Last Update 2023/04/21

高精度14ビット/DC〜10MHz,オシロ,ネットアナ,スペアナ&DDS+グレードアップ回路術を満載
USB測定器 Analog Discovery活用入門

遠坂 俊昭 著
B5判 192ページ
定価2,860円(税込)
JAN9784789847988
2023年4月1日発行
好評発売中!
USB測定器 Analog Discovery活用入門

 物理現象を測定し,電気信号に変換して応用する,これがアナログ回路技術応用の入口であると言えます.ところが物理現象の高精度な測定はそう簡単ではありませんでした.電気・電子回路技術における高度な測定器は高価で,限られた人たちだけの世界になっていた印象です.
 「Analog Discovery」は,US Digilent社がAnalog Devices社とXilinx社の協力を得て,米国の大学生が電子回路スキルを磨く際に役立つ道具として開発した,汎用のUSB測定器です.低価格にしては非常に多機能・高性能で魅力的なデバイスです.
 「Analog Discovery」の登場によって測定する世界は一気に広がり,身近な存在になってきています.利用しない手はありません.
 本書では,その「Analog Discovery」を本格的に活用する世界を,元計測器メーカの技術者であった筆者が,やさしく丁寧に紹介します.また「Analog Discovery」に付加するツールを設計・製作することにより,測定技術の世界がわかるだけでなく,高精度アナログ回路設計技術も自然に身に付くように工夫されています.

※p.94.114.130.152.172は白紙ページとなり落丁ではございません.

目次

Introduction
第1章 Analog Discoveryで便利な測定環境を作り上げる
1.1 Analog Discoveryとは
1.2 機能・性能を補う自作アダプタも作れる
1.3 アナログ信号入力部の使い方
1.4 使いやすい測定用ケーブルを準備しておく
コラム(1) WaveFormsのデータ収録用メモリ配分

高精度14ビットでDC〜10MHzをカバーする
第2章 高機能ディジタル・オシロ…Scope活用法
2.1 波形観測のあらまし
2.2 信号測定のコモンセンス…同軸ケーブルとパッシブ電圧プローブの特性
2.3 ADのアナログ入力回路を理解する
2.4 繰り返し波形を止めて表示するトリガ機能
2.5 Scopeの豊富なトリガ機能
2.6 Averageの使い方
2.7 Oversによる高速波形の観測
2.8 グラフやデータが同時表示できる

ファンクション・ジェネレータ+AM/FM変調信号源
第3章 高機能DDS信号発生器…Wavegen活用法
3.1 信号発生器のあらまし
3.2 Wavegenの出力の特性を改善しておく
3.3 Wavegenがもっている機能
3.4 Wavegenの特性を測ってみる
コラム(2) データのばらつきを示す標準偏差と変動係数
3.5 Wavegenの変調波形
コラム(3) 変調によって生じる側波成分

市販ファンクション・ジェネレータと肩を並べるために
第4章 Wavegen出力ブースタの設計・製作
4.1 信号発生器Wavegenの性能
4.2 ブースタ・アンプの製作
4.3 出力ブースタの特性評価
コラム(4) 出力インピーダンスを50Ωにして定在波の発生を防ぐ

2相出力をベクトル合成して任意の位相信号を生成
第5章 Wavegen出力から3相交流を作る
5.1 3相交流のしくみ
5.2 Wavegenから3相出力を得るには
5.3 位相差の確認
コラム(5) 3相交流の利点

オーディオ測定を高度化する
第6章 Wavegen用ひずみ低減フィルタの設計・製作
6.1 ひずみは高域周波数を制限すれば低減できる
6.2 LC LPFの設計・製作
6.3 出力アッテネータの製作
6.4 中心周波数10kHz LC BPFの製作
6.5 多重帰還型アクティブLPFとBPFの製作
コラム(6) 多重帰還型アクティブ・フィルタのアレンジ法

利得・位相-周波数特性測定を自動化する
第7章 ネットワーク・アナライザ機能…Network活用法
7.1 ネットワーク・アナライザのあらまし
7.2 ADのNetwork設定詳細
7.3 トランス測定の予備知識
7.4 市販トランスを測定してみると
7.5 エミッタ共通アンプの利得・位相-周波数特性
7.6 セラミック・フィルタの特性測定

信号の周波数成分を測定・分析する
第8章 スペクトラム・アナライザ機能…Spectrum活用法
8.1 スペクトラム・アナライザのあらまし
8.2 スペアナの原理…2つの方式
8.3 Spectrumの使い方
コラム(7) 単一周波数成分の信号と雑音
コラム(8) FFTアナライザ窓関数の使い方

スペアナ(Spectrum)の本格活用のために
第9章 アンチエイリアスLPFの設計・製作
9.1 Spectrumで正しい結果を得るために
9.2 LPFのカットオフ特性による種類
9.3 アンチエイリアス・フィルタのためのLPF性能比べ
9.4 多重帰還型フィルタによるアンチエイリアスLPFの構成
9.5 LPFの抵抗・コンデンサ値を算出
コラム(9) フィルタ用抵抗・コンデンサを選ぶときの指針
9.6 5バンド・アンチエイリアスLPFの製作
コラム(10) fc=1.5MHz LC LPFとプリアンプ

電子部品の回路特性とモデリングが基礎からわかる
第10章 RCLのふるまい観測…Impedance活用法
10.1 インピーダンスとRCLの性質
10.2 インピーダンス測定のしくみ
10.3 Impedanceの起動
10.4 抵抗のSpiceモデルとADによる測定
10.5 コンデンサのSpiceモデルとADによる測定
10.6 コイルのSpiceモデルとADによる測定
10.7 トランスのSpiceモデルとADによる測定
コラム(11) 抵抗・コンデンサ・コイルの直並列合成値の算出
10.8 水晶振動子のSpiceモデルとADによる測定

ダイオード・トランジスタ・FETのI-V特性を調べる
第11章 カーブトレーサ…Tracer活用法
11.1 カーブトレーサとは
11.2 Tracerの使い方と準備
11.3 アダプタを使用した測定例
11.4 外部増幅器を使用した測定例

Appendix Analog Discoveryのキャリブレーション(校正)
・キャリブレーションの準備
・トレーサビリティが重要な理由