の雲の一部となり,それはつまりインターネットの一部となるのです.インターネットの最初の雲は,アメリカの軍事ネットワークでした.この軍事ネットワークに大学ネットワークが加わり,企業ネットワークが加わり,そして雲はアメリカだけではなく,全世界に広がって今のようなインターネットの雲ができたのです(図7).
〔図5〕実際のインターネットはイーサネットやppp以外にも様々なメディアを使って 巨大なネットワークが形作られている
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