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エリートコンピューターシステムECS P6BXT-A+考
組み立て感想
BX対ApolloProPlus

 4月18日発売のTRY!PC誌(夏号)で紹介したECSメインボードP6BXT-A+について,台湾エリートグループに訪問し,その後,友人からいろいろ聞いた話をまとめます.詳細は,追って報告しますが,次のTRY!PCにも最新情報をいっぱい書くわけです.

 さて,まず会社名は精英電脳といい,日本では日本エリートグループ株式会社といいます.ブランド名はECSで,エリートコンピュータシステムの頭文字を取ったものです.
 ECSというと,昨年は明致すなわちPC CHIPS社との提携が話題を呼びました.PC CHIPSは,台湾電脳街である光華商場に「世界第一主機板」という大きな看板を付けています.いろいろなところでPC CHIPSについて聞いたところでも,とにかくPC CHIPSは安いので,よく売れている.この安さには追いつけない,といいます.理由は,いずれTRY!PC本誌で説明するとして,PCBからソケットまですべて自社で生産にしているということが,安さの理由のひとつであることは事実です.P6BXT-A+について取材結果を基にした,ジュリアスの結論を紹介します.

● スロット1とソケット370の両方を搭載したメインボード

 P6BXT-A+は,TRY!PCでも紹介したように,スロット1とソケット370の両方を搭載したメインボードです.最初は非常に奇妙な印象を受けました.なぜなら,メインボードを買うときはまずCPUから決めるでしょうから,スロット1とソケット370の両方を搭載しているメリットがどこにあるのかわからなかったのです.もちろんスロット1とソケット370の両方にCPUを取り付けてデュアルで動作させることはできません.
 そこで,なぞを解くために,台湾ECS本社を訪ねたのです.


 メインボードを設計する場合には,何度もPCBを試作します.この経費はかなり高くつきます.ECSのお話では,2つのソケットを持つということは,1枚のPCBの設計コストで2枚分のメインボードを設計してしまうことになります.そのため,高品質で低価格商品を作ることができるという説明でした.このコストパフォーマンスの良い製品が作れることは大きなメリットです.

 しかし,台湾にはまた別の見方をしている人たちもいます.それは,きわめてスマートなものです.インテル社は,スロット1用のCPUとしてPentium3を推進しています.Pentium2はしだいに姿を消していきます.一般向け商品としては,ソケット370Celeronということです.
 するとどうでしょう.ソケット類まで自社で生産しているPC CHIPSやECSとしては,多くのスロット1の在庫を抱えることになります.いわゆるプラスチックでできたスロット1そのものが在庫になるのです.この在庫をはくためにスロット1,ソケット370両方を搭載したメインボードを世に出したのだ,という考え方です.つまり,ソケット370ユーザーは,不要なスロット1も買わされているということになります.
 結局は,設計コストが安くなった分とスロット1のコスト高を比べてどうなるかということがポイントでしょう.実売価格13,000円ということは,設計コストの方が勝っていると判断してもよいでしょう.そうだとすれば,ユーザーはスロット1まで買わされている,と怒る必要はないようです.

 問題は,P6BXT-A+の性能です.そのテスト結果について近く紹介したいと思います.


Copyright 1999 岩村益典