コンピュータが一般に浸透するにつれ，コンピュータは開発の道具から使う道具へと変貌しました．道具が変貌すると，おのずと使用する人も変わります．
　8ビットマイコンが現れた頃はハードウェアさえ手作りでした．当時はOS(モニタ)さえ自分で作らなければなりませんでした．
　Basicが現れるとアプリケーションを作るようになり，MS-DOSの出現でプログラミングを行う人は爆発的に増えました．MS-DOSはとっつきやすいこともあり優秀なサンデープログラマも随分排出しました．この頃までのコンピュータは決して使いやすいとは言えず，利用者は開発者の割合が多くを占めていました．一般の人達がコンピュータをさわる機会は限られていました．
　時代はWindowsになり，ユーザーインターフェースは格段に向上しました．利用者は爆発的に増えましたが，逆にプログラミングを楽しむ人は極端に減っていきました．これは，MS-DOS時代のようにプログラミングが直感的ではなく，C++などを使いこなす必要があったからでしょう．その頃から書籍も初心者向けが多くなり，プログラミングを楽しむ人を対象とした本は減っていきました．

　「コンピュータは道具だ」と表現されます．この場合の「道具」とは文章を書いたり，絵を画いたり，インターネットを楽しむことを指しています．しかし，コンピュータほど創作活動に適した道具はほかに考えられません．特にプログラムを開発する道具として唯一無二の存在です．
　ビジュアルな開発環境も整備され，以前と比較すると格段にWindowsプログラミングは楽になりました．ぜひ，この機会に使う側から作る側に回ってみてはいかがでしょう．単なる，使用者でない新しい世界が始まります．微力ながら本書がプログラミングの世界への橋渡しになれれば幸いです．
(まえがきから)