1章 正式運用許可取得

1-5 正式運用許可取得

 50Wの出力では今のところ電波障害は出ていないようです.ただ,今この状態で出ていないというだけで,別のバンドでは出るかもしれないし,住人の方が新しい電化製品を購入すればそれに出るかもしれない.心配していたらきりがないのですが,万が一障害が発生したときに話がこじれないためにも日頃のコミュニケーションだけは大切にしておきます.

 さて,そろそろ管理組合に運用許可の打診をしてみましょう.まずは思い切って理事長宅に電話をして可能性や手続きの相談をします.この際,

(1)すでに電波を出していること

(2)電波障害の調査は完了していて,障害は発生していないこと

(3)今後のことも考えて,ベランダ・アンテナの許可をもらいたいこと

(4)保険にも加入していること

などを話します.

 理事長が,どんなアンテナか見てみたいというので略図とカタログを用意しました.これをほかの2〜3人の理事さんに見せて意見を聞くというのです.うまく話が通ればいいのですが…….後日,理事長から電話があり,「個人的には問題はないと思う.ただ,ほかの理事の同意を得ておかなければならないので,申請書を用意してほしい」とのことでした.

 さっそく,「アマチュア無線運用許可,ベランダ使用許可申請書」作成します(図1−13)

(図1-13)運用許可申請書(案)

(約15Kバイト)

 添付する書類は,

(1)無線従事者免許証,無線局免許状の写し

(2)ベランダ・アンテナ概略図

(3)アンテナ保険パンフレット(図1−14)

(4)JARL電波障害パンフレット

です.この申請書を元に,最近の理事会にかけてくれることになりました.

(図1-14)アンテナ保険パンフレット,JARL業務課で入手する(JARL会員のみ)

(約23Kバイト)

 

 理事会を2日後に控えたある日,理事長から電話がありました.「内容について2〜3聞きたいことがあるから理事会で説明してくれないか」とのことでした.ここまで来たら後は野となれ山となれ,理事会でもどこでも出向きましょう.

 理事会当日,厳しい追及もあまりなく,すんなりと通ってしまいました.ただし,条件が二つ付きました.一つ目は誓約書を提出すること,二つ目は田中さんの棟のすべてのお宅から異議なしの署名をもらうことでした.これら二つが提出されてから文書にて許可するそうです.

 誓約書に盛り込むことを指定された内容は,

(a)理事会から要請があった場合,空中線を速やかに撤去すること

(b)大型のアンテナは取り付けないこと

(c)電波障害が発生しないような処置をとること

(d)電波障害が発生した場合は適切な処置をとること

などの4種類でした.

 後日誓約書をワープロ打ちして(図1−15)作成しました.と同時に電波障害調査票(図1−16)を作成し,夕方や週末を使って全戸を訪問しました.もちろん手みやげ持参,8階建ての建物に6列ありますから48戸です.結構な出費になってしまいました.でもその甲斐あってか2週間で全戸から異議なしの署名をいただくことができました.

(図1-15)誓約書

(約5Kバイト)

 

 

 

(図1-16)電波障害調査票

(約13Kバイト)

 

 

 「誓約書」と「意見調査票」を理事会に提出しました.1週間後,文書による「アマチュア無線運用許可,ベランダ使用許可」が届きました.一連のやりとりの中で,このマンションにたくさんの知り合いができました.今まで敬遠していた管理組合主催の活動にも気軽に参加できるようになりました.


Copyright 2000 原岡 充

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