仕様記述言語と方法論

SpecC

 

著者
Daniel D.Gajski  Jianwen Zhu  Rainer Doemer
Andreas Gerstlauer  Shuqing Zhao


訳者
木下 常雄  冨山 宏之 


 システム・レベル設計の研究とその方法論はずっと以前から始まっていた.1989年にはシステム仕様記述に適した言語を探していたが,そのときStatechartsが候補として挙がった.しかしこのStatechartsはソフトウェア/ハードウェア協調設定を実現しようとしてスーパー・ステートのコンセプトを考え出した.さらにいくつかの機能をこの仕様言語記述に盛り込み,HarelのStatechartsに敬意を表してSpecChartsと呼ぶことにし,これを起点として活用を始めた.StatechartsはASICの設計を行う目的でVHDLをフロントエンドと考えていた.その後,分割と合成用のいくつかのツールを開発し,SpecSyn環境の中にこれらを統合して60社以上の会社に配布し試用を促した.

 このSpecSyn評価と試用を通じて二つのおもしろい傾向があることがわかった.つまり

(a) 各社が提供してくれた例題はすべてCプログラミング言語で書かれている.

(b) 大半の会社が過去の設計を取り込み,改良し,少し変えて新しいシステムや製品にしたいと願っている.

 この評価結果を基に,下記の新たな機能を仕様記述言語に盛り込むことにした.

(a) 過去の設計については,動作記述に加えて構造記述を仕様に盛り込む.

(b) 知的財産(IP)については,通信を演算から切り離し,これらをチャネルと動作にカプセル化する.同様にIPはラッパーにカプセル化して開発者がプラグ・アンド・プレイで他のIPと接続して使用できるようにする.

(c) プロトコルのタイミング図作成を考えて,離散的なイベントのタイミングという新たなコンセプトを加える.

 さらにC言語のフロントエンドとなる仕様記述言語を作ることにした.これら新機能が長じてSpecCとなり,システム設計のためのエレガントで簡単に学べるIPセントリックな方法論ができあがった.本書はこれまでの成果を示し,SpecC言語を紹介し,言語説明書となし,SpecCの方法論を示し,音声コーダ設計を例に方法論を実演してみせる.(本書「序」より抜粋)



本書の内容


Copyright 2000 
著者 Daniel D.Gajski  Jianwen Zhu  Rainer Doemer
Andreas Gerstlauer  Shuqing Zhao
訳者 木下 常雄  冨山 宏之

 

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