DCモータ活用の実践ノウハウ
ビギナーのための制御回路設計入門
谷腰 欣司 著
A5判 240ページ
定価2,420円(税込)
JAN9784789832779
2000年4月20日発行
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DCモータは電池で動く機器のほとんどに使われている一般的な部品です.動力の必要なプラモデルにはほとんど小形のDCモータが入っています.電池をつなげばすぐに動くDCモータですが,これを,回転数やトルクを一定にして安定に動かすには,電子回路の力を借りなければなりません.
DCモータに関する書籍も世の中にはいっぱいありますが,制御回路に焦点をしぼって解説したものはあまり見かけません.本書では,DCモータの基本特性から始まり,回転数を安定にするためのサーボ技術を紹介し,PWMによるドライブ法,正逆転制御などを解説しています.動作原理をわかりやすく解説するために,まずディスクリート素子を使って説明し,さらに現実的な回路としてICを使った例を紹介しています.マイコンを使ってDCモータを制御することが多いので,その制御の実例をアセンブラで記述して理解の助けとしています.
目次
第1章 DCモータの基本特性を学ぶ
●モータの種類とその分類
モータの大きさと出力パワーの関係 / モータの入力電力とは /
モータの出力を数式で表す / DCモータの構造 /
モータにはいろいろな専門用語がある
●モータの回転特性を確かめる
トルク対回転数の特性を見る / モータの電流波形を観察する
●モータの回転数を変えるには
回転数を抵抗で切り替える / 回転数をダイオードで切り替える /
電流増幅トランジスタを加える / OPアンプを使う
●モータを制御するための基礎知識
モータは発電機 / 逆起電圧を観測する / モータの基本特性 /
回転数とトルクと電流の相関関係 / モータの電流と回転数を算出するには
●モータを正逆転する方法
第2章 回転数を制御する方法
●回転数を安定化するための考え方
モータ内部の電圧降下を補償する考え方 / サーボ技術の利用
●モータの回転数を検出する方法
モータ電流のリプルを測定して回転数を検出する /
モータの逆起電圧を利用して回転数を検出する /
直流発電機(DCタコジェネレータ)による回転数の検出 /
ACタコジェネレータと周波数発電機による回転数の検出 /
光学式回転数センサを使った回転数の検出
●モータのトルクとは
●モータの特性をトルク計で測ると
●市販モータの特性を測る
第3章 モータ自身の特性を利用した回転数の検出と制御
●ブリッジ・サーボ(電子ガバナ)による回転数の安定化
ブリッジ回路の働き / ブリッジ・サーボを模疑する /
ブリッジ・サーボ回路の実際 / トランジスタを使ったブリッジ・サーボ /
トランジスタによる実用回路の実験
●比例電流制御による回転数の安定化
比例電流制御の考え方 / 実現するための具体的な回路 /
ICを使った具体的な設計例 / 比例電流制御法はモータ選びが決め手 /
モータの定数は温度によって変化する
<コラム> 上手なモータの選び方-制御には機械的な時定数の小さいモータを選ぶ
第4章 サーボ技術を使って本格手的に回転数を制御する
●回転の安定化を考える…DCサーボ
DCサーボで回転数を安定にする方法 / トランジスタによるシンプルな構成を考える /
トランジスタによる本格的なDCサーボ回路 / OPアンプによるDCサーボ回路
●DCサーボをさらに進めたF-Vサーボ
FGサーボの基本構成 / F-Vコンバータの構成 /
実際のF-Vサーボの構成 / F-Vサーボの実用設計例
●F-Vサーボ専用ICを使ったモータ制御回路
●F-V制御専用ICを使った定速制御回路
●実験で学ぶF-V制御回路
各部の信号波形
第5章 安定性の高いディジタル制御法
●ディジタル・サーボとは
ディジタル制御とアナログ制御 / ディジタル制御法のいろいろ
●比較制御をディジタル的に処理するPLL制御とは
一般のPLLとモータ制御に使われるPLLの違い / PLL制御の基本的な考え方 /
PLL制御とFGサーボを組み合わせる / クォーツ・ロックのPLL制御
●PLL制御のやさしい理論
●モータ制御回路の設計例
PLL制御モータの実験 / PLL制御にはロック範囲がある /
Fサーボ,PサーボのD-Aコンバータ / 回転数は水晶発振周波数で決まる /
PLL制御回路の各部の信号波形 / オールインワン型のPLL ICを使う
第6章 サーボ系の感度と安定度を高める技術
●サーボ系のゲインを決めるには
モータの基本特性を確認する / 負荷変動率を抑えるためのゲインは /
必要なゲインは負荷変動率の逆数
●過渡的な特性を改善するには
モータ単体の応答特性 / サーボ系を作ると二次遅れ系になってしまう /
二次遅れ系の制御特性 / 位相補償を行うには / 位相進み回路の構成方法
●実験で確かめてみよう
位相補償がない場合 / 適切な位相補償を施すと / 位相補償が十分でない場合
●現実的な位相補償
外乱にも周波数特性がある / FGサーボにおける実例 / 位相の遅れ,進み補償 /
ステップ応答で調べるのが効果的 / サーボ系のボード線図とは
●DCモータの立ち上がり特性と伝達関数
DCモータの特性 / モータの伝達関数とは / KM,ωMの求め方
第7章 PWM制御によるモータの省力化ドライブ法
●PWM(Pulse Width Modulation)とは
モータをパルスで動かしてみる / モータに高速パルス列を加えてみる /
スイッチング制御の利点 / 回転数はデューティ・サイクルで制御する
●汎用ICで構成したPWM回路
●PWMによる実際の効率アップを確かめてみる
リニアな制御の消費電力 / PWM制御時の消費電力 /
実際の効率アップはどのくらいになっているか
<コラム> モータの出力と効率
●専用ICを使ったPWM制御回路の設計
第8章 位置決め制御への応用……モータの正逆転制御
●モータを正転,逆転させる技術
2電源を使う場合の基本回路 / 1電源で正転,逆転を行うには /
専用ICも使いやすくなっている
●モータのシャフト位置を検出する技術
●位置決め制御の実際
ポテンショメータによる位置決め制御
<コラム> 位置決め制御に適したモータ
●位置決め制御系の簡単な理論
●正逆転回路のいろいろ
OPアンプとパワー・トランジスタの正逆転回路 /
モータの正逆転制御ICを使った駆動回路 /
厚膜ハイブリッドICを使った正逆転制御回路
<コラム> Cool MOS FETとは
第9章 マイコンによるモータ制御の基礎知識
●マイコンをどう使うか
もっとも簡単なON/OFF制御 / マイコンによる典型的な回転数の制御 /
マイコンによる位置決め制御
●マイコンとモータのインターフェース
I/Oポートの準備 / モータのON/OFF制御 /
D-Aコンバータによるモータの駆動 /
FGおよびシャフト・エンコーダとのインターフェース /
絶対位置を検出するアブソリュート・エンコーダ
●マイコンに適した位置検出センサ
…相対位置検出であればインクリメンタル・エンコーダが使える
●位置検出用エンコーダとマイコンのインターフェース
第10章 マイコンによるモータ制御の実際
●KC80シリーズ・マイコンを使ったモータ制御
●DCモータをパルス電圧で駆動する
モータ制御のためのシステム構成 / パルス・ドライブのしかた /
ソフトウェアで制御するためのプログラムの書き方 /
モータ・ドライバにおける割り込み処理 / 実際のマイコンを使った制御回路
● D-Aコンバータを使ったDCモータの回転数制御
全体構成のブロック図 / マイコン制御のDCモータ駆動回路 /
プログラムの実行時の動作 / 回転数制御の基本的な考え方 /
メモリ・マップ・イメージとプログラムの概要 / プログラム全体の流れ /
回転数制御のための制御データの演算 / プログラムの動作と説明
第11章 実用に役立つモータ制御のノウハウ
●ノイズの発生を抑えるには
●電子回路側の電源変動を抑えるには
●起動時のラッシュ電流を抑えるには
●立ち上がり時間を速くするには
●ブレーキ作用をつけるには
ブレーキをかける原理 / 逆起電圧を積極的に利用する
●ステップおよび低速駆動の方法
●トランジスタの電力負担を小さくするには
●電源と直接接続する場合の保護対策
●電池で動かす場合の注意点
●電源の極性に依存しない一定方向回転のモータ
●モータにタコジェネレータ機能をもたせる時分割駆動法
●複数のモータの同期運転
各メーカ連絡先