ARMプロセッサの概要
 2.1 基本仕様

 次は,具体的にARMプロセッサの基本的な仕様について説明します.ここで説明する仕様は,現時点でのARMプロセッサすべてに共通です.

● 32ビットRISCプロセッサ

 ARMプロセッサは現在,すべて32ビットプロセッサです.命令は32ビットのARM命令セット,16ビットのThumb(サム,親指という意味)命令セットがあります.Thumb命令セットは32ビットのARM命令を16ビットに圧縮したサブセットであり,ARM命令の約80パーセントをカバーします.これにより,メモリ制約の厳しいシステムではThumb命令でプログラムを記述することで,性能をあまり落とさずにコードサイズを圧縮できます.また,コアによってはJavaのバイトコードも実行できます(Jazelle機能).これも命令セットとみなせばバイトコードなので8ビット命令セットとなります.データ処理単位としては32ビットです(表4).

〔表4〕命令セット種類
実行できる命令の種類
ARM命令(32ビット)
Thumb命令(16ビット)
Javaバイトコード(8ビット)

 したがって,ワード長といえば32ビット,ハーフワードは16ビット,バイトは8ビットです.ただし(マクロセルの)データバスの幅はCPUファミリによって32ビットのものと64ビットのものがあります.

 ARMにおけるエンディアンは,デフォルトではリトルエンディアンですが,プロセッサコアによってはハードウェア的にビッグエンディアンに切り替えることができます.図3に,リトルエンディアンにおけるデータのレジスタロードのバイト順を示します.

〔図3〕ワードアドレス位置

● アドレス空間

 ARMプロセッサの実アドレス空間は4Gバイトです.したがって,アドレスバスの本数は32本です.初期のARMプロセッサの中には26ビットアドレスのものもありましたが,現在はすべて32ビットです.また,メモリ空間とI/O空間の区別はありません.したがって,I/Oを接続する際はメモリ空間の一部を割り当てるメモリマップドI/Oが用いられます.

以降の内容は本誌を参照ください

インデックス
 ◆RISCプロセッサとは
NEW1.1 プロセッサの概念
NEW1.2 RISCプロセッサとは
 ◆ARMプロセッサの概要
NEW2.1 基本仕様

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