Last Update 2022/03/23

再現性を重視した設計の基礎から応用まで
定本 OPアンプ回路の設計

岡村 廸夫 著
A5判 424ページ
定価2,990円(税込)
JAN9784789830508
1990年9月30日発行
好評発売中!
定本 OPアンプ回路の設計

 自然現象から得られる電気信号のほとんどはアナログですから,電子技術が進むほど高度なアナログ技術が求められます.その基礎でもあるOPアンプの基礎的な技術を集め,具体的な各種の応用をとり混ぜ,詳解しました.

目次

第1章 OPアンプを働かせる
 1.1 OPアンプの運転
    アナログ回路と実験技術
    入力と出力の関係
    バーチュアル・ショート
    発振の感触
 1.2 基本的な四つの使い方
    非反転増幅器として
    ボルテージ・フォロワ
    差動増幅器として
    コンパレータとして
 1.3 OPアンプはどこまで理想的か
    理想のOPアンプ
    理想的でなくなるケース
 1.4 理想的でないOPアンプの使い方
    増幅度が有限なとき
    ループ・ゲインの効果

第2章 ゼロ点,ドリフトそしてノイズ
 2.1 オフセットの話
    オフセットはなぜ生ずるか
    電圧と電流とに分ける
    オフセット電圧の性質
    オフセット電流の性質
    オフセットの実測法
 2.2 ゼロ点安定性の向上策
    変動の原因は何か
    そのままでやれる改善法
    電圧ドリフトの軽減法
    別の素子の応援を求める
    温度に関する二つの考察
    温度に関する過渡特性
 2.3 オフセットを打ち消す
    ゼロ調節の効果
    ゼロ調節の方法
    コレクタ電流によるゼロ調節
    入力側からのゼロ調節
    ゼロ点をずらせて使いたい時
 2.4 自動のゼロ調節
    自動で合せる方法とメリット
    ゼロ補正する増幅器
    もっと複雑な例
    増幅度がある時
    スイッチで切り替える方式
    コンピュータが使える時
 2.5 OPアンプの雑音
    内部から出る雑音
    雑音の表し方
    OPアンプへの対応
    内部雑音を小さく使うには

第3章 発振器にしないために
 3.1 発振の見わけ方
    発振する装置はないより悪い
    発振の兆候
    オシロスコープを使う
 3.2 ゲインと位相の知識
    発振の原因
    ポールの話
    ボード線図とその精度
    ゼロの話
    ボード線図の書き方
 3.3 OPアンプの内部
    発振しない特性
    多段増幅器の特性
    位相補償の実際
 3.4 OPアンプ以外の要素
    外部ポールの発生
    入力容量とその補償法
    バイパス・コンデンサの役割

第4章 広帯域化,高速化のために
 4.1 立ち上がりを決める要素
    スルーレートと帯域幅
    スルーレートは何で決まるか
    スルーレートを大きくする
 4.2 有効な帯域幅と位相補償
    発振は止めたが
    帯域幅とパワー・バンド幅
    スルーレートとセトリング・タイム
 4.3 基本的な3種の位相補償
    1ポールによる補償
    2ポールによる補償
    フィード・フォワード補償
    三つの補償法の比較
 4.4 位相補償の技巧
    帯域幅を広く使うには
    OPアンプの外部からの補償
    電流フィードバック型OPアンプ
    安定度の確かめ方
    高速の実装技術

第5章 部品,実装,システム化の技術
 5.1 OPアンプ選定の手がかり
    短く歴史を
    OPアンプの構造と特長
    代表的なOPアンプの特性
    温度範囲
    パッケージ
 5.2 固定抵抗の選定と工夫
    ゲインの安定度
    固定抵抗の少ない回路
    精密抵抗の選択
    同じ抵抗を使った回路
    組み合わせで得られる抵抗
    大きなゲインが必要な場合
    調節できる精密抵抗回路
 5.3 その他の外付け部品
    可変抵抗
    コンデンサ
 5.4 OPアンプとシステム設計
    レベル・ダイヤグラムの書き方,使い方
 5.5 実装の技術
    部品の配置と配線
    グラウンドの引き方
    バイパス・コンデンサの接続
    迷容量を減らす
    保護回路

第6章 反転増幅器としての応用
 6.1 簡単な反転増幅器
    反転増幅器の特長
    必ず動く反転増幅器
    精密な反転増幅器
    高速な反転増幅器
    フィード・フォワードを使って
 6.2 電圧信号と電流信号の変換
    電流信号から電圧信号に
    高感度化のために
    微小電流の測定技術
    電圧信号を電流信号に
    電流インバータ
 6.3 応用のための技術
    ゲインの調節
    ゲインの微調
    応答速度との関係
 6.4 パワー・ブースタの考察
    簡単なバッファ
    ブートストラップを使ったブースタ
    専用バッファを使って

第7章 非反転増幅器としての応用
 7.1 簡単な非反転増幅器
    現実の非反転増幅器
    ボルテージ・フォロワ
    速いボルテージ・フォロワ
    技巧的な手段
    同相入力の範囲
 7.2 ブートストラップの技法
    交流結合のボルテージ・フォロワ
    交流結合の非反転増幅器
 7.3 非反転増幅器の応用
    非反転側で平均値回路
    ドリブン・シールド
    入力容量をキャンセルする
    ゲインの微調とボルテージ・フォロワ
    どこまで振れるボルテージ・フォロワ
 7.4 ガードの方法
    絶縁を増幅する
    ガードリングの実際
    ガードをドライブする

第8章 差動増幅器としての応用
 8.1 なぜ差動増幅器を使うか
    差動増幅器の特徴
    簡単な差動増幅器
    温度差計
 8.2 差動増幅器の特質を活かす
    雑音を除く
    同相入力の範囲
    ノイズの中での動作
    CMRと周波数の関係
    差動増幅器に頼らない方法
 8.3 CMRを大きく使うには
    信号源インピーダンスとCMR
    入力インピーダンスを上げる
    抵抗の選び方
    増幅度を可変にする
 8.4 差動出力の増幅回路
    差動出力を得る回路
    ±15V電源で50Vp-pの出力

第9章 定電圧,定電流回路への応用
 9.1 OPアンプのための電源
    簡単なOPアンプの電源
    簡単な回路のむずかしい点
    簡単な定電圧電源
    安定度はどこまで
    整流回路の計算
 9.2 OPアンプによる定電圧電源
    特徴はどこに出せるか
    ツェナ・ダイオードの性質
    回路の発達の過程
    スマートにならないか
 9.3 可能性を拡大する
    高電圧の定電圧電源
    高圧の範囲を拡大する
    電力を増す
 9.4 OPアンプによる定電流回路
    簡単な定電流回路
    OPアンプによる定電流ソース
    OPアンプによる定電流シンク
    基準電位を変更するには
    両極性の定電流回路
 9.5 いろいろな電源回路
    アクティブ・バリオーム
    較正用微小電流源

第10章 微分,積分回路への応用
 10.1 微分,積分回路の要点
    OPアンプと積分回路
    OPアンプと微分回路
    微分,積分の計算
 10.2 交流結合を用いて
    非反転型の交流増幅器
    反転増幅器
    交流増幅でゼロ調を省く
    オーディオ・イコライザ
    片電源での動作
 10.3 アクティブ・フィルタと応用回路
    フィルタの種類
    次数と特性
    回路の構成
    ローパスとハイパスの実例
    バンドパス・フィルタ
    ステート・バリアブル型の例
    ノッチ・フィルタ
    オールパス・フィルタ
    トラブルと考察
 10.4 微分,積分の応用回路
    静電容量を増幅する
    合成インダクタンス
    時定数を増幅する
    パルス・レート・メータ
    階段波発生器
 10.5 V-Fコンバータ/C-Fコンバータ
    V-Fコンバータの動作
    V-Fコンバータの応用
    V-Fコンバータの誤差
    ノンストップC-Fコンバータ
    9桁をカバーするC-Fコンバータ

第11章 非直線な素子による応用
 11.1 電圧で内部抵抗が変わる素子
    フィードバック型リミッタの動作
    ソフト・リミッタとハード・リミッタ
    スピードとリークの対策
    ダイオード・リミッタ
 11.2 関数発生器
    ダイオードによる方法
    温度特性の補償
    逆関数を作る方法
 11.3 ダイオードを合成する
    理想的なダイオード
    精密な関数発生器
    絶対値回路
    精密な部品を減らす工夫
    スピードアップの手法
 11.4 ピーク検出とサンプル&ホールド
    ピーク検出の原理
    P-P検出器
    ピーク検出器と実用上の問題
    サンプル&ホールド
 11.5 ダイオード,トランジスタと併用する
    ログ・アンプ
    D-Aコンバータ

第12章 コンパレータへの応用
 12.1 コンパレータの基本技術
    コンパレータとOPアンプ
    ゼロクロス・ディテクタ
    オフセット電圧と電流
    コンパレータと位相補償
    出力の振幅を抑える
 12.2 しきい値とヒステリシス
    しきい値の設定法
    ヒステリシスの意味と効果
    増幅と減衰の効果
    ウインドウ・コンパレータの基準電圧
    バイアス増幅器の考え方
 12.3 誤動作の原因と対策
    コンパレータはなぜ誤動作するのか
    誤動作を避け,感度を上げるには
    マルチプル・トリガの原因
    コンパレータは発振するか
    ヒステリシスと検出限界
 12.4 コンパレータの応用回路
    バイアス電流を低減する
    自動切り替え式の分圧抵抗
    ストローブ
    万能型のウインドウ・コンパレータ

第13章 発振器,タイミング回路への応用
 13.1 方形波の発振器
    簡単で安定な発振器
    リラクゼーション発振の原理
    温度特性の改善
    回路の発展と応用
 13.2 いろいろな波形
    三角波と方形波を作る
    のこぎり波の発生
    電圧で制御する
    各種の波形
 13.3 正弦波の発振器
    発振器はやさしくない
    簡易型正弦波発振器
    クワドラチャ発振器
    周波数可変の正弦波発振器
 13.4 タイミング回路
    モノステーブル・マルチバイブレータ
    長時間タイマ
    ディジタル回路へのインターフェース
    片電源の発振器とタイミング回路

第14章 OPアンプとスイッチの結合
 14.1 スイッチで何ができるか
    スイッチの用途
    信号の切り替え
    オン抵抗の性質と効果
    オン抵抗の影響を除く
    スイッチを入れる場所を変える
    ゲインの切り替えとS/N
 14.2 スイッチの選択とドライブ
    スイッチの特性と素子
    ダイオード・スイッチ
    トランジスタ・スイッチの長所と限界
    スイッチとしてのFET
    スイッチのダイナミック・レンジ
    CMOSスイッチとOPアンプ
    JかMOSか
 14.3 スイッチの特性改善法
    ループの中に入れる
    加わる電圧を低くする
    漏れ電流をバイパスする
    オン抵抗をキャンセルする
    OPアンプとスイッチの組み合わせ
 14.4 スイッチとOPアンプの応用回路
    ホールドとリセットへの応用
    増幅極性の切り替え
    精密な用途への活用