システム全体の高性能化

 外界の情報を取り込むセンサ,情報を処理するプロセッサの高性能化とともに,処理した結果を外界に対して出力するアクチュエータや表示の部分も高性能化が進んでいます.これらのすべてが組み合わさって,従来ないような高性能かつ低価格のシステムが実現できるようになりました.

 これまであげた例でも,たとえば最近のPC用プリンタはほぼ従来の価格のままで,写真画質,フチなし印刷,高速印字など性能的には驚くべき進歩をとげています.そのためにはセンサの高性能化だけでなく,処理エンジンの高速化,印字ヘッドなどのメカ部分の微細化と精度の向上,インクや用紙の改良など,さまざまな要因が組み合わされています.

 また,自律走行ロボットやバーチャルリアリティの進歩,ゲーム機などの新しい応用についても同じことが言えます.

 たとえば,CCDカメラで取り込める視覚情報は2次元ですが,実際の外界の空間は3次元ですから,視覚的に外界の状態を認識したり,それをディスプレイに表示するには3次元の画像認識や画像表示が必要になります.それが可能になったのは,プロセッサの高速化,メモリの大容量化,3D処理アルゴリズムなどソフトウェア技術の進歩などが大きな要因です.

 また,小型ロボットを実現するためには,骨格や関節を構成する軽くて丈夫な素材,モータや電池,回路基板などの小型軽量化や高性能化などが大きな要因となっています.

 システム全体を高性能化したり,これまでにない新しいシステムを作り出すためには,このような個々の要因を積み上げ,組み合わせる総合的なシステム設計が必要でしょう.


◆ センサで広がる新しい電子機器の世界
◆ 人間の感覚器官とセンサ
◆ A-Dコンバータ

◆ システム全体の高性能化

2月号特集トップページへ戻る



Copyright 2001 宮崎 仁