Last Update 2010/01/08

ハード・ディスク装置の構造と応用
記録/再生の原理とメカニズム&インターフェース

岡村 博司 編著
A5判 264ページ
定価2,640円(税込)
JAN9784789836227
2002年5月1日発行
[絶版→新版移行2010.1.8] ハード・ディスク装置の構造と応用
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 ハード・ディスク装置は,コンピュータの周辺機器として欠かせないものとなっています.さらに,1.8インチHDDを使用した音楽用MPプレーヤ,2.5インチHDDを使用したカー・ナビゲーション,3.5インチHDDを使用したVTRなどが発売され,記録容量の向上とアプリケーション・コンテンツのディジタル化に合わせてその用途が拡大しています.
 本書は,磁気記録技術だけでなくハード・ディスク装置を支える周辺技術を含めて,全体を見通して理解できるようにメカニズム,サーボ制御技術,ホスト・インターフェース,信号処理技術などをわかりやすく解説した入門書です.ハード・ディスク装置の応用機器の設計/開発に携わる人や,ユーザとしてハード・ディスク装置の動作原理をもっと知りたいという人を対象に,全体像を体系的に理解していただけるよう書かれています.

目次

プロローグ 進化するハード・ディスク・ドライブ

第1章 ハード・ディスク・ドライブのあらまし
  1-1 ハード・ディスク・ドライブの内部
  1-2 ディスク上のデータ配置
    ディスク上の領域の呼びかた
    データ位置の表しかた
    記録密度の表しかた
    記録密度を上げる工夫
  1-3 記録密度の進化に貢献した技術革新
  1-4 サイズ別のドライブ比較
    サイズ別の特徴
  1-5 ハード・ディスク・ドライブの今後
 Appendix PC用HDDとノンPC用HDDの違い

第2章 ハード・ディスク・ドライブのメカニズム
  2-1 ハード・ディスク・ドライブの構造
    基台モータ
    ディスク
    ディスク固定機構
    ボイス・コイル・モータ
    ヘッド・スタック・アッセンブリ
    ストッパ・ゴム
    ラッチ機構
    ランプ機構
    フィルタ
    トップ・カバー
  2-2 ハード・ディスク・ドライブの小型化技術
  2-3 ヘッド浮上技術
    ヘッドとディスクの隙間
    ヘッド浮上の原理
    ヘッド・スライダの構造
    ヘッド・スライダ設計の注意点
    ヘッド・ジンバル・アッセンブリ
  2-4 耐振動衝撃性の向上技術
  2-5 CSS方式とランプ・ロード方式
  2-6 ラッチ機構
  2-7 メカ機構部品とヘッド位置決め精度
  2-8 流体軸受けのテクノロジ
    コラム●HDDから一言

第3章 ハード・ディスク・ドライブのサーボ制御技術
  3-1 メディア上のデータ・アドレスを知る方法
    メディアに書き込まれた住所情報「サーボ・データ」
    サーボ・データの書き込み方式
    実際のサーボ・データ信号
    サーボ・データを利用した位置決め制御技術
  3-2 サーボ系のエレクトロニクス
  3-3 ホスト・コンピュータによるメディア上のアドレス管理
  3-4 移動制御
    速度制御のフロー
    トラック間の移動
  3-5 位置決め制御
    位置決めの処理フロー
    トラック付近での制御
  3-6 磁気ディスク装置のサーボ制御の将来
  3-7 サーボ・ライタ
    サーボ・データ(読み出し波形)
    サーボ情報を書き込む方式の例
    コラム●サーボ面サーボ方式
        シーク中にサーボ・データを読むための工夫

第4章 ホスト・インターフェースの種類と歴史
  4-1 ホスト・インターフェースとは
  4-2 ドライブ・メーカの系譜
    Alan ShugartとFinis Conner
    Western Digital社の誕生
    QuantumとMaxtor
    Rodime
  4-3 インターフェースの歴史
    SMD
    ST-506
    ESDI
    物理インターフェースとホスト・インターフェース
  4-4 SCSIとIDE
    SCSI
    IDE
    ATAの誕生
    PC/ATと互換機
  Appendix インターフェースに関する資料

第5章 IDE&ATAインターフェースの実用知識
  5-1 AT/IDE/EIDEインターフェースの変遷
    ATAの各仕様
  5-2 ATA-5の仕様
    コネクタ仕様
    レジスタ仕様
    データ転送モード
    IDEハード・ディスクのホストへの接続
  5-3 基本的なコマンドの動作
    コマンドとコマンド・コード

第6章 パフォーマンス指標とセキュリティ機能
  6-1 ハード・ディスク装置のパフォーマンス
    ハード・ディスク装置の基本性能
    キャッシュ
    パフォーマンスについてのまとめ
  6-2 SMART機能
    SMART機能の実際
    SMART機能の運用
  6-3 セキュリティ機能
    ハード・ディスク装置のセキュリティ機能の概念
  6-4 そのほかのハード・ディスク装置の機能
    欠陥処理

第7章 メディアへの記録/再生の原理
  7-1 ディスクの変遷
  7-2 ディスクの構造
    材料と特性
  7-3 ディスクに求められる性能
  7-4 ディスクの製造方法
  7-5 高密度化への課題
  7-6 ヘッドの概要
  7-7 記録/再生素子の構造
    記録ヘッドの構造
    再生ヘッドの構造
    記録/再生ヘッドに求められる特性
  7-8 ヘッドの将来技術
  7-9 記録/再生の原理
    信号の記録
    信号の再生
  7-10 新しい高密度記録方式

第8章 ハードウェアと信号処理技術
  8-1 ハード・ディスク装置が内蔵するLSI
    ヘッド・アンプIC
    リード・ライト・チャネルLSI
    マイコン
    モータ・ドライバ
    HDC
    SDRAM
  8-2 ライト・データ系のハードウェアと信号の流れ
    HDC〜ライト・アンプ
    リード・ライト・チャネルLSI内
    ヘッド・アンプ
  8-3 記録用データのフォーマット
  8-4 リード・データ系のハードウェアと信号の流れ
    再生信号の大きな流れ
    MRヘッド〜ヘッド・アンプ
    リード・ライト・チャネルLSI内
    HDC
    サーマル・アスペリティ補正回路
    PRML
  8-5 ディスクの物理フォーマット
    コラム●NRZデータとNRZIデータ
        変調方式の性能を判断するためのパラメータ
        どうしてスクランブラでランダマイズするのか

第9章 波形で学ぶHDDの信号処理のあらまし
  9-1 メディアに記録されたデータと再生信号波形
    データ復元精度はヘッドの再生信号の波形品質に依存する
    再生信号の波形
  9-2 従来の復号技術…ピーク・ディテクト法
    復号の原理
    ピーク・ディテクト法では記録密度を上げられない理由
  9-3 高密度記録を実現するPRML法の原理
    PR法とは
    ML法とは
  9-4 PR4伝送路におけるML法のあらまし
    PR法を使った再生系でのML法によるデータ復元の基本原理
    PR4伝送路から出力されるデータ列の規則性
    メトリクスによる復元の原理と問題点
    ビタビ復号器による復元の原理
  9-5 リード・データ系に見る実際のPRML信号波形
    選んだパスのもっともらしさを表すSAM
    コラム●PRのクラスと表記