ハード・ディスク装置の構造と応用
記録/再生の原理とメカニズム&インターフェース
岡村 博司 編著
A5判 264ページ
定価2,640円(税込)
JAN9784789836227
2002年5月1日発行
ハード・ディスク装置は,コンピュータの周辺機器として欠かせないものとなっています.さらに,1.8インチHDDを使用した音楽用MPプレーヤ,2.5インチHDDを使用したカー・ナビゲーション,3.5インチHDDを使用したVTRなどが発売され,記録容量の向上とアプリケーション・コンテンツのディジタル化に合わせてその用途が拡大しています.
本書は,磁気記録技術だけでなくハード・ディスク装置を支える周辺技術を含めて,全体を見通して理解できるようにメカニズム,サーボ制御技術,ホスト・インターフェース,信号処理技術などをわかりやすく解説した入門書です.ハード・ディスク装置の応用機器の設計/開発に携わる人や,ユーザとしてハード・ディスク装置の動作原理をもっと知りたいという人を対象に,全体像を体系的に理解していただけるよう書かれています.
目次
プロローグ 進化するハード・ディスク・ドライブ
第1章 ハード・ディスク・ドライブのあらまし
1-1 ハード・ディスク・ドライブの内部
1-2 ディスク上のデータ配置
ディスク上の領域の呼びかた
データ位置の表しかた
記録密度の表しかた
記録密度を上げる工夫
1-3 記録密度の進化に貢献した技術革新
1-4 サイズ別のドライブ比較
サイズ別の特徴
1-5 ハード・ディスク・ドライブの今後
Appendix PC用HDDとノンPC用HDDの違い
第2章 ハード・ディスク・ドライブのメカニズム
2-1 ハード・ディスク・ドライブの構造
基台モータ
ディスク
ディスク固定機構
ボイス・コイル・モータ
ヘッド・スタック・アッセンブリ
ストッパ・ゴム
ラッチ機構
ランプ機構
フィルタ
トップ・カバー
2-2 ハード・ディスク・ドライブの小型化技術
2-3 ヘッド浮上技術
ヘッドとディスクの隙間
ヘッド浮上の原理
ヘッド・スライダの構造
ヘッド・スライダ設計の注意点
ヘッド・ジンバル・アッセンブリ
2-4 耐振動衝撃性の向上技術
2-5 CSS方式とランプ・ロード方式
2-6 ラッチ機構
2-7 メカ機構部品とヘッド位置決め精度
2-8 流体軸受けのテクノロジ
コラム●HDDから一言
第3章 ハード・ディスク・ドライブのサーボ制御技術
3-1 メディア上のデータ・アドレスを知る方法
メディアに書き込まれた住所情報「サーボ・データ」
サーボ・データの書き込み方式
実際のサーボ・データ信号
サーボ・データを利用した位置決め制御技術
3-2 サーボ系のエレクトロニクス
3-3 ホスト・コンピュータによるメディア上のアドレス管理
3-4 移動制御
速度制御のフロー
トラック間の移動
3-5 位置決め制御
位置決めの処理フロー
トラック付近での制御
3-6 磁気ディスク装置のサーボ制御の将来
3-7 サーボ・ライタ
サーボ・データ(読み出し波形)
サーボ情報を書き込む方式の例
コラム●サーボ面サーボ方式
シーク中にサーボ・データを読むための工夫
第4章 ホスト・インターフェースの種類と歴史
4-1 ホスト・インターフェースとは
4-2 ドライブ・メーカの系譜
Alan ShugartとFinis Conner
Western Digital社の誕生
QuantumとMaxtor
Rodime
4-3 インターフェースの歴史
SMD
ST-506
ESDI
物理インターフェースとホスト・インターフェース
4-4 SCSIとIDE
SCSI
IDE
ATAの誕生
PC/ATと互換機
Appendix インターフェースに関する資料
第5章 IDE&ATAインターフェースの実用知識
5-1 AT/IDE/EIDEインターフェースの変遷
ATAの各仕様
5-2 ATA-5の仕様
コネクタ仕様
レジスタ仕様
データ転送モード
IDEハード・ディスクのホストへの接続
5-3 基本的なコマンドの動作
コマンドとコマンド・コード
第6章 パフォーマンス指標とセキュリティ機能
6-1 ハード・ディスク装置のパフォーマンス
ハード・ディスク装置の基本性能
キャッシュ
パフォーマンスについてのまとめ
6-2 SMART機能
SMART機能の実際
SMART機能の運用
6-3 セキュリティ機能
ハード・ディスク装置のセキュリティ機能の概念
6-4 そのほかのハード・ディスク装置の機能
欠陥処理
第7章 メディアへの記録/再生の原理
7-1 ディスクの変遷
7-2 ディスクの構造
材料と特性
7-3 ディスクに求められる性能
7-4 ディスクの製造方法
7-5 高密度化への課題
7-6 ヘッドの概要
7-7 記録/再生素子の構造
記録ヘッドの構造
再生ヘッドの構造
記録/再生ヘッドに求められる特性
7-8 ヘッドの将来技術
7-9 記録/再生の原理
信号の記録
信号の再生
7-10 新しい高密度記録方式
第8章 ハードウェアと信号処理技術
8-1 ハード・ディスク装置が内蔵するLSI
ヘッド・アンプIC
リード・ライト・チャネルLSI
マイコン
モータ・ドライバ
HDC
SDRAM
8-2 ライト・データ系のハードウェアと信号の流れ
HDC〜ライト・アンプ
リード・ライト・チャネルLSI内
ヘッド・アンプ
8-3 記録用データのフォーマット
8-4 リード・データ系のハードウェアと信号の流れ
再生信号の大きな流れ
MRヘッド〜ヘッド・アンプ
リード・ライト・チャネルLSI内
HDC
サーマル・アスペリティ補正回路
PRML
8-5 ディスクの物理フォーマット
コラム●NRZデータとNRZIデータ
変調方式の性能を判断するためのパラメータ
どうしてスクランブラでランダマイズするのか
第9章 波形で学ぶHDDの信号処理のあらまし
9-1 メディアに記録されたデータと再生信号波形
データ復元精度はヘッドの再生信号の波形品質に依存する
再生信号の波形
9-2 従来の復号技術…ピーク・ディテクト法
復号の原理
ピーク・ディテクト法では記録密度を上げられない理由
9-3 高密度記録を実現するPRML法の原理
PR法とは
ML法とは
9-4 PR4伝送路におけるML法のあらまし
PR法を使った再生系でのML法によるデータ復元の基本原理
PR4伝送路から出力されるデータ列の規則性
メトリクスによる復元の原理と問題点
ビタビ復号器による復元の原理
9-5 リード・データ系に見る実際のPRML信号波形
選んだパスのもっともらしさを表すSAM
コラム●PRのクラスと表記