Keywords:ISA,EISA,MCA,ローカル・バス,VLバス,SIMM,POS,PCIバス
IBM PC/ATで使われている周辺拡張バスの一般的な呼び名をATバスと呼びます.AT以前のIBM PCおよびXTではCPUに8088が使われていたため,8ビット・バスで構成されていました(62ピン・コネクタ).ATになるとCPUは80286となり,I/Oおよびメモリへのデータ・バス幅が16ビットになったのと,メモリ空間が24ビットまで拡張されました.これによって,従来の8ビット・バスでは周辺の拡張が不十分なため,36ピンのカード・エッジ・コネクタを追加して写真のような形に落ち着いたわけです.こうすることでPC/XT時代の拡張ボードを混在して搭載できます.< copyright 1994 斉藤健司 >トップに戻る
SIMM
(Single Inline Memory Module)
VLバス
(VESA Local Bus)
ISAバス
(Industry Standard Architecture)
MCA
(Micro Channel Architecture)
PCIバス
(Peripheral Component Interconnect)
EISAバス
(Enhanced Industry Standard Architecture)
(Video Graphics Array)Keywords:CGA, MDA, EGA, VGA, 8514/A,Windowsアクセラレータ,Hercules,S3,86C928
PCシリーズの次のシリーズとしてIBM社が市場に投入したPS/2に搭載された従来のCGAやMDA,EGAに代わるグラフィック・モードです.いうまでもなく,現在のPC互換機のディスプレイのほとんどがVGAを基本としています.解像度は640×480と向上し,アスペクト比が一般のTVと同じ4:3になり,ブラウン管を広く使えるようになりました.また,初めてアナログ・カラー表示(最大256色)が可能になっています. さらに,高解像表示のためにIBM社からは8514/Aというグラフィック・ボードがリリースされています. 互換機(ISAバス)のためのサード・パーティ製VGAボードもすぐに市場に投入され,スーパVGA(SVGA)へと独自の発展を始めました.したがって,この時期にCRTディスプレイのほうでも,RGBアナログ入力を備え,マルチスキャンへの移行を開始します. また,スーパVGAには描画速度を向上させるために,Windowsアクセラレータ機能を付加しています.< copyright 1994 斉藤健司 >
端子番号 | 信号名 |
---|---|
1 | R |
2 | G |
3 | B |
4 | 接地 |
5 | 未使用 |
6 | R接地 |
7 | G接地 |
8 | B接地 |
9 | 未使用 |
10 | 接地 |
11 | 接地 |
12 | 未使用 |
13 | 水平同期 |
14 | 垂直同期 |
15 | 未使用 |
EGA
(Enhanced Graphics Adapter)
端子番号 | 信号名 |
---|---|
1 | 開放 |
2 | R2 |
3 | R |
4 | G |
5 | B |
6 | G2または強調 |
7 | B2 |
8 | 水平同期 |
9 | 垂直同期 |
8514/A
1024×768の解像度をもつ,PS/2用のグラフィック・アダプタです.CADなどの科学技術向けアプリケーションのために作られたものです.専用グラフィック・コントローラを内蔵しています. 実際に使用されている数は少ないと思われますが,8514/AのファンクションをエミュレートできるSVGAボードが多数あります.すなわち,8514/A用のアプリーケションをAT互換機で使うことができるため,互換ディスプレイ・モードとしてよく話題になります.トップに戻るORVGA トップに戻るCGA
(Color Graphics Adapter)
MDA
(Monochrome Display/Printer Adapter)
Hercules
(Hercules Graphics Card:HGC)
Windowsアクセラレータ
Windows3.1は疑似マルチタスクのため,あるタスクが終了しないと次の処理に移行できません.このため,グラフィックを多用するアプリケーションでは,描画スピードが全体のスループットに大きな影響を与えます.そこで,GDIからWindowsのデバイス・ドライバへの処理要求をソフトウェア的に処理するのではなく(CPUに負担をかけずに),ディスプレイ・ボード側でハード的に処理することで,描画の高速化を図ることができるようになります. これまでのディスプレイ・コントローラは,要求された座標に点を描く程度の消極的なものでした.ですから,図形の描画,移動,サイズ変更といった手間のかかる処理はすべてCPUがソフト的に行っていたわけです.これに対し,グラフィック・プロセッサと呼ばれるものを使った場合は,ここにグラフィック専用プログラムを組み込むことができますから,ホスト側が簡単なコマンド要求を出すだけで,複雑なグラフィック処理を高速に実現することができます(TIのTMS340シリーズが有名). グラフィック・プロセッサは一般に汎用に作られていて,CRTディスプレイ以外にも応用範囲を広く設定しています.Windowsアクセラレータもグラフィック・プロセッサの一種ですが,よりGDIの処理要求に適合させており,用途を限定しています.現在,S3社やシーラス社,ATI社などが市場でしのぎを削っています.トップに戻るORVGA トップに戻る86C928
S3社のVGA互換Windowsアクセラレータ・チップです.DIAMOND Stealth PROやPC98などのアクセラレータとして使われています. グラフィック処理は,コマンドやディスプレイ・データの大量なデータ転送を必要とするため,CPUのボトルネックとなります.86C928では,これをFIFOで吸収することにより高速化を図っています.また,複雑な図形処理,イメージの移動などを,WindowsなどのOSのGUIやCADに適合するグラフィック・エンジンが行います. 86C928は,4MバイトまでのVRAMをサポートできます.これにより,1600×1200の高解像グラフィックが可能ですし,カラー分解能は解像度によって異なりますが,最大32ビットが可能です. また,NTSCやPALといった外部ディスプレイとの同期動作が可能です.S3
(S3 Incorporated;Santa Clara, CA)
当初,SVGAについての明確な規定がありませんでした.これに対してグラフィック関係企業の業界団体VESA(Video Electronics Standard Association)によって規格が定められ,あわせてビデオ表示の高速化をはかるためVLバスによるローカルバスの規格も定め,高速で安定したビデオボードが供給されるようになりました.
SVGAを表示させるためには複数のビデオ信号に対応できるマルチスキャンディスプレイが必要となります.< copyright 1995 相沢一石 >トップに戻るORSVGAトップに戻る
ビデオボード
IBMのパソコンは当初からCRTディスプレイ用の制御ボードをビデオボードとしてマザーボードと別にしていました.ビデオボードは,ビデオコントローラとビデオRAMおよびそれらを制御するための回路から構成されています.このビデオボードはグラフィック処理の改善に応じて改善を重ねてきました.Windows3.1の登場によってグラフィックの高速化,フルカラー/ハイカラーなど発色数の強化が必要となりました.これらの要望に応じて,ビデオボード上でグラフィック処理を分担し表示の高速化に対応するグラフィックアクセラレータ・チップが開発されるようになりました.トップに戻るORSVGAトップに戻るフルカラー/ハイカラー
SVGAの発色数は発色のために割り当てられるメモリにより決まります.Windows3.1やWindows95では,ビデオのメモリが2Mバイトのときには,800x600まではフルカラー,メモリが4Mバイトのときには1024x768までフルカラーにすることができます.
ハイカラーは通常65536色の表示を指します.マルチスキャンディスプレイ
複数の同期周波数に自動的に追従することのできるCRTディスプレイです.多くの場合マイコンを内蔵し各同期周波数に応じた調整をプリセットできるようになっています. DOSの標準の解像度はVGAで640×480の解像度となっています.Windows3.1やWindows95の場合は1024×768などのより高解像度の表示となります.同じパソコンであっても使用する状況により表示解像度が異なると,CRTディスプレイの同期周波数もそれぞれの解像度に応じて異なります.Windowsの場合はこのように異なる解像度に対応して自動的に同期周波数を追従できるディスプレイを利用します.
トップに戻るORSVGA トップに戻るグラフィックアクセラレータ・チップ
Windowsのパソコンのグラフィック処理を高速に実現することに特化したプロセッサのことです.CPUからの描画コマンドを受けVRAM上にグラフィックデータを描画します.これらのチップの開発競争が激しく,シーラスロジック社,S3社,ATI社,Trident社などが激烈な競争を展開しています.
トップに戻るORSVGAトップに戻るビデオコントローラチップ
初期のビデオボードのビデオコントローラチップ(CRTC)は,CRTディスプレイ用の水平,垂直の同期信号,ビデオ信号の合成,送出とビデオRAMの制御を行っていました.最近はこれらの処理は描画,アナログカラーのためのDA変換までもワンチップになったグラフィックアクセラレータとなっています.トップに戻るORSVGA トップに戻る
Keywords:ODP,$FONT,$DISP,OADG,DOS/V,IDE,8250,NS16550,ARC,ZIP
国内外のDOS/Vマシン・メーカによって決められた,AT互換機をベースとしたDOS/V機のスペックをOADGといいます.表にその概要を示します.なお,AXという規格とは多少異なります. AT互換機およびその周辺機器は安価に入手可能ですし,そのスペックが事実上標準化されているために全世界にユーザが多く,ソフトウェア資源がたいへん豊富であるというメリットを持っています. 表を基本的に満足していればよいわけですから,DOS/Vマシンとして製品化されたものだけがDOS/V機として動作するわけではありません.すなわち,キーボード,匡体,電源,マザーボード,拡張ボード,外部記憶装置などといったアセンブリ単位でも構成可能です. AT互換機で日本語を表示するために $FONT.SYSと $DISP.SYSの二つのドライバが英語版MS-DOSに追加されています.この二つが入っているとDOS/Vになります.ですから,ハード・ディスクはIDE,通信LSIは8250のように,ハードウェア・スペックはまったくAT互換機と同じということになります.ただし,漢字が入力しやすいキーボードが用意されています. また,ODPなどにより,次世代CPUへの乗り換えなどの機能アップも,安価に行うことができます.つまり,本体をまるごと交換するのではなく,最低必要なアセンブリのみを交換し,その他の資源は再利用できます.< copyright 1994 斉藤健司 >
項目 | 内容 |
---|---|
ビデオ | VGAが標準.VGAと互換性があればSVGAの搭載も認める |
キーボード | IBM...5576-A01,U.S.English |
プリンタ | エプソンESC/P J84 |
文字コード | JIS X0206準拠.フォントはメーカの自由 |
フロッピ・ディスク | 3.5インチ 1.44Mバイト &720Kバイト |
$FONT.SYS
DOS/Vの日本語文字フォント・ハンドラです.日本語フォントのロード・エリアはプロテクト・メモリの上限が使われます.ただし,フォントの出し入れにはROM-BIOSのシステム・サービス(INT 15H)が使われます.このため,CONFIG.SYSの指定では,XMSハンドラ(HIMEM,EMM386など)よりも先に組み込む必要があります. ブート時にはロードすべきフォント・イメージのデータ・ファイル(*.FNT)が必要です.ブート・ドライブのルート・ディレクトリ以外にフォント・ファイルを置く場合には“/P=〈PATH〉”のパラメータ指定が必要です.$DISP.SYS
VGAのグラフィック・モードで日本語表示を行うDOS/Vのディスプレイ・デバイス・ドライバです.DOS/Vマシンは基本的にAT互換機ですから,漢字ROMやそのフォント・イメージをVRAMにハードウェア転送する機能をもっていません.このため,日本語表示機能をソフトウェア的に付加するのがこのドライバです.トップに戻るOROADG トップに戻るCPU | ODP | 方法 |
---|---|---|
i486SX/DX2-20/25/33/66MHz | ODP486DX(2/4)50/75/100 | オーバドライブまたは数値演算プロセッサ・ソケットに実装. もしくはCPUと差し替える |
ODP5V83 | オーバドライブまたは数値演算プロセッサ・ソケットに実装. もしくはCPUと差し替える |
IDE
(Intelligent Drive Electronics)
8250
非同期通信用の周辺LSIの型番です.IBM PCではインテルの8251Aを使わず,ナショナル・セミコンダクター社のINS8250Aを使ったため,通信ポートは非同期専用というのが標準的になりました(同期通信用のボードは別売でした). ROM-BIOSでは,I/Oポーリングによるサポートを行っています.割り込みをまったく使用していないので,よく悪口の対象とされます.ハードウェア的には割り込みをイネーブルにできますから,ドライバを書くことでこれに対応できます. なお,8251Aとはレジスタ構成などがまったく異なっています.PC98フリークがPC互換機に乗り移った場合には注意が必要です. 最近は,8250A互換のNS16550が使われていることが多いようです.トップに戻るOROADG トップに戻るキーボード
オリジナルATで使われていた原形を101キーボードといいます.PC,XTおよび初期ATなどのモデルでは,ファンクション・キーが左側に配置された88キーボードが使われていました.88キーボードは専用カーソル・キーがなくテンキーと兼用であったり,ファンクション・キーが10個しかないなど,キー数が少なかったというわけです. キーボード内部には専用コントローラが搭載され,本体とはシリアル伝送でデータのやりとりが行われます.日本では106キーボードが主に使われています.トップに戻るOROADG トップに戻る106キーボード
基本的には101キーボードと同じですが,かなキートップや日本語変換用のキーが追加されています.Windows95が出荷されると同時に,Startなどの新たなキーが3つ追加された109キーボードも出現しました.トップに戻るOROADG トップに戻るNS16550
基本的に8250互換の非同期通信LSIですが,送受信データ回路に16バイトのFIFOが挿入されています.これにより割り込みなしのハンドラで,9600bpsの通信が可能になります. 通常は8250と互換性を取るため,FIFOがディセーブルになっています.MS-WindowsのCOMドライバも16550対応となっています. なお,16550のFIFOを有効にしたハンドラを書く際には注意が必要です.まれに,FIFO中の最終バイトが送信中に,さらに送信データを1バイトだけFIFOに書き込むと,そのデータが送信されないという問題を起こすことがあります.FIFOへの書き込みは複数バイトで行うようにします.Keywords:BIOS,VESA,AMI,Phoenix
周辺装置の入出力を直接ハンドリングするルーチンを集めてROM化したものです.代表的なものとして,ビデオ,ディスクおよびディスケット,キーボード,プリンタ,RS-232Cなどがあり,これらをソフトウェア割り込みで駆動することができます.本来はDOSのデバイス・ドライバが利用するファンクション・コールですが,IBM PCの世界では事実上標準化されていますので,アプリケーションも積極的に利用します. ROM-BIOSには,これらのI/O駆動ルーチンだけでなく,POSTと呼ばれるシステム全体のチェックおよび初期化ルーチン,さらにブート・プログラムや各種定数を含んでいます.オリジナルのIBM PC/ATには,PC98と同様にBasicインタプリタもROM化されていますが,互換機には含まれないのが普通です. オリジナルと互換機との互換性を考える場合,ROM-BIOSが重要なファクタとなります.オリジナルではROM-BIOSのソース・リストまで公開(オープン・アーキテクチャ)していましたが,これをそのままコピーして製品に載せることはできません.したがって,機能的に同様なBIOSを新規に作ることになります. 一般に互換機メーカは,このようにしてBIOSを専門に作っているソフト・ハウスなどからROM-BIOSの供給を受けています.メジャなところではAMI,Phoenix,Awardなどが挙げられます.オリジナルにはバグもありましたし,現在のハードウェアの技術水準にそぐわないといったこともあり,互換機のROM-BIOSのほうが標準的にさえなっています. サード・パーティが周辺機器を作るときには拡張BIOSを用意します.SCSI関係ではアダプテック社のASPI,ビデオ関係ではVESAのビデオBIOSの利用が増えています.< copyright 1994 斉藤健司 >トップに戻る
VESA
(Video Equipmet Standards Association)
モード | 解像度 | 色数 |
---|---|---|
100h | 640×400 | 256 |
101h | 640×480 | 256 |
102h | 800×600 | 16 |
103h | 800×600 | 256 |
104h | 1024×768 | 16 |
105h | 1024×768 | 256 |
106h | 1280×1024 | 16 |
107h | 1280×1024 | 256 |
AMI,Phoenix
IBM社の仕様書を元にクリーン・ルームという隔離された場所で開発されたIBM PC互換のROM-BIOSは,IBM PC/AT互換機メーカのマザーボードに搭載されています.一般のユーザの目にはあまり触れません.ハード・ディスクの変更や追加を行うときに,BIOSの設定を変更をするときの画面が下の写真です.