- 2. NIS(Network Information System:ネットワーク情報システム)
- hostsファイルの欠点は,変更があるとすべてのコンピュータのhostsファイルを人の手で変更しなくてはならないことでした.逆に考えると,変更を自動的に更新するか,hostsファイルをすべてのコンピュータで共有できればよいのです.
UNIX系オペレーティングシステムでは,hostsファイルだけではなく,そのほかのネットワークの設定やユーザー情報などを,テキストファイルの形式で保持しています.そこで,これらの設定ファイルをネットワーク上で共有するという発想が生まれました.これを実現したのがNISと呼ばれる設定ファイル共有システムです.
NISは,おもにUNIX系オペレーティングシステムで使われます.NISは,図6のようにサーバ・クライアントモデルで成り立っており,NISサーバとNISクライアントがあります.NISサーバはhostsファイルを持っており,NISクライアントは,サーバからホスト名に関する情報を問い合わせによって取得し,IPアドレスへの変換を行います.ちょうどhostsファイルへのアクセスがネットワーク経由に置き換わったものと同じになります.
しかし,NISにも欠点があります.NISでは,NISサーバがhostsファイルを一元管理する形態をとっています.そのためhostsファイルを更新するためには,NISサーバのhostsファイルを書き換えなくてはなりません.
ネットワークが大規模になると,hostsファイルが管理するホスト名が非常に多くなります.ネットワークの規模が大きくなればなるほど,ネットワークのあちこちの管理者から,ホスト名の追加,IPアドレスの変更などの要求がhostsファイルの管理者に集まってきます(図7).
LANのように小さいネットワークであれば,あまり問題になりませんが,インターネットのような大規模なネットワークとなると,要求がhostsファイルの管理部に集中し,処理能力を超えるとパンクして,hostsファイルをもはや管理することはできなくなります.
このように,hostsファイル方式やNISではインターネット全体のホスト名を管理できませんので,集中型ではない仕組みが必要となります.
〔図6〕NISによるホスト名→IPアドレス変換

〔図7〕NISの欠点
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