- 3. DNS(Domain Name System)
- NISは集中管理型であるため,大規模なネットワークやインターネットへは適用できませんでした.そこで,分散管理型のホスト名とIPアドレスの変換システムとして「DNS」があります.
インターネットは,複数のTCP/IPネットワークを相互につないでできた全世界的ネットワークです.図8の中で最も小さなネットワークは,家庭内ネットワークであったり,会社の部署のネットワークです.このネットワーク同士を繋いで,会社全体のネットワークになります.
また,これらのネットワークを相互に繋いでいるプロバイダから見れば,プロバイダ全体も1つのネットワークです.さらに,日本国内のプロバイダ全体を見れば,これも1つのネットワークです.そして,世界全体を見渡したとき,もっとも大きなネットワーク,インターネットとなります.
このようにTCP/IPネットワークには,ネットワークの管理の単位に応じたそれぞれのネットワークがあります.そこでDNSでは,hostsファイルをそれぞれのネットワークで管理します.
〔図8〕様々な大きさのネットワークでそれぞれhostsファイルを管理する
例えば,家庭内ネットワークには家庭内ネットワークのDNS,プロバイダネットワークにはプロバイダネットワークのDNS,日本国内ネットワークには日本国内ネットワークのDNSがあります.
個々のネットワークの情報は,そのネットワークにおいて管理を行うことができますので,NISで起きたような集中管理による問題はありません.もし,家庭内ネットワークにおいて,IPアドレスを変更する場合は,家庭内ネットワークを管理するDNSの情報を変えるだけです.
しかし,それぞれのDNSがばらばらでは世界中のコンピュータに割り振られたホスト名をIPアドレスに変換することはできません.そこでDNSでは,DNS同士をつなげるための情報を使って,世界中のDNSが1つのDNSかのように連係します.ユーザーのコンピュータは,どこか1つのDNSを知っていれば全世界のコンピュータのホスト名をIPアドレスへ変換することができます.
全世界で同じ名前のコンピュータが複数あっては,うまくIPアドレスに変換することができません.そのために,ドメイン名というしくみが導入されました.
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次回は,世界中で同じホスト名ができないように,ホスト名を割り振るドメイン名のしくみとホスト名とIPアドレス変換を行うDNSのしくみについて解説したいと思います.