1章 無線を再開

1-1 無線を再開

 某商社に勤める田中さんは,最近マンションを購入しました.学生の時は秋田の実家で3.5MHzや7MHzのフルサイズ・ダイポールを張りアクティブにQRVしていました.

 しかし,その後,就職で上京して独身時代の木造アパート,結婚直後の狭いマンションとなかなか無線をする環境に恵まれずにいました.とはいうものの,アマチュア無線に対する興味を失ったわけではありません.時々立ち読みする「CQ ham radio」誌でコンディションや最新の機器は知っていました.

 今回東京郊外の埼玉県にマンションを購入したのを機に無線再開を決心しました.

 時はサイクル23目前でハイバンドの調子が上向いていると「CQ ham radio」誌に書いてあったので,18,21,24MHzに出ることを目標にしました.免許は3アマ,50Wの送信電力を出せますので,SSBでも意外とやれるかもしれません.

*

 以下は田中さんが快適なアパマン・ハムライフをスタートするまでのドキュメンタリーです.

1-2 作戦を立てる

 さて,無線を再開しようと思うものの,実は局免許失効中.あせったところですぐには再開できないので,ここは一つ落ちついて作戦会議といきましょう.

 まず,無線局免許状を申請します.どのリグで申請しようかな?実家のリグはすでに時代遅れ,TS-520Dなんて使っている人はいないだろうな.この機会に最新モデルを奮発,IC-756の評判がよさそうだからそれにしよう.

 ところで,カタログのどこをみても保証認定の番号がありません.申請書をよく読むと技適なる制度があり,現在の機械はほとんどその制度に則っているようです.機器の番号を申請書に書くだけで,保証認定よりも書類が簡単そうですが,機器を購入しないと番号がわからず申請もできないことがわかりました.

 次の休みに東京の秋葉原に出かけ,トランシーバーを購入しました.昔のようにCWのコンテストにも出たいので,250HzのCWフィルターを455kHz用と9MHz用の両方をあわせて購入.アンテナ端子にビニール線をつないで受信してみると,たくさんのQSOが聞こえます.はやる心を抑えて無線局免許申請書を書き上げます.

 さて,局免許が届くまでの2〜3週間,今後の作戦を錬ります.集合住宅で無線をするのは初めてなので,電波障害やら運用許可やらの問題とどう付き合えばいいのかよくわかりません.

 最終的にはマンションの管理組合から正式運用許可を取って,問題解決能力を付けてたうえで心おきなく楽しみたいところです.ただ,最初から面と向かっていては趣味とは言え気疲れしてしまいますので,作戦を立てておいて,様子を見ながら徐々にスタートしていこうと思います.

 まずはじめに現状分析から.田中さんが今度引っ越したマンションは,築5年の比較的新しい物件です.この部屋の条件は,

 ・8階建ての7階

 ・ベランダの形状はコンクリート壁の上に頑丈そうな鉄製の手スリが付いているタイプ

 ・南の方向へは遮るものがない

 ・弱電界地域ではあるが,TVは共聴で写りは良い

 ・ベランダにはBSアンテナがいくつか取り付けられている

 これらの条件の元,アンテナの取付方法,電波障害などを検討していきます.


Copyright 2000 原岡 充

新刊のご案内


Copyright 1997-2001 CQ Publishing Co.,Ltd.